受験や就活や転職活動など、人生の転機となる局面で必ず問われる「文章力」。にもかかわらず、私たちが“文章の書き方”を学ぶ機会はほとんどない。元NHKアナウンサーの今道琢也氏は、エントリーシートや小論文の必勝法は「問題文の意味を正確に理解することにある」という。問題文を正しく読み解く思考法を身に着け、文章力をアップしよう。※本稿は、今道琢也氏『人生で大損しない文章術』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
問題文を正しく読むための
2つのポイントとは
どうすれば問題文の意味を正確に理解することができるのでしょうか。そのための方法は以下の通りです。
2 注意すべき点を考え、「聞かれていること」の意味を正確に押さえる
この2点について、例題を元に考えてみましょう。まずは、ごく簡単な例題からです。
問 あなたが高い目標を掲げて物事に取り組んだ事例について述べてください。
大学の志望理由書に出てきそうな問です。また、就職活動のエントリーシート、昇進試験にもありそうです。このような問いかけがあったときにまずやるべきことは、1の作業です。
「聞かれていること」がいくつあるか考えます。聞かれていることは「……を挙げよ」「……を指摘しなさい」「……を述べなさい」など、何かをするように指示が出ているところです。右の問では、「高い目標を掲げて物事に取り組んだ事例について述べる」の1つだけです。
・高い目標を掲げて物事に取り組んだ事例について述べる
ここまでで、1ができました。それでは、2に移ります。
どこに注意して書けばいいのかをよく考えます。特に、「キーワード」の意味をよく考えます。1の中で「キーワード」に当たるのはどこでしょうか。これも難しくはないと思います。「高い目標」です。これが出題者の聞きたいことの「核」ですから、ここに正面から答えなければなりません。
自分の中の常識を疑い
一度立ち止まって考えよう
「高い目標」というからには、ちょっと頑張れば達成できるような目標では駄目で、ハードルが高いことを書かなければいけません。
しかしながら、このような出題に対して、さほど高いとは思えない目標を書いてくる人がたくさんいます。それでは、採点する側は「なんだ、こんな目標しかないのか」という反応になってしまいます。
例えば、営業の仕事をしているなら、「前年比150%の営業目標を立てて取り組んだ」など、「なるほど、それは高い目標だな」と思ってもらえることを書く必要があります。出題者の問いかけにしっかり答える意識を持ちます。