長い時間だった
今まで何の疑問もなくヨーグルトにはフロストシュガーと思っていた。それを疑い、今回の調査になったのだけれど、結果的にやはりフロストシュガーという結論になった。先人たちが正しいのだ。それがわかっただけでもよかったとしたい。
フロストシュガーというものがある。ヨーグルトに入れる砂糖だ。一昔前はヨーグルトを買うとこの砂糖が付いてきた。ただ最近はヨーグルトを買ってもフロストシュガーは付いてこない。ヨーグルトとフロストシュガーはセットなのに、だ。
セットなのに、と言ったけれど、本当にそうなのだろうか。フロストシュガーで満足してしまっていた。もしかすると他の砂糖でもいいのかもしれない。ということで、他の砂糖をヨーグルトに入れてみたいと思う。
砂糖は「さとうきび」や「テン菜」から作られる。さとうきびは竹みたいなやつで、テン菜は大根みたいなものだ。日本ではさとうきびから砂糖が作られていることが多い。テン菜もその時期に北海道に行けば、テン菜畑が広がっている。
今回のポイントはヨーグルトに入れる砂糖である。我々はいつから、ヨーグルトに砂糖を入れなくていい、ということにしたのだろうか。入れたいじゃない。昔は入れていたじゃない。ヨーグルトのフロストシュガーは密な関係だったじゃない。
私はヨーグルトとフロストシュガーは絶対にセットだと思っているので、フロストシュガーを買っている。ただふと思ったのだ。本当にフロストシュガーが一番なのか、と。砂糖はいろいろある。もっとヨーグルトに合う砂糖があるかもしれない。
最初は日本で砂糖と言えばの「白砂糖」。料理に使う時もだいたいこの白砂糖を使うと思う。我が家にも常備してある。なんで今までヨーグルトに入れるという発想がなかったのだろう。まずは観察してみよう。
別にチャンスではないのだけれど、今回はどの砂糖も顕微鏡で見てみたいと思う。砂糖によって粒が異なるかもしれない。その違いを見ることで、なるほどだからヨーグルトに、ということになるかもしれないのだ。
これがダイヤならお金持ちになれる。ただ砂糖なのだ。それほどに美しい。白砂糖だし、見た目も白いから、粒も白いのだろうと思っていたら、透明なんだね。綺麗だね。あと甘いくせに尖っているね。顕微鏡によりわかることもあるのだ。
ヨーグルトに白砂糖を入れた。今後も同じ分量のヨーグルトに同じ分量の砂糖を入れて、厳正なる調査をしたいと思う。ちなみにヨーグルトに白砂糖は、甘かったけれど、溶けにくいのかサクサクという舌触りがあった。私が求めるクオリティにない。
次は三温糖。白砂糖に比べると甘みが強く感じられる特徴がある。料理に使うとツヤがでるので、煮物などに適しているそうだ。砂糖にはいくつか製法があるそうだけれど、三温糖は白砂糖と同じく精製糖である。
顕微鏡で見てみると粒の形は白砂糖と同じような感じだ。ただ色味が異なる。茶色だ。薄い茶色。ただスケルトン的要素もあり美しい。今まで砂糖について深く考えていなかったので、たぶん私は三温糖を使ったことがない。これが初めてだ。
食べてみると甘い。確かに甘い。だって砂糖を入れているからね。ただサクサク感が残っている。ヨーグルトに溶けにくいのだろう。時間が経ったら溶けていたけれど、こちとら心は江戸っ子だから、すぐ食べたい。
世界でもっとも使用量が多い砂糖はグラニュー糖だそうだ。コーヒーに入れる砂糖も基本的にはグラニュー糖だし、スイーツを作るときにもグラニュー糖を使う気がする。スティック砂糖でもおなじみだ。
一個一個が決まった形をしている。結晶という感じだ。今まで特になにも考えずに使っていたけれど、こんなに綺麗なんだと驚いた。人工的に作り出した感じすらするけれど、別に氷を作るように製氷機でということはないと思うので、自然はすごい。
甘い。そして、サクサクだ。サクサクと書くと美味しく聞こえるけれど、あさりに砂が入っていた感じ。やはり溶けるのに少し時間がかかるようだ。フロストシュガーにはない現象なので、砂糖にもいろいろあるんだと噛みしめている。
ザラメである。カラメルが入っているため茶色。粒が大きいのが特徴だ。一粒、一粒を手で持つこともできる。この後、顕微鏡で見るのだけれど、画角に入らないほどだ。でかいことはいいことだ、と思っているので期待したい。
私は大きい葛篭と小さい葛篭なら大きい葛篭を選ぶ社会を目指している。なんで小さい方を選ぶことがよいのか。大きい方がいいじゃない。宝石だって大きい方が高いじゃない。それに相手が大きい葛篭と小さい葛篭を準備しているのがなんだか嫌だ。両方くれればいいのに。
でも、よく考えると、ヨーグルトに入れる砂糖という点では小さい方が素晴らしいのではないだろうか。それは正解で、ヨーグルトに入れるとザクザクしていた。甘いけど、やっぱり溶けないのだ。大きいことはヨーグルトにおいてはダメなのかもしれない。
次は「てんさい糖」。テン菜で作った砂糖ということだ。テン菜は「サトウダイコン」と言ったり、「ビート」と言ったりもする。先にも書いたように日本の砂糖はさとうきびで作ることが多いけれど、北海道ではテン菜でもバンバン作られている。
今までは形に法則性のようなものがあったけれど、こちらは子供が片手で握ったおにぎりのような形になっている。スケルトン感が薄いのも特徴だろう。ちなみにテン菜は「サトウダイコン」とも言うけれど、大根はアブラナ科で、テン菜はヒユ科なので、大根とは全然違う。
これもやっぱりヨーグルトに素早く溶けるということはなかった。サクサクというよりは、噛みしめる感じがする。甘みはある。でも、ヨーグルトに求める砂糖にはなっていない。やはりフロストシュガーはすごいということだろうか。
次は「すだき糖」。さとうきびから作られている砂糖だ。白砂糖などとは異なり含蜜糖で作られている。ミネラルなどを豊富に含む糖蜜を結晶と分離せずに作る砂糖だそうだ。
粒の大きさはいろいろある感じだ。透明感は若干ある。そして、茶色だ。角張っている感じはする。ただやわらかな甘みがあるそうだ。角張っている感じと甘みは別に関係ないのだ。
甘いけれど、今までに比べると甘みがすっきりしている感じ。私が求めるアリが狂喜乱舞する甘みはない。癖もないので食べやすいのだけれど、私が求める感じではないのだ。
さとうきびで作られた黒砂糖。その名前の通りに黒い。黒砂糖の飴が子供のときに好きでよく食べていた。黒いのに甘いっていうのが子供心に刺さったのだ。当時の私には黒と甘いを結びつけることができなかったのだ。黒いと苦そうじゃん。
ここまで6種類の砂糖を顕微鏡で見てきたけれど、初めての顕微鏡からも伝わる「甘そうだ」という雰囲気。なんだかベトベトしているような気がする。これは期待できるのではないだろうか。
甘いし、サクサク感もなかった。ただ彼ね、自己主張が激しい。急に南国。ヨーグルトが南国味になっている。ヨーグルトを食べると牛が思い浮かぶのだけれど、黒糖を入れたヨーグルトはその牛が水牛なのだ。自己主張が強い、そこがマイナスだ。
最後はいよいよフロストシュガーだ。グラニュー糖を特殊加工して作り出されし砂糖が「フロストシュガー」だ。初めてヨーグルトを食べたときから、私は常にフロストシュガーと共にあった。ここまで7つの砂糖をヨーグルトに入れたが満足いくものにはなっていない。
砂糖の塊という感じがする。しかも、フワフワな感じ。今までの砂糖とはあきらかに作りが違うことが顕微鏡からわかる。今までのものは印象としては宝石などに近い感じがしたけれど、フロストシュガーはスポンジ的なやわらかさがある。
はい、美味しい。全部に同じ量の砂糖を入れているのに、フロストシュガーはずば抜けて甘かった。求めている甘さ。アリが狂喜乱舞する甘さなのだ。しかも、すぐに溶けている。癖もない。
ここまで散々いろいろな砂糖を顕微鏡で見たり、ヨーグルトに入れて食べてみたりしたけれど、結論は「フロストシュガー」の一択だ。この時間はなんだったのだろう、と思うけれど、そんな時間もフロストシュガーの甘さの前では無力だ、ということにしたいです。
今まで何の疑問もなくヨーグルトにはフロストシュガーと思っていた。それを疑い、今回の調査になったのだけれど、結果的にやはりフロストシュガーという結論になった。先人たちが正しいのだ。それがわかっただけでもよかったとしたい。
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