特集 2020年9月15日

あなたの知らない立ち食いそば屋めぐり~東急沿線さんぽ~

立って食べたいそばがある。

立ち食いそば屋というものがある。お腹ぐらいの高さのテーブルしかなく、イスがない。ファミレスのように長時間ダラダラといるタイプのお店ではなく、食べてすぐに帰る、時間のない人におすすめのお店だ。

だいたい時間のないときに行くので、味わって食べることが少ない。今日はしっかりと味わって食べよう思う。

※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:そろそろしぶそばを知っておきたい~東急沿線さんぽ


ザ・立ち食いそば屋

今回はチェーン店ではない立ち食いそば屋に行ってみようと思う。それぞれのお店の良さを体中にあびて、ホームランを打ちたい。

まずは東急東横線の新丸子駅にある山七というお店。立ち食いじゃなくて、喰い。強い。

駅から徒歩1分もかからない。走れば20秒で行けると思う。それぐらいの近さ。

駅からすぐというのがいい。限られた時間しかない昼休みにすばやく食べられる。全然関係ないが、小学生のとき、2時間目と3時間目の授業の間に20分休みというのがあった。外に遊びに行き「時間が無限にあるぜ!」と思っていたが、社会人の今、昼休みが20分になったらと思うと怖いので思わないほうがいい。

壁一面のメニュー。壁画にして子孫たちに残してあげたい。

ゴシック体のフォントがかわいらしい。あまりのかわいさに、ふとハムスターを飼いたいなと思ったが、ペットNGの家なのでダメだ。

ソーセージ天がある。実家でしか食べたことないやつだ。これがチェーン店にはない良さ。

何を食べようか。今日は何も食べてないのでお腹が空いている。あと、この後何件か行こうとしているので軽くにしようと思った。

そう思っていたけどカレーライスと冷やしたぬきそばを頼んだ。欲が勝った。

たぬきそばが好きなのでそれだけにしようと思っていた。でも「自家製カレーライス」と書いてあるもんだから頼んでしまった。魅力的な言葉なカレーライスなのが悪い。

おいしいので丸くおさまった。よかったです。

きしめんがある立ち食いそば屋

中延駅にある大和屋。こちらも駅に近く100歩かからない。飛べる人がいたら歩かないでも行ける。驚きの近さである。

大和屋。外観の情報量が多い。
頑張れば次の電車が来るまで戻れそうな近さ。

外の黒板にはメニューが少し書いてある。見ると冷やしを始めたお知らせの下にかわったやつがいる。名古屋からやってきた転校生、きしめんだ。

細うどんも気になる。あと、カレーライスのことをちらっと見てしまった。

中に入って口頭で注文する。あとは出てくるのをテレビを待ちながら待つ。

テレビを待ちながら待つ。なんだこのヒーリング効果のある時間は。

全員が食べたらすぐに出る立ち食いそば屋で、なぞのゆったりした時間が流れる。土曜日の夕方近くに行ったせいか、みんななんかスマホをいじりながら食べていたり、たまにテレビをぼーっとしたりしている。このまま映像化してDVDにして発売してほしい。

値段も安い。500円するのがほぼない。
目の前に天ぷらがある。実家ならつまみ食いをしてしまうが、お店なので怒られて警察が来るので我慢した。

そして、頼んだものがやってきた。

きしめんのちくわ天トッピング。第一印象から決めてました。

少しだけ甘めのつゆをちくわ天にたっぷりとしみ込ませて食べる。じゅわっとあふれるつゆとちくわ天のおいしさに中延に住みたくなった。家賃の相場を調べたらワンルームで8万円だった。1000LDKで5万円の家を探しています。

「冷やしで!」というのを忘れて熱々が来ましたが、おいしかったです。
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午前中で閉まる市場の立ち食いそば

続いての12時で閉店しまうそば屋だ。朝の4時からお昼の12時というかなり特殊な時間帯での営業。めちゃくちゃ早起きして行った。漁師ぐらい早い。

4時46分の始発に乗って行こうとしているが、写真を撮ったときには無理だなと思った。(駅まで10分かかる。あと、先週も行こうとしたが脅威の16時間睡眠をしたので無理だった。)

でも、走ってなんとか間に合い向かった。電車に乗っているときに気づいたが、別に始発じゃなくてもいいなと思った。

そして、たまプラーザ駅からバスに乗り、
ハトに襲われ、
たまプラーザ駅構内に響く「うわっ!」の声。
そんなこんなで着いたのが川崎市中央卸売市場北部市場である。

基本的に市場が開放時には、一般の人も入ることができ、土曜日には見学ツアーや見学者向けの販売会をしている。飲食店も充実しているが、ほとんどのお店が11時から12時には閉まってしまうそうだ。

警備員の人に聞いたら「お昼過ぎにきて、お店がやってなくて帰る人をよく見る」そうだ。早朝に来てよかった。

日用品から肉まであるのでここで生きていける。調べたら住めなかった。
なにかあったときのためにタッパーに入れて常に持ち歩きたい焼豚。
見たことないキッチンペーパー「職人魂」。買いたいが職人ではないのでやめた。

そして、見つけたのが今回行きたかった富士弁。市場で働く人たちでにぎわうお店だ。お店の外ではお酒を飲んでいる人たちがいる。時間を見たら7時半だった。素敵な休日。

お店の名前は「富士弁」。市場の人たちだけではなく、見学者も入れる。
メニューも豊富である。朝なので納豆定食をおしそうになったが耐えた。
座って食べることもできるが、
立ち食いもできる。

中は市場の人たちが「そばで!」と威勢よく注文し、厨房は大忙しだ。そんな中で注文をして待つ。

紅しょうがと福神漬けはセルフサービス。
まずは人気のもつ煮。

みそ仕立てで臭みがなく、かめばかむほどにうま味が出てくる。ビールかライスを食べたくなるしょっぱめの味付け。たぶん、仕事終わりにこれとビールがあったらたまらないだろうな。

そして頼んだのは冷やし山菜そば。たまに山菜をむしょうに食べたくなるときがある。それが今だ。

そして頼んだそばはこちら。シャキシャキとした歯ごたえの山菜が口の中いっぱいに山の恵みを運んでくれる。

ゆでたまごが入っているとうれしい気持ちになりますね。
もつ煮がご飯やお酒に合うように少ししょっぱめに作られている。
しょっぱいな。(汗がすごいのはここに来るまでに迷って40分歩いたからです。)
なので、もつ煮を食べてから
ライス代わりのそばを食べて、
そばをごはん代わりにしたがありだなと思った。新しい時代の到来である。
帰りに見つけた切り株の上に座ったら美少女みたいに見えるかなと思ったが、結果としては美少女に見えず警備員に見られた。

激安の立ち食いそば

東急東横線の大倉山駅からバスに乗り、20分ほどで着く「ごん兵衛」は地元の人たちに愛されるお店だ。お昼には近所の人たちやこの近くで働いてる人たちでにぎわう。

本当にやっているのか、不安になる外観。

もしお店だと知らなければ、目の前を通っても素通りしてしまうかもしれない。しかし、ここがそば屋なのだ。

店内に入ったらいすが用意されていた。座って食べるのなら立ち食いそばじゃない!というご意見もあるだろうが、店内の雰囲気が立ち食いそば特有の素っ気ない感じが出ているので、これは立ち食いそばとして扱います。だって、しぶそばとかにも座る席があるじゃん。

そばが200円でトッピングで色々と乗せられる。

かけそばなら200円。激安の殿堂も驚きの安さ。500円を出したらおつりでチョコモナカジャンボを食べられる。しかも2個も。

盛りだくさんなセットメニューもかなり安い。

ガッツリとした定食が心をつかんできた。しかも量が多く、お腹いっぱいになる。今、ふと思ったがそばとライスを同時に食べる日がとうとうやってきたと思った。初めての経験である。このとき、日本は夜明けした。

そばと半ライスに、白身魚フライとアジフライ。これがおさかな天国ってやつか。
ソースをかける祭りが行われた。おみこしをかつぎたい。わっしょい、わっしょいと言いながらソースをかけた。本当は無言でかけた。
そばもネギと天かすがたっぷりでうまいんすよ。

とうめいなつゆは昆布だしの味が強い。そばも立ち食いそば特有の歯を入れたらすぐにちぎれるふわふわした食感。ネギや天かすと一緒に食べるとちょっと笑ってしまうおいしさ。そして、ふわふわでサクサクの白身魚フライにアジフライ。みんな違ってみんないい。韻をふむたくなるうまさ。

つけものでも色々と乗るとテンションが上がる。地味だが豪華な丼になった。ソースも多めにかけちゃうぜ。
小さな幸せをくちいっぱいにかみしめています。祭りの盛り上がりが最高潮をむかえている。来年も開催予定です。
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大岡山にある外で食べられるそば屋

続いては大岡山駅から歩いて8分ほどの場所にある「よりみち」というお店。ネットで調べたら「米次郎」となっているが、本当の名前はよりみちらしい。

環七通りの近くにあるので、運転中にお腹が空いた人が思わず、よりみちしたくなるほどおいしいそばを味わえるのだ。

実はここのお店に来るのは2度目である。1週間前に来たのだがある問題が発生した。再現をご覧ください。

最初、お店に着いたとき、写真を撮ろうした際にカメラを落としてしまった。
壊れてないか心配になりながらも撮影をする。たまに「管理ファイルが破損しています」と出て不安が増す。
さて、撮り終わったので帰ろうと思い、カメラを見たら「NO CARD」と出ていた。ずっと出ていたらしい。(SDカードが入っていなくて、写真を撮っても記録されない状態)
ショックのあまり泣きそうになった。心をいやすためにハーゲンダッツを涙目で食べた。涙のハーゲンダッツ。

みんな、ちょっと目を閉じて想像してほしい。写真が撮れたと思って、ウキウキ気分で帰って家で撮れてなかったことがわかったときの落ち込みようと言ったら、思い出しただけで泣きそうになるだろう。気を付けたほうがいいよ。

なので2回目に訪問である。逆に2回も行けて幸せです。それぐらいうまいそばを見つけたのだ。

外観から良さがある。
都内ではめずらしいごぼう天がある。
店内も最高にノスタルジーな雰囲気。嵐を呼ぶ男のポスターが飾ってある。

口頭で注文をする。最初はどうやって注文していいかわからなかったが、もう2回目である。「アジ天そばをください!冷やしで!!」と元気よく伝えた。

でも「うち冷やしはやってないんですよ」と言われた。2回目で知った発見だった。

ちなみに店内でも食べられるが、
外のベンチでも食べられる。

外の空気を吸いながら、暑い日差しをあびて、熱々のそばをすすると「今、生きているな」と思う。汗をかきながらワシワシと食べるそばもいいものだ。

アジ天にたまごを入れた。食べた瞬間「勝ったな」と思った。
かつおだしのさっぱりしたつゆと、そばがちょうどいいふわふわ加減。

好きなそばがカップ麺の緑のたぬきなのだが、そのそばみたいで好きです。これは最高にほめています。さらにテンションが上がってこんなことした。

アジ天をつゆにたっぷりとしみこませて、
これでもかとしみこませて、ときには黄身をからませてから
食べたらこれがじゅわっとふわっとして、すごいことになるんですよ。

外で食べると通り過ぎる人に見られる。もしかしたら取られるかもしれない、そんな緊張感がある。たぶん、緊張感は自分だけかもしれない。違う席にいる夫婦は談笑をしていた。そんなことをしていたら、そばを全部食べられるぞ。

ここは戦場だと思いながらそばを食べる。
いましかない!
食べているときも常に周りを見わたして緊張感を持つ。おいしかったです。

海の見える立ち食いそば屋

最後はみなとみらい線の日本大通り駅。みなとみらい線は東急沿線じゃないという人もいるだろうが、でもつながっているから。人類みな兄弟と同じ理論である。

神奈川県庁のある日本大通り。

駅から少し海が見えてくる。カップルが抱き合っているのを見た。3回見た。帰るときにも見た。地元の駅でも見た。みんな抱き合っている。

風当たりがすごいぜ!

雨が強く降り出した中、着いたのがこちら。「海員生協大桟橋 立ち食いコーナー」というお店だ。

自動ドアの部分に書かれている「KAIKYO」とは?

生活協同組合こと、生協。よく宅配で食材やご飯を届けてくれたり、大学の売店を運営していたりするあれだ。

こちらは海の仕事にかかわる人たち向けに設立されたのが海員生協であり、こちらの食堂は海員生協が運営をしている。

食堂っぽい雰囲気の店内。
そばだけでなくカレーライスが人気。

安くてボリュームたっぷりの料理たち。人気のカレーライスは370円。家の近くでやってほしい。でも、家に近くには海がないのでだめだ。8億円あったら海を作って、この食堂を作りたい。

頼んだのはハンバーグカレー。そばの記事でカレーを食べ始めた。

そばも好きだが、カレーも好きだ。しかも人気だというのなら、食べなきゃだめだろう。カレーがおれを呼んでいるから。

ご飯が茶碗3杯分ぐらいたっぷりで、そこになつかしさのある少しピリッとしたカレーに、ハンバーグが乗っている。そして、こちらのハンバーグには秘密がある。

チーズインハンバーグなんですよ。
そんなのずるいなと思った。

チーズインなんて聞いてない。そんなのうまいに決まっているじゃないか。食べたら想像以上においしくて笑ってしまった。ハンバーグは肉汁があふれ出て、そこにチーズのトロトロとまろやかさが混ざり、カレーとご飯を一緒に食べたら口がありがとうと言っている。こちらこそ。

カレーをほおぼりながら窓の外を見ると、みなとみらいのビル群と海が見える。ワインを片手にロマンチックな気分にひたれる景色だ。今、チーズとカレーが混ざった部分を食べました。

くもりのみなとみらい。物語が始まりそうな雰囲気があっていい。
事件なんて起きないままカレーを食べた。そばもいいけどカレーもね。

いいものを食べた。海を見て帰ろうと思ったら、スマホの通知が来ていた。銀行のアプリで引き落としがあったのだ。あ、あれかなと思って、下の方を見ていたらおろした記憶のない金額があって、潮風を前進に浴びながら頭をフル回転した。

なんだこれ。
ぜんぜんわからない!

余談中の余談

おろしたATMの場所が記載されているのだが、その場所には行ってない。え、不正なやつかな、と思い、銀行に聞いたら「〇〇でお金をおろしませんでしたか?」と聞かれた。

行ったなと思って「あー行きました」と伝えた。夏が終わろうとしていた。日記か?

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