マムシは森林や田畑、水辺など自然下のさまざまな環境で生息する。年間で1000〜3000人ほどが咬まれ、10名ほどが亡くなっているという。恐ろしや。
しかしマムシは臆病なヘビで、歩いている我々に向かって「二酸化炭素吐き散らしやがって、あいつら咬むか」と積極的に襲いかかってくるわけではない。草むらや物陰に潜んでいる彼らが、山菜採りや2億円が詰め込まれたカバン探しなどで薮に入った人間に踏まれたりして驚いてカウンターで噛みつくといった不幸な接触が起こるのが主たる原因である。
そんならお互いコミュニケーションをきちんと取って接触しないようにすればいいのだが言語を解さないマムシに「人間に注意」と伝えるのは難易度高しなので人間側に注意を促すしかない。こうして「マムシ注意」という看板が掲げられるのである。
日本にいるマムシは「ニホンマムシ」と「ツシママムシ」の2種のみだが、マム注で描かれるマムシには日常に潜む死への畏怖が反映されたり、その姿は実に多様だ。
集めたマム注をざっくりジャンル分けして紹介するので年末調整の息抜きに鑑賞していただきたい。
字マム
「マムシ」毒蝮三太夫のように頭にわざわざ毒とつけなくとも、野外ではその字面だけで十分に恐ろしさが伝わってくる。
マム注全般にいえることだが、マムシ表記をひらがなにするかカタカナにするか問題がある。もちろんどちらでも間違いではないのだが、私が見てきた中ではカタカナが多い。ひらがなはまむし酒や精力剤などマムシ製品の品名で用いられることが多く、ほのかに滋養強壮感がある。
写マム
「ここにいるぞ!」というリアリティを臨場感豊かに表現するのはやはり写真である。マム注で初めてマムシの姿をちゃんと見るという人もいるかもしれない。
リアル絵マム
マムシの印象をより鮮明にすべくイラストで表現されたマム注が各地で掲げられており、マム注の中で一番多彩なラインナップとなっている。
まずはしっかり描き込まれたリアルなマムからいってみよう。
このマム注では重要な指摘がなされている。
前述したように不意に接触して咬まれるパターンの他に、マムシのことを知らない子どもが興味本位で捕まえて咬まれたり、逆に中途半端に「おれヘビ慣れてますから」みたいな感じを醸し出している人が手を出してやられたりといったケースが頻発しているのだ。例えば、そう....私のような。
マムシは見つけても決して触ったりせず、観察するだけにしていただきたい。自戒も込めに込めまくって。