もっとパイオニア
漫画やアニメは受け手のエゴをもっと考えるべきとかなんとか。
少なくとも商業ベースのアニメに関しては、いまどき送り手のエゴだけで作ってる作品のほうが少ない気がするけどなあ。毎期とにかく萌えアニメが投入されるのも、ラノベでも何でもいいから他メディアの人気作を引っぱってきてアニメ化しちゃうのも、その現れでしょ。実際にそれらの作品の中から手堅く売り上げの出る作品も生まれてきてるし。
むしろ問題にすべきは、市場の新規開拓に対して消極的なことじゃないかと。つまり今の売り方は、受け手のエゴを狙うにしても、顕在化してるエゴ=既存の購買層に対してだけ発信しようとしてるってこと。確かにいまアニメDVDを買ってくれるような層は萌えアニメ好きの奴か原作の熱心なファンくらいだろうけど、送り手の大部分がそこを狙ってひしめきあっているような状況では、まさに小さなパイの奪い合い。レッドオーシャン。
このままでは市場規模を維持するのがせいぜいで、もし市場規模を大きくしたいのならば、いま漫画やアニメに興味の無い人たちに対してどうやって漫画やアニメを売りつけるのかを考えなきゃいけない。潜在的なエゴを見抜いてそこに訴求していくことが必要になるわけです。例えば、都内に住む20代OLに買ってもらえるアニメというものが作れるかどうか、地方で専業農家やってる50代のオッサンに買ってもらえるアニメというものが作れるかどうか、ということを模索していかなきゃいけない。
これはそんな容易なことじゃありません。そもそもアニメ製作には非常に大きな予算が必要になるので、新規開拓を企図して1作品製作するだけでもかなりの冒険になってしまう。まあ容易じゃないからこそ誰もやりたがらず、今のような状況になってるわけですけれども。
で、どうするのか、政府でどんな支援策ができるのかって話になる。これまた難しいわけだけど、例えば、テレビCM製作においてアニメ会社に映像製作を発注する場合にその制作費の一部を政府が補助する、みたいなのとか。これだと(広告代理店にはインセンティブが発生するから)アニメ表現を用いたテレビCMが増えて、短期的にはアニメ会社の収入が増えるし、中期的にはアニメ会社は様々な視聴者層に対する訴求のノウハウを(広告業務を通じて)蓄積することができるし、長期的にはアニメに興味の無い層にもアニメの視聴時間が増えるためアニメがより一般的になり、またアニメ会社が蓄積したノウハウを活かしたアニメ作品を製作して、アニメの購買層が広がることが期待できる。
これはまあ机上の論としても、何にせよ、既存の業態にただお金を落とすような支援ではなく、新しい市場を開拓していくようなものにこそお金を投入するような支援策でなければ意味は無いでしょう。
まあ公的支援ばっかをあてにしてもしょうがないので、異業種に向けて積極的にアニメ製作受託業務を売り込んだりしていくようなアニメ製作会社が出てきて欲しいものですが。