余談中の余談
おろしたATMの場所が記載されているのだが、その場所には行ってない。え、不正なやつかな、と思い、銀行に聞いたら「〇〇でお金をおろしませんでしたか?」と聞かれた。
行ったなと思って「あー行きました」と伝えた。夏が終わろうとしていた。日記か?
立ち食いそば屋というものがある。お腹ぐらいの高さのテーブルしかなく、イスがない。ファミレスのように長時間ダラダラといるタイプのお店ではなく、食べてすぐに帰る、時間のない人におすすめのお店だ。
だいたい時間のないときに行くので、味わって食べることが少ない。今日はしっかりと味わって食べよう思う。
※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
今回はチェーン店ではない立ち食いそば屋に行ってみようと思う。それぞれのお店の良さを体中にあびて、ホームランを打ちたい。
まずは東急東横線の新丸子駅にある山七というお店。立ち食いじゃなくて、喰い。強い。
駅からすぐというのがいい。限られた時間しかない昼休みにすばやく食べられる。全然関係ないが、小学生のとき、2時間目と3時間目の授業の間に20分休みというのがあった。外に遊びに行き「時間が無限にあるぜ!」と思っていたが、社会人の今、昼休みが20分になったらと思うと怖いので思わないほうがいい。
ゴシック体のフォントがかわいらしい。あまりのかわいさに、ふとハムスターを飼いたいなと思ったが、ペットNGの家なのでダメだ。
何を食べようか。今日は何も食べてないのでお腹が空いている。あと、この後何件か行こうとしているので軽くにしようと思った。
たぬきそばが好きなのでそれだけにしようと思っていた。でも「自家製カレーライス」と書いてあるもんだから頼んでしまった。魅力的な言葉なカレーライスなのが悪い。
中延駅にある大和屋。こちらも駅に近く100歩かからない。飛べる人がいたら歩かないでも行ける。驚きの近さである。
外の黒板にはメニューが少し書いてある。見ると冷やしを始めたお知らせの下にかわったやつがいる。名古屋からやってきた転校生、きしめんだ。
中に入って口頭で注文する。あとは出てくるのをテレビを待ちながら待つ。
全員が食べたらすぐに出る立ち食いそば屋で、なぞのゆったりした時間が流れる。土曜日の夕方近くに行ったせいか、みんななんかスマホをいじりながら食べていたり、たまにテレビをぼーっとしたりしている。このまま映像化してDVDにして発売してほしい。
そして、頼んだものがやってきた。
少しだけ甘めのつゆをちくわ天にたっぷりとしみ込ませて食べる。じゅわっとあふれるつゆとちくわ天のおいしさに中延に住みたくなった。家賃の相場を調べたらワンルームで8万円だった。1000LDKで5万円の家を探しています。
続いての12時で閉店しまうそば屋だ。朝の4時からお昼の12時というかなり特殊な時間帯での営業。めちゃくちゃ早起きして行った。漁師ぐらい早い。
でも、走ってなんとか間に合い向かった。電車に乗っているときに気づいたが、別に始発じゃなくてもいいなと思った。
基本的に市場が開放時には、一般の人も入ることができ、土曜日には見学ツアーや見学者向けの販売会をしている。飲食店も充実しているが、ほとんどのお店が11時から12時には閉まってしまうそうだ。
警備員の人に聞いたら「お昼過ぎにきて、お店がやってなくて帰る人をよく見る」そうだ。早朝に来てよかった。
そして、見つけたのが今回行きたかった富士弁。市場で働く人たちでにぎわうお店だ。お店の外ではお酒を飲んでいる人たちがいる。時間を見たら7時半だった。素敵な休日。
中は市場の人たちが「そばで!」と威勢よく注文し、厨房は大忙しだ。そんな中で注文をして待つ。
みそ仕立てで臭みがなく、かめばかむほどにうま味が出てくる。ビールかライスを食べたくなるしょっぱめの味付け。たぶん、仕事終わりにこれとビールがあったらたまらないだろうな。
そして頼んだそばはこちら。シャキシャキとした歯ごたえの山菜が口の中いっぱいに山の恵みを運んでくれる。
東急東横線の大倉山駅からバスに乗り、20分ほどで着く「ごん兵衛」は地元の人たちに愛されるお店だ。お昼には近所の人たちやこの近くで働いてる人たちでにぎわう。
もしお店だと知らなければ、目の前を通っても素通りしてしまうかもしれない。しかし、ここがそば屋なのだ。
店内に入ったらいすが用意されていた。座って食べるのなら立ち食いそばじゃない!というご意見もあるだろうが、店内の雰囲気が立ち食いそば特有の素っ気ない感じが出ているので、これは立ち食いそばとして扱います。だって、しぶそばとかにも座る席があるじゃん。
かけそばなら200円。激安の殿堂も驚きの安さ。500円を出したらおつりでチョコモナカジャンボを食べられる。しかも2個も。
ガッツリとした定食が心をつかんできた。しかも量が多く、お腹いっぱいになる。今、ふと思ったがそばとライスを同時に食べる日がとうとうやってきたと思った。初めての経験である。このとき、日本は夜明けした。
とうめいなつゆは昆布だしの味が強い。そばも立ち食いそば特有の歯を入れたらすぐにちぎれるふわふわした食感。ネギや天かすと一緒に食べるとちょっと笑ってしまうおいしさ。そして、ふわふわでサクサクの白身魚フライにアジフライ。みんな違ってみんないい。韻をふむたくなるうまさ。
続いては大岡山駅から歩いて8分ほどの場所にある「よりみち」というお店。ネットで調べたら「米次郎」となっているが、本当の名前はよりみちらしい。
環七通りの近くにあるので、運転中にお腹が空いた人が思わず、よりみちしたくなるほどおいしいそばを味わえるのだ。
実はここのお店に来るのは2度目である。1週間前に来たのだがある問題が発生した。再現をご覧ください。
みんな、ちょっと目を閉じて想像してほしい。写真が撮れたと思って、ウキウキ気分で帰って家で撮れてなかったことがわかったときの落ち込みようと言ったら、思い出しただけで泣きそうになるだろう。気を付けたほうがいいよ。
なので2回目に訪問である。逆に2回も行けて幸せです。それぐらいうまいそばを見つけたのだ。
口頭で注文をする。最初はどうやって注文していいかわからなかったが、もう2回目である。「アジ天そばをください!冷やしで!!」と元気よく伝えた。
でも「うち冷やしはやってないんですよ」と言われた。2回目で知った発見だった。
外の空気を吸いながら、暑い日差しをあびて、熱々のそばをすすると「今、生きているな」と思う。汗をかきながらワシワシと食べるそばもいいものだ。
好きなそばがカップ麺の緑のたぬきなのだが、そのそばみたいで好きです。これは最高にほめています。さらにテンションが上がってこんなことした。
外で食べると通り過ぎる人に見られる。もしかしたら取られるかもしれない、そんな緊張感がある。たぶん、緊張感は自分だけかもしれない。違う席にいる夫婦は談笑をしていた。そんなことをしていたら、そばを全部食べられるぞ。
最後はみなとみらい線の日本大通り駅。みなとみらい線は東急沿線じゃないという人もいるだろうが、でもつながっているから。人類みな兄弟と同じ理論である。
駅から少し海が見えてくる。カップルが抱き合っているのを見た。3回見た。帰るときにも見た。地元の駅でも見た。みんな抱き合っている。
雨が強く降り出した中、着いたのがこちら。「海員生協大桟橋 立ち食いコーナー」というお店だ。
生活協同組合こと、生協。よく宅配で食材やご飯を届けてくれたり、大学の売店を運営していたりするあれだ。
こちらは海の仕事にかかわる人たち向けに設立されたのが海員生協であり、こちらの食堂は海員生協が運営をしている。
安くてボリュームたっぷりの料理たち。人気のカレーライスは370円。家の近くでやってほしい。でも、家に近くには海がないのでだめだ。8億円あったら海を作って、この食堂を作りたい。
そばも好きだが、カレーも好きだ。しかも人気だというのなら、食べなきゃだめだろう。カレーがおれを呼んでいるから。
ご飯が茶碗3杯分ぐらいたっぷりで、そこになつかしさのある少しピリッとしたカレーに、ハンバーグが乗っている。そして、こちらのハンバーグには秘密がある。
チーズインなんて聞いてない。そんなのうまいに決まっているじゃないか。食べたら想像以上においしくて笑ってしまった。ハンバーグは肉汁があふれ出て、そこにチーズのトロトロとまろやかさが混ざり、カレーとご飯を一緒に食べたら口がありがとうと言っている。こちらこそ。
カレーをほおぼりながら窓の外を見ると、みなとみらいのビル群と海が見える。ワインを片手にロマンチックな気分にひたれる景色だ。今、チーズとカレーが混ざった部分を食べました。
いいものを食べた。海を見て帰ろうと思ったら、スマホの通知が来ていた。銀行のアプリで引き落としがあったのだ。あ、あれかなと思って、下の方を見ていたらおろした記憶のない金額があって、潮風を前進に浴びながら頭をフル回転した。
おろしたATMの場所が記載されているのだが、その場所には行ってない。え、不正なやつかな、と思い、銀行に聞いたら「〇〇でお金をおろしませんでしたか?」と聞かれた。
行ったなと思って「あー行きました」と伝えた。夏が終わろうとしていた。日記か?
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |