イケメン幼なじみに惹かれるのは本能のせい? それとも… 遺伝子に負けないピュアな思いを描く『本能レベルで愛してる』

マンガ

PR 公開日:2025/1/10

本能レベルで愛してる
本能レベルで愛してる』タムラ圭:作画、春田モカ:原作/スターツ出版)

 昔から「運命の相手とは赤い糸で結ばれている」とはよく言われるもの。あなたも「自分の運命の相手は誰なんだろう」と思ったことはありませんか? もしその運命の相手がイケメンで完璧な幼なじみだったら…という物語が『本能レベルで愛してる』(タムラ圭:作画、春田モカ:原作/スターツ出版)です。

 主人公である千帆は高校2年生。隣の家に幼なじみの男の子・紫音が住んでいます。いつも周囲から一目置かれる紫音。それは彼がイケメンで成績優秀&運動神経抜群なだけではなく、α(アルファ)だからなのです。

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本能レベルで愛してる

 この世界の人間はα・β(ベータ)・Ω(オメガ)に分かれていて、αは数千万人にひとりしかいない完璧な人間。一般人であるβはその虜になってしまうため、女子にはアイドル化され、男子は恐れて近寄れません。しかし、βである千帆ですが、なぜか紫音のフェロモンの影響を受けません。そのため、千帆だけが自然体で接することができるのでした。

 千帆はβとしての人生を送っていましたが、17歳の誕生日に突然、「なんかいい匂いすんね」と知らない男子生徒に声をかけられます。男子生徒たちのただならぬ気配に恐怖を感じる千帆。するとすかさず紫音が現れ、助けてくれます。

本能レベルで愛してる

本能レベルで愛してる

 事の顛末を知った紫音は「千帆がΩになったのでは」と推測。Ωとは発情期になると特有のフェロモンで他の人間を狂わせる存在。特にαは発情期以外でもΩのフェロモンの影響を受けるため、αとΩは本能的にお互い惹かれ合う存在。αと番(つがい)という絆を結ぶことができるのもΩだけ。

 本来Ωは生まれた時からΩですが、稀に17歳になるとΩとしての特性が現れる場合も。「Ωになったのでは」と言われて真っ先に紫音の心配をした千帆は「紫音を誘惑なんてしないから安心して!」と宣言。しかし紫音は少し怒った様子で、「お前のこと幼なじみなんて思ったことねーよ」と千帆にキスをします。

本能レベルで愛してる

本能レベルで愛してる

 本作の面白いところは「お互いが運命の相手では?」という状況になってもそれを喜ばないところ。千帆がΩになる前から、お互いのことを大切に思っていた紫音と千帆。特に紫音は千帆に恋愛感情を持っていたのは明白。そこで千帆がΩになったらこれはチャンスと思いそうなものです。しかし紫音は「番という義務的な関係で一緒にいたくない」「フェロモンの作用で好きになられても嬉しくない」と戸惑います。それは紫音自身、周囲からずっと“伊集院紫音”としてではなく“α”として見られてきたから。そんな中でも「紫音は紫音」と言ってくれた千帆と「αとΩ」ではなく「自分と千帆」としての関係を築きたいと考えて戸惑うのです。

 α、βと聞くと特殊な世界の物語のようにも思いがちな本書。しかし中身は「肩書ではなく、自分自身で恋愛がしたい」という恋愛の普遍的な気持ちを描くフレッシュな作品です。

「お互いの気持ちを大切にしたい」という考えはもちろん千帆も一緒。しかし2巻からはαの転校生・三条も登場し、ふたりの恋にはさらに困難が。千帆と紫音の気持ちはそれぞれの特性を超えられるのか? ぜひ続きを確かめてみてください。

文=原智香

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