新春 短い記事まつり2022 2022年1月2日

年賀状を官公庁のパワポ風にする

お役所パワポと呼ばれている資料がある。

官公庁で作られる資料で、1ページに文字や図を詰め込んであるのが特徴だ。
見ずらいと言われているが僕は大好きでよく眺めている。

そうだ、年賀状をあれにしてみよう。
 

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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これが官公庁のパワポです

官公庁のパワポで有名なのがこちら。

出典:「医療・介護に係る長期推計 (主にサービス提供体制改革に係る改革について)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ets7-att/2r9852000001f34t.pdf

一見ごちゃっとしているが、左側が地域レベルの話で、右は一番狭い地域での話を拡大して書いてあることがわかると理解しやすい。

全体の構成としてはこうなっている
「医療・介護に係る長期推計 (主にサービス提供体制改革に係る改革について)」(厚生労働省)を元に筆者加工。以下の画像2点も同様

一部を拡大して説明しているにもかかわらず、全体の図と矢印でつながっていたりヘリコプターが飛んでいる。

一部でありながら全体とつながっている。フラクタルだ。

クリップアートのチョイスにも唸るものがある。

突然のキン肉ハウス

担当者の鼻息が伝わるようだ。「これだ!」と思っただろう。

普通であれば4~5ページに分けられる内容だが、これをあえて1枚にまとめた結果、資料の上に世界(the universe)が現れている。
宗教建築が世界観を表しているのにも通じる。

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これを年賀状にする

さて、いい機会なので年賀状でこれに挑戦してみよう。

「昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。
本年は明るい年になることを祈念いたします。よろしくお願いします。」

この文章を官公庁のパワポ風にしてみた。

作:林雄司(拡大

中央に時間、そのまわりに年賀状をやり取りする人との関係、さらにその外側には地域を配置した。

左上を説明させていただきます

まずは上部中央。
年賀状を送る相手とはいろんな関係がある。取引先からアカウント乗っ取られてレイバン安売りのメッセージを送ってきた人まで。
それらをひっくるめて「お世話」という便利な言葉でまとめた。(「しばらく」が「せばらく」になっているのは訛り)

そこから左下に伸び、「ありがとうございました」につながる。
脳内物質は腸で作られているらしいので、快便が気分の安定に繋がり、人への感謝に通じるインナーワールドの図だ。

「本年は明るい年になることを祈念いたします」以降

どんな年が良いかは人によって異なるので「明るい年」と抽象的にまとめた。
それが実現してほしいが、個人の力では及ばないこともある。ということでここは「祈念」としたことを表す。

そして最後の万能フレーズ「よろしくお願いします」の背景にあるさまざまな思いも明記した。

そのほか、あけおめのPDCAが地域に及ぼす影響、及ぼされる影響などもまわりに書いたので拡大してじっくり見てほしい。見て!(大きな画像

すげえ時間かかった

スライド1枚に5時間かかってしまった。それでもまだ本物の官公庁パワポに比べると密度が足りていない。
相当時間がかかっていることがわかる。世界はそうそうパワポの上に現れ賜わらないのだ。

作り始めてから2時間後の状態、あ、これやばいこと始めてしまったと気づいた瞬間
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