15万部の大ヒット!直感だけでは解けない「論理的思考問題」で考えることが楽しくなる『頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題』

ビジネス

更新日:2024/9/2

頭のいい人だけが解ける
頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題』(ダイヤモンド社)

自分の思考が直感に流され、思い込みに凝り固まり、そして思考そのものを面倒くさがっていることに気付いて落ち込んでしまったのが、野村裕之『頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題』(ダイヤモンド社)である。

本書のページをめくると、まず「あなたは、論理的な思考ができるひとでしょうか?」と問いかけられ、その論理的思考ができるかを測る3つの問題が出される。すべて5秒で答えなければならない。

頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題P2

“問題1「ボールペンと消しゴムは合わせて110円。ボールペンは消しゴムより100円高い。では、消しゴムの値段は?」”

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「そりゃ10円でしょ」と鼻で笑いながら答えると、正解は「5円」。

頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題P3

“問題2「社員4人で作業して、4日で4つ生産できる商品がある。この商品を100日で100個作るには、最低何人の社員が必要?」”

「4人で4日で4つなら、1日1人当たり1個生産できるから、100人でしょ」とこれも鼻で笑いながら答えると正解は「4人」。

頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題P4

“問題3「あるイベントで、開始時は観客が1人だったが、1分ごとに2倍に増え、12分で会場が満員になった。観客が会場のちょうど半分を占めたのは開始から何分後?”」

問題文が頭に入ってこなくて考えるのが面倒になってしまう。答えは「11分後」。

しかし、この冒頭の3問が解けなかったことや筆者が面倒くさくなり思考を停止しまったことを本書は見透かしたように、

複雑さの増した現代において
“直感に流されたり、問題を投げ出したりせず、事実を整理し、俯瞰して、論理的に正しい答えを導き出す。”力が必要だと解く。

冒頭の三つの問題は「論理的思考問題」と呼ばれ、古くから娯楽として親しまれているという。

そしてこの論理的思考問題によって鍛えられるのが以下の10のコンセプチュアル・スキルと呼ばれる能力である。

①論理的思考
②水平思考
③批判的思考
④多面的視野
⑤柔軟性
⑥受容性
⑦知的好奇心
⑧探究心
⑨応用力
⑩俯瞰力

そのなかでも「考える力」の能力として「トリプルシンキング」と総称されるのが、論理的思考(ロジカル・シンキング)、水平思考(ラテラル・シンキング)、批判的思考(クリティカル・シンキング)の三つである。
本書はこの三つに、俯瞰思考と多面的視野を加え、それぞれの思考法に合わせた例題が計67問掲載されている。

例えば第一章「論理的思考」の問題。

頭のいい人だけが解ける 論理的思考問題P27

“あなたの前に3人の村人がいる。1人は天使、1人は悪魔、1人は人間。天使はかならず真実を言い、悪魔はかならず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。3人の村人(A,B,C)は次のように言った。

A 私は天使ではない
B 私は悪魔ではない
C 私は人間ではない

それぞれの村人たちの正体は?”

論理的思考問題でもっともオーソドックスなこの問題、単純だが犯人探しのような興奮があり、村人たちの発言から仮定によって矛盾を露わにして答えを導き出す推理小説のような楽しさがある。

問題の答えは「A:人間、B:悪魔、C:天使」である。

さて、本書から紹介したこれら4つの問題の答えを見て「なぜそうなるのか?」と思うことだろう。そう、論理的思考を学ぶには、この答えに辿り着くまでの「プロセス」を知ることが大切なのだ。
間違ってもよい、いや、間違えば間違うほど、正しい正解への思考法を知る楽しさが溢れてくる。そしてそこから論理的思考のコツが身についていく。
だからこそ、本書は問題の答えがわからないほど面白い。

本書を読み終えて感じたのは、初めは例題に対して考えることさえ面倒くさいと思っていたのが、いつしか思考すること自体が苦にならなくなっていたことだ。
論理的思考を体得する第一歩は、まず「思考する」こと。本書はそんな当たり前のことに気付かせてくれたのである。

文:すずきたけし

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