発見に至る経緯
昨年末、スーパーでかなりお得だったこともあり、小型の低反発クッションくらいある豚ばら肉のブロックを買い、しばらくいろいろな料理を作って消費していたんです。
ところが最後のほうに残ったのがもう、ほぼぶ厚い脂身オンリーの部位になってしまったんですよね。角煮にしてもしつこすぎるだろうし、捨ててしまうのももったいないし……。
なんて考えていたら、ひとつ思い出したことがあります。それは、いわゆる「背脂チャッチャ」系のラーメン屋さんで、仕上げにどんぶりの上から網を使ってチャッチャッとふりかける、とろとろの背脂。あれの作りかたの記事を、以前ネットで見かけたなぁということ。それによれば、基本的な作りかたは「ただ根気よく、ぐつぐつ煮るだけ」だったはず。
よし、こういうときこそ実験のチャンス。いっちょやってみっか!
ポテトサラダなんかを作るときに使うマッシャーで、その脂身のかたまりをぐいっと押してみると、なんと、おもしろいようにぽろぽろになっていく!
で、ほんのわずかに残っていた肉の部分は脂身から分離し、
救出可能な状態に。
で、鍋に残ったほうの、ぽろぽろの脂身が飽和した汁。つまり、豚脂汁。試しにラーメンと合わせてみようということで、
ちなみに、チャーシューがわりにのせているのは、最後に残っていたちゃんとした肉部分の豚を焼いたもの。
ここに、ラーメンの湯切り用のざるですくった熱々の豚脂汁をかけてみます。
するとどうでしょう! いつものインスタントラーメンが突然に、芳醇で甘い豚脂の旨味と、えぐいくらいの動物性のパンチが加わった、家ラーメン未体験ゾーンな味わいに! こんなにてきとうに作ったのに、これはちょっと驚きだぞ……。
仮説〜検証
ここでいったん断っておかなくてはいけないのは、ラーメン屋さんで一般的に使われる背脂とは、豚肉のなかでも特に融点の低い「ロース肉」についている脂身部位だそう。つまり、豚ばらの脂で作ったものは、厳密には背脂ではないということですね。
ただ、それはそれとして、家庭で気軽にアブラマシマシ感が味わえるのはとてもいい。なんちゃって食材としてはぜんぜんあり。
そして、もうひとつ思いついたことがあります。僕の大好物で、これまでの人生で何度となくお世話になってきた、脂たっぷりの豚ばら薄切り肉。
鍋ものや炒めものの食材としては定番ですが、形が崩れてぐずぐずになるまで火を通して食べたなんてことは、当然ありません。だけど、食材としての特製にしても、扱いやすさにしても、豚脂汁の材料として最適なんじゃないだろうか!?
この仮説、検証してみる価値ありでしょう。
そして誕生「豚脂汁」
さっそく鍋にたっぷりの豚ばら薄切り肉を入れ、ねぎの青い部分としょうがひとかけ(あればでいいでしょう)を加え、ひたひたのお湯で煮込んでいきます。
沸騰したら弱〜中火で、水が足りなくなってきたら足しつつ、ひたすらぐつぐつ。
1時間経ってもしっかりと強度を保つ肉に若干不安になりましたが、きっちり1時間半後、おたまでつつくと肉がほろほろと崩れだすようになりました。
ここで先ほどのマッシャーがあればそれを使い、なければヘラとか、おたまの底などで根気よく肉を崩す作業をしてやれば、