衝撃の「Twitter買収劇」の裏側。日本法人元社長が見た“イーロン・マスク”のリアル

ビジネス

PR公開日:2024/8/8

イーロン・ショック
イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(笹本 裕/文藝春秋)

 実業家のイーロン・マスクに人はなぜ、羨望のまなざしを向けるのか。数々の大企業で経営に携わり、かつて、Twitter Japan社で社長を務めた笹本裕さんの書籍『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)はイーロン・マスクの人物像を詳細かつ立体的に描く。

 2022年10月のTwitter社買収から、2023年7月の退職までの215日間、著者はイーロンをどのように見ていたのか。断じて暴露本ではなく、「未来を背負って立つ若いビジネスパーソンがグローバル経済で闘うためのご参考に」とした本書の内容を、一部引用のうえで紹介していく。

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 さて、イーロンによりTwitterが買収され、のちにXへと改称した騒動は記憶に新しい。

 渦中にいた著者は、従業員の大量解雇などを前にして戸惑い、怒りを超えた、なんともいえないストレスフルな感情を抱いた。しかし一方で、自社のみならず「日本に蔓延(※はびこ)っている閉塞感を打破するうえでも、ひとつの参考になるのかもしれない」と期待も抱いていた。

 そして、表向きにはドラえもんに登場するジャイアンのような豪胆さを持ち、裏ではのび太のような素直な少年の一面も併せ持つという、著者がそばで見たイーロン・マスク像もじつに興味深い。

 例えば、イーロンは文面のやり取りでは長文を嫌うという。著者は実際、イーロン・マスクが率いる宇宙企業・スペースXの社員から、「文章を書いちゃダメだよ。箇条書きにしないと。3行でいいから」とアドバイスを受け、実践していた。

 プレゼンも同様で、内容はとにかく簡潔に。1分以上同じことについて話していると、イーロンは眠たそうにし始める――と振り返った著者は「ロジカルに話ができる相手でもある」と、彼に好意的な反応をみせる。

 そして、イーロンの姿勢から“前例を踏襲しないことの大切さ”も学んだと明かす。

 協調性が重視されがちな日本では「いままでこうだったから」として前例に縛られ、何かを変えようにも「まず関係者とのあいだで調整してから」と二の足を踏む光景がよく見られる。

 しかし、誰よりも時間を大切にしているというイーロンはバッサリと無駄を削ぎ落とす。いわば“棚卸しをする時間がもったいないから、棚を壊してしまう”かのような進め方は、ときに改革をするうえでは必須かもしれないと、著者は見解を示す。

 著者による「私が見たイーロン」からはじまる本書では、「Twitter買収の一部始終」や「AI時代に生き残る働き方」など、多岐にわたるテーマが続く。

 常に人類を主語として“誰もやらなかったこと”を前提に、数々のビジネスを具現化し続けるイーロン。じかに接してきた著者の経験を介して、学ぶべきことも様々ある。

文=カネコシュウヘイ

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