それでも規制にはNO

路上で寝てる人に卵をぶつける動画を公開してた奴に、いつもどおり2ちゃんねらが噛み付いてみたものの、実は身内向けの自演動画だったでござるの巻。


よかった、襲撃されたホームレスの人は居なかったんだ。


実際の被害者がいないのなら、動画製作者に制裁を与える必要性も無く、まあ世間を騒がせたってことで大学から注意を受けたりする程度で済むのかな。「犯罪行為と錯誤させるような紛らわしいことはするな」ってとこ。
「たとえ自演であってもこの動画自体が差別的だからよろしくない」という意見の人もいるようだけど、その点についてはあくまでも対抗言論によって批判を浴びせるべきであって、何らかの法律や条令によって規制すべきものではない、ということを改めて言っておきます。


醜悪な行為を徹底して露悪的に描き出すことは、その対極にある美徳や倫理を受け手へ喚起させる効果があり、表現のアプローチとしてはド定番。実際にこの動画を見て怒りや憤りなど不快感を感じた人には、まさにそのような効果が及ぼされていたのだと思います。つまり差別者の行為が具体的に描き出されることで、それを見た者に差別を否定する感情を呼び覚ました、ということ。
もちろんこの動画を製作した本人にそこまでの意図があったかどうかはわからない、むしろ本人の気質がそのまま現れてるだけの可能性のほうが高いけど、だからと言ってこの動画を規制の対象とすることは、(規制は実効的には表現形態・形式に対して行なわれるのであって、その表現者の意図を汲まないから)上記のような表現のアプローチ全般への規制として機能してしまうため認めることはできません。これを規制すべきではないということは、陵辱エロゲの場合なんかよりは遥かに明らかでわかりやすい事例だと思います。


それでもなお、動画製作者に対する鬱憤は晴れない人も少なくないでしょう。しかしそれは彼個人の人間性の問題であって、表現の是非の問題ではない。ならば表現の内容ではなく、彼の抱えている(と見受けられる)差別意識をこそ問うべきで、(表現規制によってではなく)その言論の応酬によってのみ差別が排撃されるのではないかと思います。