ダリの名言「天才のふりをすればいい」の意図は? 有名画家に学ぶビジネスの心がまえ
PR公開日:2024/6/24
大阪にある場末のバーに、1人のサラリーマンがふらり――。書籍『君はリンゴで世界を驚かせるだろう 現代アートの巨匠たちに学ぶビジネスの黄金法則』(ARISA/飛鳥新社)は、異色な空気感のビジネス書だ。
野性爆弾のくっきー!による独創性豊かなイラストをあしらった装丁も目を引く本書は、大阪の曽根崎にある架空のバー「BAR モダン」を中心に展開。大阪に転勤した主人公のタケオは、かの有名な画家“サルバドール・ダリ”の「生まれ変わり」と称するバーのマスター・ダレから、有名画家の名言やビジネスの心得を学ぶことになる。
アートから、ビジネスを学ぶ。一見、疑問符が浮かびそうな本書の内容は、じつに興味深い。
かつて、画家のダリは「天才になりたかったら、天才のふりをすればいい」と言った。そう聞いて、何をするべきかと疑問を抱く主人公のタケオ。バーのマスター・ダレは、彼に「おまえが会社でめちゃ頭ええなあ! って思ってるやつおるやろ」と投げかける。
タケオには、嫉妬するほど優秀な同期の「松本」がいる。「仕事ができる」と褒めながらも「“うざっ!”て思ってます」とつぶやいた彼の口からは「傲慢っていうか、計算高いっていうか、すごくプライド高くて」と次々に松本への悪口が飛び出した。
しかし、松本への悪口を聞いた「ダレ」は、相手への嫌いな感情はいわゆる“反面教師”で、自身を成功へと導く“ヒント”になりうると諭す。
相手への嫌いな感情は「影」で、その裏には「光」がある。例えば、傲慢は「揺るぎない自信」、計算高さは「計画性があったり、緻密な考えを持っている」。プライドの高さは「ハングリー精神」とも、言い換えられる。
やがて、タケオが松本を職場で観察してみると、成果を上げるために努力していると判明。「天才になりたかったら、天才のふりをすればいい」とはすなわち、相手の「光」を見て吸収することだと悟るエピソードには、ハッとする。
ほか、パブロ・ピカソ、ダミアン・ハースト、フリーダ・カーロ、ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホル、ポール・セザンヌ、バンクシーと、本書では新旧の名だたる有名芸術家の名言が並ぶ。アートとビジネスをかけ合わせたユニークなテーマの1冊から、学べるものは多い。
文=カネコシュウヘイ