全国のギャルの動きを男ふたりで調べてみた
2015/06/09
はじめまして、電通関西支社におります「人の流れラボ」所属の笠原滋人です。
ギャルに出会いたい
そんなことを考えていたところ、ドコモ・インサイトマーケティングが提供するモバイル空間統計(※1)を用いることにより、人の動きが分かるようになったと聞きました。そこで、ギャルの行動範囲や行動インサイトを、同じく関西支社で「人の流れラボ」所属の小さいおじさんこと森下治秀と共に、男ふたりで観察することにしました。
ギャルの集まる場所ってどこなのだろう?
2014年9月27日(土)の14時〜15時に、日本の5エリア(東北、関東、中部、関西、九州)における15歳から24歳女性(今回、男ふたりが設定したギャルの定義)が「どこにいたか」をのぞき見してみました。この日の選択基準は、全国的に晴天であったこと、ターゲットに刺さる特別なイベント(コンサートやファッションイベントなど)がなかったこと、時候がよく買い物行動に影響が少なかったと考えられることです。
以下の図が、関東地方におけるギャルのいた場所。池袋、新宿、渋谷という「街」にギャルが多くいるのが見えてきました。
さいたま、横浜、舞浜にもかなりのギャルがいるぞ!
ちなみに以下は関西エリア。
もう少し掘り下げてみると、次のようなことも分かってきました。
ギャルは車がなくても楽しめる場所へ行く!
ギャルは、都心から延びる鉄道沿線の駅周辺に集まる傾向があると分かりました。都心の繁華街だけではなく、自分の住む地域の中でもにぎやかなところ=「駅」にギャルが来ることが考察されます。車を持っている率が少ないと思われるので鉄道利用が多いのが想像されますね。
ギャルは母親との関係も良好!
一方で、都心から離れたショッピングセンター周辺へもギャルが移動していることが分かってきました。以下は、名古屋ギャルの分布です。
都心から離れていても、ショッピングセンターに集まっている様子が分かります。ショッピングセンターは都心部と同様にギャルにとって魅力的に映っているようです。都心の繁華街もショッピングセンターも「買い物ができる」点は変わりません。ギャルは「買い物が好き」と言っていいと思います。ただショッピングセンターは郊外にあることが多く、鉄道では行きづらいところも多いですね。不思議に思い、社内のギャルラボ@・チームにアドバイスをもらいました。
愛知県ギャルは他の地域と比べても、特に都心部から離れたショッピングセンターに多く集まる傾向が強く見られるとのこと。電通ギャルラボ@調査(※2)・分析によると、他の地域のギャルと比べて「母親と買い物に行く」割合が高く、ショッピングに使うお金も多いとのこと。我々の考察と相いれる結果になりました。
ギャルは友人とつるむのが好き!
さらに、学校周辺にも集まっていることが明らかになってきました。これは大学生の場合は、サークルや仲の良い友達と部活やサークルの活動を行うために集まっていると想像できます。
再びギャルラボ@・チームにギャルの声を聞いてもらうと、
「大学の近くに住んでいるので、休日は図書館でゼミの課題をしたり、大学の近くでご飯を食べます。サークルで集まることもよくありますが、メンバーの集まりやすさが大事です。だいたい大学の周辺に集まります」(20歳・大阪在住)と、今回の調査結果とも一致しました。
ギャルは、「楽しめるにぎやかな場所で買い物や友人・母親とのコミュニケーション目当てに移動する」ことが多い様子。この条件に当てはまる場所に行けば「ギャルに出会える」ことが判明!
さらにもっとギャルを追いかける
ギャルが集まっていたエリア(500メートル四方)を複数ピックアップし、そこにいたギャルがどこから来たのかを比較し、分析。すると、街ごとの「ギャル引きつけモデル」が大きく3つに分類できました。
ギャルの動きから見た3つの都市モデル
①大都市型(東京、大阪の各地点)
・電車で約60分がギャルの来る範囲。比較的遠くから来ている。
・四方八方からギャルは来る。
・広域からギャルを引きつけているけれど、同じ都市の中に魅力あるエリアが点在するせいか、30分圏内(近場)に住むギャルの来る率がやや低い。
以下は、東京・池袋におけるギャルがどこから来ているのかの地図です。おおむね上記の傾向が読み取れるのが分かるでしょうか。
ギャルラボ@・チームの調査(※2)によると、大都市型ギャルは、ほしいものがあったり、話題のスポットやイベントがあれば、多少遠くても出かけていくようです。特に東京では、大型商業施設やファッション街など注目スポットがあり、“ここでしか買えないもの”“ここでしか味わえない雰囲気”がエリアごとにはっきりしているので、積極的に回遊していると考えられます。
また、以前は埼玉在住のギャルが池袋を通過して新宿に出かけるというような行動パターンが定番であると言われました。しかし、近年は池袋の開発が進み、テレビ番組でも住みたい街として池袋が取り上げられたこともあってか、池袋に滞在するギャルも増加している傾向が見られます。
②隣接都市型(横浜、京都、神戸)
・30分圏内に住むギャルが来る率が高いが、遠方のギャルは、わざわざ来ない。
・隣接する大都市の方向からは、ギャルが来ることは少ない。
大都市とそれに隣接する都市の間に住むギャルは、規模の小さい隣接都市の方へ移動することが少ないようです。つまり、引きつけ力は大都市に負けるのがこの隣接都市。この現象により大都市からのカルチャーが流れこむことが少ないと考えられるので、独自のカルチャーを育む都市になることが想像されます。
ギャルラボ@・チームの調査によると、隣接都市型ギャルは、都会に憧れがあり、ネットやリアルでも情報収集に積極的な面はあるもものの、わざわざ大都市へショッピングに行くまでのモチベーションはなく、近隣で済ませる傾向があるとのこと。流行しているものはそれなりに取り入れつつも、身の丈に合った生活を志す傾向のようです。
学生時代京都に住み、現在は大阪勤務のギャル(24歳)いわく、
「京都に住んでいた時は、ショッピングはほとんど京都市内で事足りた。人が多くて疲れるし、土地勘のない大阪まで出向く必要性を感じなかった。ファッションにこだわりのある友達は大阪へ買い物に出かけていましたが、私は基本京都からは出ませんでしたね」
反対に大阪に住んでいる現在は、
「ショッピングのためにわざわざ京都に行くことはありません。大阪に慣れてしまえば、大阪の方がお店の数も多く選択肢も豊富」
とのこと。
③地方中核都市型(仙台、名古屋、福岡)
・電車で60分を超えるような、かなりの遠方からもギャルが来る。
・四方八方からギャルは来る。
・広域でギャルを引きつけるうえ、同じ都市の中に競合するエリアが少ないのか、近距離に住むギャルも引きつける。
ギャルが来る範囲は、電車で60分以上にも。福島県郡山市のギャルが仙台へ行っている様子が見てとれます(仙台~郡山間は120キロを超える!)。
福岡・天神においても同じような現象が起きており、下関のギャルが関門海峡を越えて天神まで行っている様子が分かります(海を渡るギャル!)。天神~下関間は80キロ超。もっとすごいのは佐世保ギャル。こちらは天神まで120キロ超!!
地方のギャルにとって、仙台や天神のようなその地方を代表する街は、遠路はるばるやって来ても満たされる神様のような存在! また近場のギャルにとっても唯一無二の存在なのかも。とにかく、このような地方中核都市はギャルを引きつけることが分かりました。
ギャルラボ@・チームによると調査(※2)では、福岡県のギャルは、一人で買い物をすることは少なく、恋人との買い物に行くことが多い傾向が見られるそう。地方中核都市型ギャルは、「少々遠出をしても出かけている」と推測できます。
上記を整理すると以下のような図になります。
位置情報をマーケティング活用へ
このように人の移動を把握することにより、今までとは異なる新しい切り口で様々なマーケティング活動が創造できます。
例えば、自社の店舗が位置するエリアの来訪パターンと、自社の顧客像のエリア分布と付き合わせると、今までのマーケティング活動を評価し、課題をあぶり出すことにもつながるでしょう。
今回、我々おじさんチームは位置情報分析を通じてギャルと出会うことに成功しました。これはつまり、位置情報を用いることにより自分とは接点の少ないギャルの行動を見て、今まで気付かなかった彼女らの生態を垣間見たことになります。同様に、現状は接点の少ないターゲットに今後アプローチを試みたいときなど、企業のマーケティング活動においても様々な示唆を与えてくれるものになるのではないかと思います。
今後、我々はギャルだけでなく他のターゲットにも目を向けて情報を発信していきたいと思います。
※1モバイル空間統計とは、NTT ドコモの携帯電話ネットワークの仕組を使用して作成される人口の統計情報です。「モバイル空間統計」はNTTドコモの商標です。
※2「ギャルラボ@」が2015年1月に実施した「5大都市女子国勢調査」。16~24歳の女子800人を対象にインターネット調査を行いました。
お問い合せ先:電通 人の流れラボ
[email protected]