いい気分にすることがいい気分
セレモニーがいい気分になるのは予想していたが、楽しそうな人を見たり、掛け声を掛けるのもいい気分だった。
ほめを過剰摂取すると、人をほめたくなるのだ。
それが今回のイベントを通じて分かったことである。とにかく人をほめよ、くす玉を割れ、社長であろうとなかろうと「よっ社長!」と声をかけたほうがいい。よっ、このAIいらず!

くす玉、テープカット、除幕式、鏡割り、それらをいちどに体験できるイベントを開催した。
一生にいちどレベルのことを流れ作業のように、なにも祝うことがなくても、やるのだ。
人間がいちどに摂取していい量を超える「ほめ」を浴びると人はどうなるのか。
ご覧ください。
このイベントは13年前に開催している。
当時はインスタグラムもそれほど流行っておらず、「映え」という概念も一般的ではなかった。撮った写真をどうしていたのか、いまとなっては想像できない。
だがいまなら、セレモニーのようすをSNSに投稿してもいいし、実家にLINEで送ってもいい。もちろん年賀状にしてもいい。
ここで「見事なほめられでした!」と聞かれる。ほめられたことをほめられるのだ。ここでほめの二毛作が完成する。
ほめられたことについてインタビューされて言うことあるかなと思うだろう。私もそう思っていた。でもほめられた後の高揚感で語れてしまうのだ。
ライフネット生命とは最初のコラボ企画(ハトが選んだ生命保険に入る)から16年、ずっと酔狂な企画につきあってもらっているが、今回はついにほめられ屋敷だ。スポンサードだけでなく会場まで提供してくれた。
ライフネット生命のブランドマネジメント部の部長 川端さんは保険会社が人生に関わるときははどうしても楽しいタイミングではないので、こういうほめられ屋敷のようなタイミングで少しでも関わりたいと語ってくれた。楽しいタイミングでくす玉と共に登場する保険会社はないと思う。保険会社でなくてもない。
デイリーポータルZのスポンサード記事では直接的な表現を避けているが、ここまで保険と関係ない企画でスポンサードしてくれると直接言いたくなる。ライフネット生命をよろしくお願いします。
それではほめられ屋敷を体験した人のいい顔を見てもらおう。日本人はシャイであまり派手なリアクションをしないなんて言ったのは誰だ。
みなカパっと開いた表情をしている。
ミツモロウは、「お金や人生にまつわるあまり知られていない選択肢や真実を知らせることで、その人なりの幸せを見積るキッカケをお届けする」妖精とのこと。
ほめられ屋敷で除幕式を経験できるなんて、まさに『人生にまつわるあまり知られていない選択肢』である。
除幕してミツモロウに会った人たちの幸せ度は高く見積もられたに違いない。ちなみに下の台はライフネット生命の備品だ。
この人たちが、なんの理由もなくセレモニーを体験しているとは思えない。なにかを達成したかのような晴れやかな表情をしている。
人間の気分は行動から変わるということかもしれないし、人には言えない自分なりのちょっとしたがんばりを祝っているとしたら……ちょっと!これすごくいいイベントじゃないですか?
動画でほめシャワーをご覧ください
そしてこれを読んでいるあなたもいま頬が緩んでいると思う。
順番待ちをしている人もずっと「よかった」「最高!」と声をかけていた。声をかけるようにお願いしたのだが、それでも予想以上の盛り上がりになった。
「よいしょー」の声と共にいくらを盛ってくれる札幌の居酒屋ぐらい盛り上がった。
このカードの中で人気だったのが「AIいらず!」「課金させて!」だった。ジーンズをはいている人にはもれなく「ベストジーニスト賞」である。
どのセレモニーもどんどん体験できるが、くす玉だけは準備に少し時間がかかる。割れた玉をおろして、また垂れ幕とリボンを入れて掛けないといけないのだ。
そのため、間をあけずに(正気に戻らないよう)体験できるようにくす玉を2個用意した。ひとつセレモニーをしているあいだに、もうひとつを準備する。ほめられ屋敷名物のくす玉ローテだ。
くす玉の中身を詰める作業をしてくれたのはライフネット生命の社員さんたち。そして、くす玉を掛ける作業はライターのとりもちうずらさんと地主さんだ。
本来の業務外の大人を贅沢に使っている。
ライフネット生命社内のフリースペースで準備していると、ライフネット生命の社員さんが集まってきた。
前回の開催でも感じたが、楽しそうにしていると人が集まるのだ。楽しさにまさる吸引力はない。
ライフネット生命は上場もあり、社員はきっとそれなりに仕事が大変だっただろう。そうと思うとこの弾けっぷりも分かる……のだが、くす玉と金屏風が強すぎてしみじみしないのもいい。
今回のほめられ屋敷にはスーツの人が多かったが、服装に凝っている人もいた。
くす玉やインタビューという非日常の仕掛けとパジャマが組み合わさると、夢の世界を覗いているようにしか見えない。天才か。
テープカットの写真なんてトクホのポーズにそっくりだ。
このイベント、おみやげとして紅白まんじゅうを用意した。
紅白まんじゅうは2パターン、「ほめ」「られ」とロゴである。
まんじゅうは六本木の名店・青野謹製だ。
くす玉を自由に割れて、会場にはビールがあって、最後にまんじゅうをくれる。
なにかの罠としか思えない集まりだが、帰りに生命保険の見積りを促されることもなかったし、まんじゅうは泥ではなかった(むしろ美味しかった)
自分たちで用意しておいて、おかしいと思ってしまった。
セレモニーがいい気分になるのは予想していたが、楽しそうな人を見たり、掛け声を掛けるのもいい気分だった。
ほめを過剰摂取すると、人をほめたくなるのだ。
それが今回のイベントを通じて分かったことである。とにかく人をほめよ、くす玉を割れ、社長であろうとなかろうと「よっ社長!」と声をかけたほうがいい。よっ、このAIいらず!
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