「ポロサス」=イリエワニ
「ニロティカス」=ナイルクロコ
です
で、昔はクロコの種類でのランク付けはなかったのですが、近年になってエルメスがポロサスを「最も美しい腑(ウロコ)を持つ」クロコダイルの最上級として(おそらくエルメスが製品を作る際にエルメス製品のサイズと腑のサイズが最もバランスが良いと判断したのが理由)、ニロティカスやアリゲーターと価格差を付けるようになりました(つまり希少価値ではない)
で、最上級のポロサス以上の価値があるワニ革として、ニロティカスのヒマラヤ染めを広めたのもエルメスです
クロコダイルは養殖されているため、特に「希少性」はありません
革のランクは、実はクロコの種類や染め方以上に「傷」が基準となります
腹を引きずる生き物なので、全くの無傷はかなりの希少価値となります
クロコを鞣せるタンナーは世界に20社しかありませんが、実はハイブランドに卸す革も安く卸す革も、鞣し方は基本的に同じです
タンナーのほとんどが最優先で取引しているのがエルメスで、エルメスは1000枚に1枚あるかないかの「全く無傷」の革を買い上げています
これはエルメスが製品を作成する際、バッグや財布のセンターには必ずクロコの腹のセンター部品を使うからです
腹の傷の数やサイズにより革のランクが決められ、そこに革の横幅を掛けた金額が革1枚の価格となりますが、エルメスが買い上げる革は1枚でハイブランドの高級なバッグが買える金額になります
例えばバーキンやケリーなら裏表に1枚づつ贅沢に使用しています
同じポロサスやヒマラヤでも安価な製品が出回っているのは「センターに傷があるランクが低い革を購入して、腑の出方を気にせず傷がない部分を切り出して無駄なく使っているから」というパターンが多いです
つまり、高価かどうかは製品になったものなら「革のどの部位を使っているか、どう切り出しているか」で判断可能です
さて、取り扱いについてです
一番厄介なのはグレージング仕上げの革で、こちらは最終仕上げで動物性タンパク質(卵や牛乳)を塗布して高圧で磨くことで独特の艶を出しています
この仕上げは、数秒水滴が付いただけで水ぶくれと変色を招いて元には戻らなくなりますし、摩擦でチリ傷が付いたり手汗などの影響で光沢が鈍くなっていきます
市販の艶あり爬虫類用のケア製品もありますが、これはあくまでも「なるべく光沢を残すため」の効果しかありません
おそらく、今回はグレージングではないと思いますので、このあたりの知識は「次回の参考になれば」での記載です
次に、ハーフマット加工です(おそらくこちらも今回の質問には該当しない加工ですがオマケの知識として)
こちらは、一時期流行った腑の表面がオフホワイトで目地(腑の溝)が黒、などの二重染めをした革のことです
この革は、一度白や赤などを塗装し、乾いたら別色を塗装して拭き取り、溝やシワに別色を残す加工のことです
染めているのではなく、表面を塗料でコーティングしているため、発色が美しく、普通の牛革より水に強い利点があります
…が、実は傷を塗装で誤魔化せるため、革の価値は下がります
さてさて本題です
おそらく、質問者さんが購入を検討されているポロサスとヒマラヤはどちらも、マットではないかと思います
マット仕上げは、イメージとしては弱点も経年変化の具合も、ヌメ革に近いです
使用していくうちに徐々にゆるく光沢がでてきますし、水に非常に弱く、シミや水ぶくれになりやすいので雨の日などは使用しないほうが良いです
ヌメ革と違う点は飴色に変化はしません
なので、ポロサス、ヒマラヤどちらにせよ、こまめに週一くらいで、柔らかい布で乾拭きをする、数ヶ月(気になる変化が感じられそうならもっと早くても)のペースでマット爬虫類用ケアクリームで手入れをして数日寝かせて休ませる、などがベストの手入れかと思います
もっとベストなのは「ずっと毎日使わずローテーションする」なので、ちょっと欲張りなアドバイスをするなら、ポロサスとヒマラヤ、両方購入がオススメです