特集 2019年9月23日

レシートが長い

レシートがすごい長い店が増えた気がする。

たった一品買っただけなのに、めちゃめちゃ長い紙をくれる。2、3回折らないと財布に入らない。長いぞ、レシートが。

気になったので、カフェチェーンとドラッグストアのレシートを対決させてみることにした。

1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

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まずはレシート集め

レシート、すなわり領収書である。買ったものの値段がいくらで、お金をいくら預かり、おつりをいくら返したか記録するものである。あと店の情報とか日付とか、そんなもんだろう。

特に「レシートが長いな-」と感じるのが、カフェやドラッグストアである。2杯目のコーヒーが100円とか、ポイント何倍とか、なんだかいっぱい書いてあるのだ。

そんなわけで、今回はカフェ5店舗、ドラッグストア5店舗の団体戦とした。

カフェ軍:スターバックス、ドトール、タリーズ、ベローチェ、カフェドクリエの5店舗
ドラッグストア軍:マツモトキヨシ、ココカラファイン、サンドラッグ、トモズ、三千里薬品

いくらレシートが長いとはいえ、いっぱい商品を買ったらそりゃ長くなるのは当たり前。というわけで、レシート収集にあたりルールを決めた。

ルール
・買うものは一品だけ。
・現金購入。クレジットカードやキャッシュレス決済はしない。
・Tポイントや楽天ポイントなど、ポイントは付与しない

クレジットカードで支払うと、カード情報がレシートに記載されて長くなる。同様の理由でポイントもつけないようにした。平時のポテンシャルを見ようではないか。

しかし、たくさん買い物するのに、もろもろのポイントを諦めることになった。つらい。ストイックを貫くのがつらい。

ドラッグストアは渋谷を中心に回った。店舗が密集していて効率がいいのだ。そんなにいっぱい薬を買う用事はないので、「一本満足バー」ばっかり買った。

 

さらにカフェを巡る。コーヒー何杯も飲んだら胃がつらい。1日で回るんじゃなかったな。

コーヒーは好きでよく飲むのだが、さすがに1日で何杯も飲むのはつらい。初めてチェーンのカフェで100%オレンジジュースを飲んだ。あるんだ。100%オレンジ。

役者は揃った。

各チーム5つのレシートを長さ順に並べ、先鋒~大将までの5回戦で勝負をつけてみよう。

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【先鋒】ベローチェ vs 三千里薬品

まずは先鋒。カフェ軍からベローチェ、ドラッグストア軍から三千里薬品。

財布に入れるとこれくらいの長さだな、と想像しやすいように、隣に一般的な大きさのカードを置いてみた(部屋を掃除したら出てきたデイリーのQUOカード)。

水揚げされたダイオウイカの隣に漁師のおじさんが寝てる、あの感じだと思っていただきたい。

さてレシートである。先鋒だけあり、どちらもシンプルなたたずまい。1組目だし、これを基準と考えて良いだろう。M-1グランプリ2018だったら見取り図の点数だ。

× ベローチェ vs 三千里薬品 ○
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【次鋒】カフェドクリエ vs マツモトキヨシ

どちらもQUOカードの2倍まで成長を見せた次鋒戦、カフェドクリエ vs マツモトキヨシ。

カフェドクリエは基本情報を押さえつつ、下に謎のバーコードがあり、その分が長くなった。「山形県産ラ・フランス果肉を使用したソルベージュ!」と商品アピールも欠かさない。

対するマツモトキヨシ。長さはカフェドクリエに若干及ばないが、情報の密度はこちらのほうが上だ。

マツキヨに「親切なお店」という冠が付くことを初めて知りました。

渋谷で買ったのに千葉県松戸市の住所が書いてある……と思ったら、これは本社の住所なのだった。全国どこのマツモトキヨシで買っても本社の住所が書いてあるのかな。

○ カフェドクリエ vs マツモトキヨシ ×
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【中堅】ドトール vs サンドラッグ

中堅戦はドトール vs サンドラッグ。だいぶ情報量が増えてきた。

「Twitterで当たる!」とハワイ旅行プレゼントを激推しするドトールだったが、サンドラッグのほうがリード。「パート・アルバイト募集」の長さが決め手となった。

1品の名称で2行使うエビミラノサンド2種で長さをを稼ぐドトール(左)、パート・アルバイト募集のお知らせをガッチリ載せるサンドラッグ(右)
ポイントを貯めても使ってもないので、ポイント表記を省略するお店が多いなか、サンドラッグは「0P」をわざわざ書いてくれていました。
× ドトール vs サンドラッグ ○
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【副将】スターバックス vs ココカラファイン

スターバックス vs ココカラファインの副将戦。

長い。これくらいになると、2つ折りしないと財布に入らない(スタバのレシートは企画を忘れてうっかり折ってしまった)

そしてここにきて、ついにQRコードが出てきた。確かにバーコードに比べてQRコードは縦にスペースを取るよなぁ。

ココカラファインにも本社の住所が書いてある。そして「印紙税申告納付につき神奈川県税務署承認済」の四角い枠。

この四角い枠、「印紙税をあとでまとめて申告しますよ」という表示である。実は5万円以上の領収書には印紙税がかかる。印紙税を納付するためには、領収書に収入印紙を貼らないといけない。あの切手みたいなやつだ。

でもお店のレシートが領収書も兼ねている場合、いちいち「5万円超えた?超えない?」「印紙貼らなくちゃ!」とやるのは面倒だ。

なので、この四角い枠を表記することで、「その辺あとでまとめてやりますわ」ということにできる。なんだかちょっとしたおまじないである。

ちなみに、この枠の大きさは「縦横15ミリ以上・17ミリ以上」と財務省令でちゃんと決まっている(国税庁:書式表示による納付の特例)。そんなん隅っこにちょこっと書いてたらいいのに、というわけにいかないのだ。

スターバックスの「One More Coffee」。レシートを持っていくと2杯目のドリップコーヒーが安くなる。「※ホット/アイス選択可※他店可※切り離し無効※一部店舗除く」と注意書きが多い。

「One More Coffe」などのキャンペーンで攻勢に出たスタバだったが、印紙税とQRコード類で長さを稼いだココカラファインが勝利。

カフェ1勝、ドラッグストア3勝だ。次が最後なのにどうしよう。最後の勝負は2兆ポイントにしようか。

× スターバックス vs ココカラファイン ○
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【大将】タリーズ vs トモズ

最後の対戦はタリーズ vs トモズ。QUOカードがだいぶ小さくなったことにお気づきだろうか

さすが大将戦である。どちらの店でも、レシートをもらった瞬間に「(長い……)」と笑いをこらえるのが大変だった。重ねて言うが、商品1つを現金で購入しただけである。

手に取った瞬間こうなる。バトンを受け取ったかと思った。
タリーズのレシート。商品のアピール、アルバイト募集、QRコード、キャンペーン、2杯目の割引。全部あるぞ。
トモズのレシート。領収書としてのお断りは標準。目を引くのが「10倍」「15倍」の文字の大きさ。なにもそこまで。

ラーメンのトッピングでいうところの「全部乗せ」の状態で、タリーズが余裕の勝利。

○ タリーズ vs トモズ ×

みんなの力を合わせたらどうなるんだ

ノーサイド

というわけで、これまでの対戦をまとめてみよう。

× ベローチェ vs 三千里薬品 ○

○ カフェドクリエ vs マツモトキヨシ ×

× ドトール vs サンドラッグ ○

× スターバックス vs ココカラファイン ○

○ タリーズ vs トモズ ×

カフェ2勝、ドラッグストア3勝。優勝は、ドラッグストア!

……いや、待て。全部トータルしたらどっちが長いんだろう。ワンフォアオール、オールフォアワンだ。最後に全員の力を合わせてみよう。

上がカフェ、下がドラッグストア。ほんのわずかな差で、カフェの勝ち……!

長い戦いが終わった。


俺より長い奴に会いに行く

エクセルシオールとかHACドラッグとか、まだまだ両軍に控えている選手はいるが、今日はこの辺にしておこうじゃないか。

そして「ヨドバシが長い」とか「ケンタッキーも長いぞ」とかも噂で聞く。マクドナルドもクレカ払い&楽天ポイントを付けるとめちゃくちゃ長くなるし。

まだ見ぬ長いレシートがこの世にあるはずだ。#レシートが長い で写真付きツイートなどしていただけたら幸いです。

一本満足バーはスタッフがおいしくいただきました(写真はイメージです)

 

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