歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

地政学から見た世界

今回は、「世界最強の地政学」(2024年)を読みました。

 

 

著者さん曰く、地政学という学問はないのだそうですが、ランドパワーやシーパワー、バランスパワーなど、今世界で起きていることを見る視点がひとつ増えたと感じたので、整理しておきたいと思います。

 

 

 

ランドパワーの国と言えば、中国、ロシア、ドイツなど、国土が広く、周囲を他国に囲まれた大国です。日本も四方が海で囲まれた島国でありながら、その戦略観はランドパワー的な傾向が強い国だったそうです。

ランドパワー国家にとって、他国の侵入を防ぐためには、前もって「どっちが上か」という力関係を確認しておかなくてはなりません。なので、国際関係においても、「小国は大国に従うべき」という認識がベースになりやすく、恐怖で支配しようとする傾向があります。ランドパワーの国では、「領土が拡大すれば拡大するほど国家の安全は増す」といったように「面」で考えます。しかし、その一方で、領土を拡大させるほど、守るべき国境線も長くなるというジレンマが生じます。そのため、長く維持することはなかなか困難だということでした。

 

 

シーパワー

 

一方、シーパワーの国と言えば、周囲を海で囲まれたイギリス、アメリカです。シーパワーの場合、その外交・交易の及ぶ範囲は、海を通じて広大なものになります。そうなると、トラブルが起きたとき、即座に軍事力で決着をつけることが難しく、また多大なコストも必要になります。そのため、相手が小国であっても、ネットワークにおける重要度に即して、互いのメリットを確認し、合意を形成していく、「同盟の戦略」が取られやすいそうです。

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道、航路といった「線」(ルート) と、砦、城、港などの「点」(チョークポイント)を効率的に監視、支配するためには、ベース(拠点)も必要になります。戦時のみならず平時においても、経済を動かすための物流のルートを押さえているのがシーパワー大国で、ドーバー海峡、ジブラルタル海峡、スエズ運河、ホルムズ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、マラッカ海峡、パナマ運河など世界の主要なチョークポイントに軍を置いて、常時にらみをきかせています。

 

 

バランスパワー

 

歴史上も、現在も、一国だけで世界を支配できた国はありません。つまり、三国志のように、国家間のパワーバランスをとることも戦略上とても重要です。1位の国は、3位の国と同盟を結び、2位の国の力を削ぐというのはよく見られる戦法です。

著者さんは、トランプ大統領が同盟の論理をよく理解できていないので、たとえばドイツや日本などの協力が必要だ、というと、じゃあ脅し付けて言うことを聞かせればいい、となってしまうところが問題だと述べていました。今の地政学的アメリカのグランド・ストラテジーは、中国のような大国が新たな地域覇権を築くことを阻止することなのだそうです。

 

 

日本の戦略

 

では、日本はどのような戦略を取るべきかと言うと、現在の日本には「世界を自国の都合に合わせて変える」準備も、モチベーションもありません(笑)。なので、「あるがままを受入れ、最適解を模索する」というのが最善になるだろうということでした。

自国のグランド・ストラテジーを描く際、最も大事なのは「国家が存続すること」です。つまり、地域で強圧的な覇権国の台頭を阻止しつつ(今なら中国のこと)、自由で開かれた同盟の一員としての役割を果たす(シーパワーアメリカとの同盟のこと)ことが今の日本の戦略と言えそうです。

米中が激しく対立している状況というのは、世界的には深刻な問題ですが日本にとっては存在感を高めるチャンスでもあります。一方、中国が著しく衰退したり、逆に米中関係が劇的に良くなったりすると、日本のポジションも変わっていきます。地政学的な見方をすると、ライバルの衰退が必ずしも自国の有利につながる訳ではないというのも、押さえておくポイントになります。

 

 

まとめ

 

過去記事「グレートリセットって!?」や「世界を統べる存在がイルってよ」でディープステイト(DS)やイルミナティ、フリーメイソンについて学びましたが、どうも納得できなかったんです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

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いくらお金があって、人脈があっても各国を思いのままにコントロールなんてできるのか?人間には寿命があるのだから、世代交代してしまえば考え方も変わるし、そもそも世界中の有力者、権力者が同じ意見でまとまるはずないとずっと思っていたので、本書の説明、考え方はとても腹落ちする内容でした。

地政学から世界を見ると、また違った見え方ができるんだなと勉強になりました。

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