出てくなら出てけよ


今回のAPECではTPPの話とかあるみたいだけど、それに関連して、「TPPに参加した暁には外国から労働者を集めるべき」と経団連の会長が主張してるのだとか。
前々からこの手の主張ってよく耳にするけど、今の日本の雇用状況って、働きたくても職に就けない人が多いわけでしょ?その前提で、外国から移住者を労働力として集めるってことは、国内にあぶれている人たちよりも安く雇用できる労働力として買い叩こうとしてるってことだよね?*1
現状でさえ外国人研修生を不当な報酬で働かせることが問題になってたりするのに、本格的に外国からの移住者を労働者として集めるなんてことになれば、今の非正規雇用の比にならないほど劣悪な環境で移住者を働かせるような状況にもなりかねません。乱暴な言い方をすれば、21世紀に蘇った奴隷売買のようなもの。日本の治安がどうこうということよりもまず、そうやって連れてこられる移住者の人権が蔑ろにされるであろうことが問題だと思います。
もし仮に、経団連の目論見どおりにそのような労働環境ができあがったとして、10年以内に国連あたりから改善を求める勧告が出るであろうことも間違いないですが、その勧告通りに改善するとなると日本人と同等の権利や社会保障が求められることになるわけで、新たな財政負担等が生まれてくることにもなります。もちろん移住者は労働者であると同時に消費者でもありますから、移住者が増えることで一時的に需要が伸びもするでしょうが、そのように経済が底上げされるまでの間、雇用にあぶれた日本人は職に就けないままで(結果的に雇用を奪う形となった)移住者達への憎悪を募らせていくことにもなりかねませんし、そうやって日本の経済の中に取り込まれた移住者たちはいずれ(現代の日本人や先進諸国がそうであるように)少子化を迎えることになり、30年後40年後にはやはり今の我々が直面しているような様々な問題が出てくると思います。


結局のところ、この施策は、短期的には何らかの経済的メリットがあっても同時に人権上の問題を引き起こし、長期的に見れば将来的に様々な負担や禍根を生じさせてしまうものです。言ってしまえば、問題の先送りのために無茶苦茶をするというものであって、「俺が生きている間だけ国が保てればいいや」という、逃げ切り老人の思考そのもの。
こういうのを目の当たりにすると、さっさと直接税の累進性を高めて銭ゲバ老人から金を毟り取って若者に再分配しろよと思わずにはいられません。そしたら税率の低い海外に逃げて税収が下がる?国内にいてこれほど酷い悪政を推進されるよりはそのほうが全然マシなので、どうぞどうぞ海外に出て行ってください。

*1:そうではなく「ズバ抜けて能力の高い人を日本に招聘して働いてもらう」という主張をする人もいるようですけど、院卒を新卒として積極採用しようという動きが全く無い現状を見るに、それは才能のありそうな人を発掘するというよりも単に“既に外国で成功してる人”を日本に呼び込もうという、そもそもそんなのに応じる人がいそうも無いようなアイディアで、絵に描いた餅に過ぎないと思います。