自分がいかに餅を軽んじてきたか思い知る取材になった。そして、美味しい餅を食べてみるとなんのことはない、驚くほど旨いのである。
考えてみれば、私の田舎の山形でも、祖母がいつも餅を食べさせてくれた。餅つき機からアツアツの餅を取り出し、手でひょいひょいと食べやすいサイズにちぎってくれる。そうだ。あの餅、好きだったんだった。
当たり前過ぎていつの間にか気にならない存在になってしまっていた餅、今後改めて向き合っていこうと思う。
「餅は餅屋」という言葉がある。餅屋のついた餅が一番おいしい。何ごともその道の専門家に任せるのが一番だよ、という意味だ。
しかし、これまで餅に対してそれほど執着してこなかった私は、「餅屋の餅」を食べたことがなかった。というか、餅のことをちゃんと考えたことがそもそもなかった。
そんな自分に嫌気がさし、餅のことを知りたいと思った。するとどうだろうか、餅の世界が輝きとともに目の前に広がり始めたのだ。
大阪市内でバスに乗っていたら、近くの席から20代ぐらいかと思われる若い人たちの話し声が聞こえてきた。なんとなく耳に入ってきた言葉の中に「言うても、餅は餅屋やからなー」という一節があり、それを聞いた瞬間、頭がぐるぐるし始めた。
この2020年に、「餅は餅屋」って!と思った。「言うても、通販はAMAZONやからな」とか「iPhoneの修理はアップルストアやからな」とか、うまく例が思いつかないけど、そういう風に時代に合わせてアップデートされず、そこだけずっと「餅屋」なのが奇妙に感じた。いや、ことわざなんかだいたい全部そうなのはわかってるんだけど、そんな言葉を自分よりずっと若く見える人が使っていたのが妙に面白く思えたのである。
それで、ここからは自分の無知が恥ずかしいのだが、「餅は餅屋やから!という言葉を耳にしたけど、そもそも餅屋って今あるんだろうか?」みたいなことを、その日の勢いでTwitterに投稿した。特になにか反響があるようなことはなかったのだが、「いや、餅屋って普通にありますよ」というような、優しくアドバイスしてくれるようなリプライがいくつかあり、あらーと思って検索してみると、本当に餅屋ってたくさんある。私の住む大阪にも探せばいくらでも餅屋さんはあった。
私が「餅屋なんて今そんなにないのでは?」と失礼な間違いをしていたのには単純な理由がある。餅を自分が普段あまり食べていないのだ。それゆえ、餅屋が町にあっても目に入らない。私が餅を購入するのは冬の鍋ものにたまに入れたり、正月に雑煮を作ったりする時ぐらいで、その時もスーパーで売っている大手メーカーのものを買うのみ。
また、餅屋さんには餅屋として創業された後、お団子やお饅頭を作るような和菓子屋さんへと軸をシフトしていった店が多いようで、甘いものを普段全然食べない私は、そっちの方面でも餅と疎遠な関係にあった。
だから、普段から和菓子屋さん餅菓子を買って食べる人や、「ここのお餅が美味しいんだよ」とひいきにしているお餅屋さんがあるような人にとっては、「いやいや、餅屋、めちゃくちゃありますから!」という話だろう。さも古い物かのように反応してしまい、本当に失礼いたしました。
私はこれまで餅に対してあまりに雑な接し方をしてきた自分が恥ずかしくなった。そして思ったのだ。餅屋で餅を食べ、「餅は餅屋だ」と心に刻もうと。
そう思って色々考えたのだが、餅菓子系の餅ではなく、餅そのものをじっくり向き合わせてくれるような、そんな店はないだろうかと思った。できればしょっぱいのがいい。酒好きだからか、甘いものはほんの少ししか食べられないのである。
調べてみると、鳥取県の倉吉市に「餅しゃぶ」の有名店があるようだ。「餅しゃぶ」と検索ボックスに入力すると「倉吉」とキーワード候補が出るほど。そこでは、様々な風味の餅をしゃぶしゃぶして食べさせてくれるという。
大阪から鳥取。正直、近くはない。およそ220キロメートルある。でも、これまで私が餅に対して見せてきたぞんざいな態度を考えれば、こんな距離なんてなんでもない。自分のことばっかり考えているうちにお互いの距離がすっかり開いてしまったけど、目が覚めたよ。今、餅に会いに行く!
早朝、大阪から高速バスに乗る。3時間半ほどかけて鳥取駅へ。そして鳥取駅から山陰本線に乗って小1時間ほどで倉吉駅へ向かう。実際は、早朝のバスが渋滞に巻き込まれてバスの発着所に現れず、2時間半ほど待たされたりして、午前5時半に家を出た私が鳥取県の倉吉市に着いたのが午後12時半頃である。
さらに駅前から15分ほど路線バスに乗り、ようやく目的地の「清水庵」というお店にたどり着いた。「清水庵」は創業100年以上の餅屋さん。
もとは餅を作って販売する専門店だったのが、先代の社長の発案により、餅をしゃぶしゃぶにして食べる飲食店もスタートしたそうである。明治時代に建てられた建物を活かし、飲食のできるスペースにしている。
メニューを見てみるとお餅と野菜がセットになった「餅しゃぶ」が1,000円(税別)だ。このワクワク感にしてはお得な価格に思える。
「餅の種類は12種類」とある。
それぞれの素材を練り込んであるそうなのだが、「にんじん、しいたけ、まっちゃ、かぼちゃ、ごま、ブルーベリー」と前半だけでもう想像の域を越えていかないだろうか。いや、正直なところ、最初にさらっと目に飛び込んでくる「にんじん」の時点でもうその味が想像できない。
とにかく食べてみるしかない。しばらくして運ばれてきたのがこれだ。
この色とりどりのお餅を、野菜を入れた鍋でしゃぶしゃぶして食べていくわけである。
鍋がグツグツしてきたところで餅を箸で掴んでくぐらせる。5秒から10秒ほどしゃぶしゃぶしたらもう食べられるそうである。
結論からいうとすごく美味しい。かつおだしのお鍋が絶妙な塩加減で、それゆえ餅の味がしっかりする。もち米の旨みが濃厚で、にんじんの香りが後からふわっとくる。これが餅屋の餅の美味しさなのか。というかそもそも餅をしゃぶしゃぶする、という行為自体がすごく楽しい。
次の「しいたけ」味はどうだろうか。
メニューを見た段階でびっくりした「ブルーベリー」味はどうだ。
どのお餅も、ふわっと繊細に香る風味に毎回驚きがある。しかもどれもあくまで自然な風味なのだ。味覚を普段より研ぎ澄ませて味わう。しかもこれが12種類もあるんだから楽し過ぎる。さらに、12種類のお餅とは別に驚くほどなめらかで柔らかい「とち餅」もついてきてこれも美味しい。
ちなみにメニューには、鍋の具材に赤魚、えび、ほたてなどが追加された「餅しゃぶスペシャル」や、カニ鍋と餅しゃぶが両方楽しめる「かに餅しゃぶ」などなど、他にも様々なバリエーションがある。
今回の取材内容についてお店の方とお話しをしていたところ、ちょうどお店に戻ってきた社長さんにお話を伺えることになった。
――こんなに色々な味のお餅を食べたのが初めてで、新鮮でした。ブルーベリーなんかびっくりしたんですけど、違和感がなくて。ほのかな味わいだからですかね。
「そうですね。あくまでダシのお味で食べていただくよう加減にしています」
――5秒ぐらいしゃぶしゃぶするともう柔らかくなる、あの厚みも重要なんですかね。
「厚みは重要ですね。砂糖を練り込んだ『かき餅』というものがあって、それは焼いて食べるんですが、その半分ぐらいの厚みにしたものを提供しています」
――「かき餅」というのはこの辺りで食べられているものですか?
「そうですね。この辺りでも食べられているし全国で食べられていると思います」
――すみません。餅について初心者で、今日は餅についてもっと知りたいと思って来たんです。
「そうでしたか。ありがとうございます。うちは140年ほど前に餅屋として創業しまして、20年前から私の父、先代の社長の発案で、こうしてお餅をしゃぶしゃぶして食べられるようにしてはどうかと、この場所でお店を始めたんです。明治時代に建てられた古い建物を改装しまして」
――この「餅しゃぶ」は清水庵のオリジナルなんですか?
「お餅をしゃぶしゃぶして食べること自体はやっているお店もあると思うんですが、あとご家庭でもやったり」
――そうですね、でもこんな風に色とりどりの風味を食べ比べるというのは珍しいですよね。
「そうですね。鳥取に伝わる天女の羽衣伝説というものがありまして、その羽衣や十二単をイメージして先代が考案したものです」
――なるほど!十二単のイメージだったんですね。見た目も華やかで。
「お餅は全部自家製で、こちらとは別の場所で作っています」
――鳥取は特にお餅文化というか、お餅をよく食べる地方なんですか?
「ご家庭では食べられていると思いますが、特に餅屋さんが多いわけではないです。50年ぐらい前まではこの辺りに3、4軒ぐらいあったらしいんですけど、30年ぐらい前からはもううちだけですね」
――なるほど、ではこの食べ方も清水庵さんの発想から突然生まれたというか、オリジナリティのあふれるものなんですね。全国からお客さんが来るんでしょうか。
「そうですね。各地からお越しいただいていて、連休などは混み合うこともあります。海外の方も最近ではよくお見えになります」
――美味しいお餅、ありがとうございました!
店頭で売られている「餅しゃぶ」のセットを買って帰る。これで家でもカラフルな餅しゃぶが食べられるぞ。
さて、極上の餅しゃぶ体験を終えて大阪に帰ってきた私だったが、まだまだ餅の世界の入り口にすら立てていない気がする。
とにかく今、餅のことを少しでもよく知りたい。前のめりな状態だ。あちこち探してみたところ、お餅について話を聞かせてくれそうなお店が大阪・十三で見つかり、すぐに足を運ぶことにした。
「十三元今里商店街」という活気ある商店街沿いの「精米番長」が目的地である。
「精米番長」という店名の通り、ここはお米屋さんなのだが、店頭にはお餅も並んでいる。
「精米番長」は、八尾市にある「多田米穀店」を母体にした米販売店で、ここ十三店を含めて大阪市内に4店舗を構えている。
当初は米・もち米を販売する店だったが、15年ほど前から餅を作って販売するようになったという。そしてその餅の美味しさに相当こだわっているとのこと。
「精米番長」代表の多田敏広さんに話を聞く。
――「精米番長」はお米屋さんなのにお餅を作っていますけど、それは珍しいことですか?
「うん。年末だけやってるっていうところはあるかもしれんけど、うちほどじっくりやってるところは大阪では少ないかもな」
――なぜお米を売るだけじゃなく、お餅も作るようになったんでしょうか。
「従業員にボーナス出したかったから。お米は一年通じて上がり下がりがほとんどないのよ。お餅は年末年始にガッと売れるから、それでボーナスを出そうと思うてね」
――なるほど!お餅はボーナスを生み出してくれるんですね。でも、きっかけはそうだったのに年中ずっと売るようになったわけですか?
「そう、作ってみたら一年目から反響がすごく大きかったんよ。買った人がみんな美味しい!って言うてくれて、今考えたらその頃のはまだまだきったない餅やったけどね(笑)こんなに喜んでもらえるんやなって、それで作り出したのが15年前やったかな」
――なんでいきなり美味しいお餅ができたんでしょうか。
「うちがずっとこだわってるのが、もち米なんです。滋賀県の羽二重のもち米しか使ってない。これは絶対にゆるがへん信念なんですよ。その中でも、甲賀市のとかええもんを選んで。土が粘土質やから、ものがええのよ」
――あ、同じ滋賀の羽二重というものでも場所によって違いがあるんですか?
「うん。『滋賀羽二重糯(しがはぶたえもち)』が品種で、お米で言うたら同じコシヒカリでも魚沼産とか、どこ産とかあるでしょ」
――なるほど、そういうことか。
「米にもこだわりの米があるように、もち米にもこだわり米がある。いいものは値段も高いんやけど、そこは妥協しないでやってる」
――もち米の品種って他にも色々あるんですよね?
「ありますね。九州に『ヒヨクモチ』っていうもち米があるんですけど。それは赤飯に向いてるんですよ。もち米によって、向き不向きのような属性がある」
――例えば日本の別の地方では、そこに近いと
ころでできたもち米を使ってお餅を作っていたりするんですかね。
「そうそうそう。関東だったら『こがねもち』っていうもち米を使ったりとか」
――色々ある中でここでは「滋賀羽二重糯」を使っていると。
「そうそう。最初に餅作ろうって思って、その頃、もち米の品種も色々販売しとったから、全部ついて餅にして食べてみたんよ。そしたらこれが一番いいなと。全然違うんよ。昔話みたいなキューンがあるんよ。伸びが、キューンが(笑)」
――そこまで伸びが違うんですね。
「違います。お餅ってなんでも柔らかいのがいいと思うでしょう。でも、水分を足していったら柔らかくなるのは当たり前なんよ。そうじゃなくて伸びのある品種のもち米を使って餅を作る言うんかな」
――餅のことを全然知らなくて……勉強になります。
「うちの餅は鍋に入れても形が崩れへんのよ。なんでか言うたら、それも水分やねん。餅つきって、見たことあります?杵(きね)でつくやん。『クールポコ。』っているやん?ほんで、クールが杵でついて、ポコが横にいるやろ。ポコが横で何してるか言うたら、手に水つけて、餅をひっくり返してるねんな。ほしたら餅の中に水分がめっちゃ含まれていくねん。そうするとどんどん柔らかい餅になんねんけども、それをお鍋に入れた時には、その水分が溶け出すから、餅が流れてなくなってしまう」
※お笑いコンビ「クールポコ。」は実際は「クール」と「ポコ」、じゃなくて「せんちゃん」と「小野まじめ」というお二人です。
――水分を多くすれば柔らかい餅にできると
「けど、うちの餅は水分を一切入れずについてるから、おにぎりで言うたら、米粒の密度がギュッと濃いみたいなイメージ。鍋にはめちゃくちゃ合う」
――もち米を厳選して、水分を加えずにつくのが重要と。
「作る工程自体は、他と一緒やと思う。もち米を樽で水につけて、ボイラーで蒸して、あとは餅つき機でついてっていう。その餅つき機のところで水を一切含ませない。まあ、水につける時間も大事なんですけど、蒸し時間とかでも微妙な差が出てくるから、そこは徐々に精度をあげていって」
――「精米番長」の餅の作り方は、なんというか、正統派なんですか?
「正統派も正統派やね。もち米の品種にこだわって、水も良い水を使うてるし。うちの生もちは密度が濃くて柔らかいんやけど、スーパーに並ぶのは硬い餅やんか。その違いで僕らは勝負してる。たまにスーパーの安い餅の中でも、もち米やなくて、もち粉から作ってる餅もあって、茹でるとすぐとろけてしまうのもあんのやんか。そんなんとか、お客さんは実際買って食べてみるまで判断できん。安いからって買ってみたら『なんじゃこら!』ってなることもある。うちはそこら辺は、いいものを出してる自信がある」
――番長……かっこいいです。「精米番長」のお餅はどんな風に食べるのがおすすめですか?
「生もちやったらは焼いてもいいし茹でてもいいし、砂糖醤油かけてもいいし、電子レンジで加熱してもすぐ食べられるし。餅って今、みんな調理の仕方もわからないと思うねん。簡単なんよ。茹でてきな粉つけたらすぐ美味しいきな粉餅できるし、保存方法もあんまり知らんやろ。袋のまま冷凍しておけばいいのよ」
――簡単に食べられて保存もきく。餅ってかなりすごい食べ物なんじゃないかという気がしてきました。鍋にも合うし!
「そうそう。面倒やったらお揚げ買うてきて、その中に餅を放り込んで、それで鍋に入れといたらええねん。あと、関西だと棒みたいな餅を『ねこ餅』って言うんやけど、エビを練り込んだりして、好きな大きさに切って食べるんよ」
――店頭にも何種類かありました。
「そうそう。個人的には、エビ入りのねこ餅を焼いて、バター乗せて醤油かけて味のりを巻いて食べたら……最強」
――最強ですか。
「むちゃ旨い。あと『うるち』言うのは、もち米にうるち米を合わせてあるんやけど、柔らかいねん。それはおばあちゃんに大人気。なんでか言うたら、喉に詰まりにくいねん。喉つまるの怖いけど、それでも餅食いたいっていう。どんだけ餅食いたいねん!って(笑)」
――お年寄りの方はお餅が大好きなイメージがあります。
「日常的にみんな食べてはるね。若い人はあんまり食べないでしょう。今はお正月しか食べへんっていう人も多い。餅は太るってイメージがあんねんけど、大して他の食べ物と変わらへんねん。それこそラガーマンとか、餅めっちゃ食うてるはずよ。栄養バランスがいいから」
――そうですね。普段私も全然食べなくて。
「うん。売れるのはやっぱり年末年始やね。ちょうどこれからの時期むちゃ忙しい。残業ばっかり(笑)夏場はそんなに売れへんねんけど、ずっと店頭に並べるようにしたいから作ってるな」
――「精米番長」で15年間お餅を作り続けてきて、売れ行きって変わってきてますか?
「餅は年々減っていってるんですよ、和菓子屋さんでも廃業するところが増えてるし。みんな食べなくなってきてる。でも僕んとこは、ありがたいことに餅をやり出してからずっと伸びてて、一回食べた人がまた食べたい言うて、色々なところから注文が入ってる」
――減ってきているんですね。餅屋さんってそんなにたくさんは見かけない気がして……。和菓子屋さんで「〇〇餅」みたいなお店の名前がついてたりはするけど。
「あんまりないやん。和菓子屋さんでもなくて餅だけの専門店ってそんなにないやろうね。もっと食べて欲しいけどね。昔は年末になったら、石臼持ってまわる商売があったらしいで。もち米は各家庭に絶対あるから、それをついて回ってお金もらってたらしいわ」
――餅屋さんっていうか、餅つき屋さん。そんな商売が成り立ってたんですね。
「まあ、見たわけやないけどな(笑)親父から聞いたことあるわ。そうらしい」
――餅のこと、これからも勉強していきたいと思います。ありがとうございます!
「精米番長」のお餅を色々買って帰り、「生もち」をその晩の鍋に入れて食べてみた。
しばらくグツグツ煮込むと、「精米番長」多田さんの言っていた通り、茹ででも溶け出さず、だがめちゃくちゃ柔らかくて味が濃い餅であった。
「精米番長」で販売している餅の価格は決して高くはない。この生もちも5個入りで350円だ。この値段でこんなに美味しいものが食べられるのかと驚く。
多田さんが「最強!」と言っていた、エビ入り「ねこ餅」のバター醤油海苔巻き。これも試してみたが、最強であった。
こうして餅のことを、まだまだ序の口の序の口ながら、少し知ろうとしてみると、町のいたるところにある「餅」が目に入るようになってきた。
和菓子屋さんの店頭に売られている餅も気になるし、偶然にもお土産に餅をいただく機会が重なったりした。
「餅について知りたいなら岩手に行った方がいいよ!一関の餅文化はすごいよ!」と友達が教えてくれたり。なんだか急に人生が餅に彩られ始めた。
自分がいかに餅を軽んじてきたか思い知る取材になった。そして、美味しい餅を食べてみるとなんのことはない、驚くほど旨いのである。
考えてみれば、私の田舎の山形でも、祖母がいつも餅を食べさせてくれた。餅つき機からアツアツの餅を取り出し、手でひょいひょいと食べやすいサイズにちぎってくれる。そうだ。あの餅、好きだったんだった。
当たり前過ぎていつの間にか気にならない存在になってしまっていた餅、今後改めて向き合っていこうと思う。
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