アルト姫・・・
この一週間、ネタバレを踏まないようにするのが大変だったんだぜ。2ちゃんねるとか何の予告も無くネタバレが書き込まれてたりするからなぁ。
ということで劇場版マクロスFの感想をば。以下ネタバレあり。
アルト姫は劇場版でもやっぱりダメな子でした。
見せ方の問題だと思うんだけど、ランカと互いの夢を決意をするあの丘の上のやりとりにしても、新作カットになる深夜の電車の中でのランカとのやりとりにしても、取って付けた感じが凄くしてしまうんですよね〜。というか、あの電車の中で見せた苦悩をこそSMS入隊前に見せて、とことん悩んで吹っ切ったうえでの入隊だってっていう形にするだけでも、一本筋の通ったキャラになったと思うんだけどなあ。まあ後編のクライマックスにアルトの葛藤を絡めたいって思惑があるからこういう形にしたんだろうけど、やっぱ悪い意味で煮え切らない感じばかりしてイライラするわ。この調子だとまたミシェルに「人として軸がぶれている」って言われちゃいますよ?
そのミシェルは劇場版でもイケメンでした。アルトやランカに辛辣なことを言ってもそれがきちんと助言として機能している。てかそのへんの展開はテレビ版まんまだったんだけど、新作カットでもアルトのフォローしまくりだしな。何度でも言うけど、もうミシェル主人公でいいじゃん。
惜しむらくはクランとの絡みが少なかったこと。つかクラン出番無さ過ぎだろ、責任者出て来いや!とか言ってるとナナセファンの人から「贅沢言い過ぎだ」と言われそう。
まあ今回はミシェルも露骨な演出を受けつつも死線を潜り抜けたので、テレビ版のように非業の死を遂げることはないだろうと期待したいが、後編を見るまではまだわからんか。
シェリルの描写は、アルトと接近するまでの過程が短縮されているため、テレビ版序盤で見せた高慢ちきな印象が減って、純粋にヒロインとしての魅力を深めてる印象。わざわざ新デザイン起こしたタイ焼き型の携帯は、May'nの趣味にちなんだものっぽいですね。
ランカもテレビ版以上に下積み仕事を多く描いたことで、努力家としての面が深く印象付けられる形になってる。
ヒロイン達がこれだけ魅力的なのにどうして主人公はあんななんだ・・・。
物語全体としては、テレビ版を本当にコンパクトにまとめていて、非常に密度が高く楽しめる感じ。
特にテレビ版はグレイスの陰謀が物語の展開に支配的になりすぎて、中盤以降「はいはい全部グレイスの思惑どおりでしょワロスワロス」って感じだったのが、今回の劇場版では、グレイスの陰謀は確かに動いているんだけどその支配的状況を抑制的に描いているため、アルト達の動きが誘導されてる印象は薄くなっており、テレビ版で感じた茶番臭さがきちんと脱臭されてたのはよかったです。そのぶん後編がどうなるかわからんけど。
クライマックスシーンの演出についても、シェリルとランカのボーカルに乗せて、バルキリーならではの高速戦闘が、アクエリオンから蓄積された3DCG技術で華麗に描き出され、スクリーン上に大音響大迫力で展開されるのは、まさに歌とバトルの融合というマクロスの持ち味を最大限に発揮していて、それだけでこの映画を見る価値があると言えます。
また幕引きの仕方も、とりあえず一段落という形で終わらせており、後編へのあざとい引きなんかも無くて、コレ単体で1本の映画として楽しめるのも好評価。次回予告の花嫁姿と赤いバルキリーが気になるところですが、前編の予告に使われた「歌で銀河が救えるわけ無いでしょ!」という宣伝文句も実際には出てこなかったので、まあ客引き要素として半分マユツバで捉えておきましょう。
総評としては、エンターテインメントとして気持ちいい出来栄えにはなってるけど、主人公が残念すぎる、といったところでしょうか。今後の展開でアルト君が男を立ててくれることを期待しつつ後編を待ちます。