特集 2020年6月16日

「死ぬ前に未制覇のドラクエシリーズをクリアしまくりたい」をズルして叶えた

まだクリアできていないドラクエを片っ端から制覇したい

僕らが魅了された国民的RPGゲーム、ドラクエシリーズ。でもクリアできたタイトルって、意外と少ないのではないだろうか。

かく言う筆者もちゃんとクリアできたのはドラクエ4だけ。一生制覇できず死ぬ前に、冥土の土産にクリアしてみたい。ならば、

  • 中古で買ったソフトのセーブデータをそのまま使う
  • 最強パスワードを使う
  • 攻略サイトを見まくる

など、とことん「ズルをしまくる」ことで、限られた〆切前の時間の中で、ドラクエをどこまでクリアできるのか。やってみた。

ライター、番組リサーチャー。過去に秘密のケンミンSHOWを7年担当し、ローカルネタにそこそこくわしい。「幻の○○」など、夢の跡を調べて歩くことがライフワークのひとつ。ほか卓球、カップラーメン、競馬が好き。(動画インタビュー

前の記事:もうこの世に存在しないものをGoogleストリートビューで探したら、思い出に出会えた

> 個人サイト 文化放想ホームランライター

ドラクエ、意外と高い?

まずはドラクエを買い出しにと、秋葉原にやってきた。

生産本数の多かったドラクエシリーズは安く投げ売りされていることが多いと聞いていたが、思ったより値段が高い。

800~900円台もザラ。秋葉原は外国人需要を見こんで相場が高めらしい

だがもう乗りかかった船なので、自腹覚悟でいろいろ購入した。

スーパーファミコン本体も同時にそろえたので、これですら精いっぱいの数

”ズルいプレー”のしやすいドラクエ1~6から、どうにか300~500円台ぐらいのソフトを探して買った。当時あれだけ欲しくても購入できなかったドラクエを、いくつも買えてちょっと感慨に浸る。

ドラクエ1、35分であっさりクリア

まずは1986年5月発売、ドラゴンクエスト(1)からやっていこう。微妙に筆者と世代が違うので、ほとんどプレーしたことがない。

このテーマ曲はブチ上がる

今回は「ズルをしてでもクリアする」である。セーブ機能が普及する前でふっかつのじゅもん(パスワード)が使われている1と2。この2つに関しては、最強パスワードを使わせてもらおう。

ドラクエ1のパスワードはわずか20文字だった
ゲーム最高の「レベル30」の主人公

そのため、ドラクエ1の最高レベルである30からいきなりスタート。あとはボスを倒すだけのお膳立てまでできている。

しかし一番はじめに降り立つ場所がスタート地点のところで、竜王の城までは歩いて行かなくてはいけない。スライムを軽く蹴散らしながら進む。

途中で弱い敵に遭わない呪文「トヘロス」も使った
竜王の城

何の苦労も無いまま、あっという間に来てしまった竜王の城。

中は本来強敵が集まっているはずの最後のダンジョンだが、最高レベルだけあってほとんどの敵は楽勝である。

攻略サイトも見放題なので、こんな難所もスルッと通過

しかしドラクエ1最強の難敵とも言われるダースドラゴンにはちょっと苦戦。ラリホーで眠らせられての波状攻撃を食らい、HP190→60まで減った。ふつうに戦ったらパニックだったろうな。

一対一なので、眠らされる「ラリホー」がいっそう厄介になる

しかしそれ以上の苦労はなく、スルスルと最終ボス・竜王のもとへ到着する。

この名ゼリフ、やっと直接聞けた

そして竜王と対決。初代ドラクエの大ボスとついに対面できてちょっとうれしいぞ。

竜王第一形態はあまりにもアッサリ撃破する
竜王第二形態。あのジャンプ放送局の常連投稿者「竜王は生きていた」さんの元ネタ

しかしレベル30の主人公が強すぎて、そんな感傷に浸る間もなくいつの間にか竜王は倒れていた。こっちのレベルが高すぎてゲームバランスがおかしくなった。

ファミコンのエンディングと言えば、黒背景のスタッフロール
「The End」

わずか35分ほどでクリアしてしまった。むなしいけど、「それでもクリアしてよかった」などと謎の達成感がわき上がる。

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シリーズ最難関とされるドラクエ2も40分でクリア

続いては、1987年1月に発売されたドラゴンクエスト2である。発売からしばらく経って、確か兄が借りてきたものをちょっとやらせてもらった記憶がある。

1と比べ、あか抜けたタイトル画面に

劇中のBGMの良さはシリーズNo.1だと思うし、2はなかなか好きだ。でも中盤ぐらいで挫折したと思う。

ふっかつのじゅもんは最大52文字と長く、当時は間違いが続出

こちらも、最強パスワードを参考にさせていただいた。

3人とも最高レベル

主人公のレベルが50、サマルトリアの王子が45、ムーンブルクの王女が35と、こちらもこれ以上上がらない最高のレベルである。

しかも、シリーズ最難関の難所と言われる「ロンダルキアへの洞窟」はもうクリアしている。「あとはどうぞクリアしてください」だ。

最強パーティで最終ボス・ハーゴンの神殿へ

ちなみに名前の”はにまる”は、恐らく1983~1989年の間に放送されていた「おーい!はに丸」(NHK教育)が由来だろう。最強パスワードで付けられた名前が、図らずもタイムカプセルになった。

強敵だったのがバズズ。ザラキで一人死ぬ

ダンジョン内に出てくるモンスターは楽々倒せる。ザラキを連発するバズズにやられる場面はあったものの、それ以外は危なげなく大ボスのところまでやってきた。

念願の大ボス・ハーゴンにとうとう会えた
そんなハーゴンは超あっけなく倒せる
その後に出る本当の最終ボス・シドーにも、それほど苦戦せず
撃破。最終ボスでもサクッと倒せる異世界感
エンディング。いわゆる勧善懲悪ストーリーのハッピーエンド
40分でクリアしても、同じようにスタッフロールは流れる

いくらズルをしても、ドラクエのエンディングが織りなすこの達成感は味わえる。2のエンディングテーマ曲「この道わが旅」は特にいい。

当時はエンディングがやたらあっさりしたゲームが多かったけれども、ドラクエはちゃんと作り込んでくれた。

ドラクエ3で挫折

ドラクエ1~2は最強パスワードを入れればいいので、カセットは1つで大丈夫だった。しかし、1988年2月発売のドラゴンクエスト3以降はどんな強いセーブデータが入っているかに委ねられる。

そのためにドラクエ3、5、6は各4コずつ買った。

32年前、あの行列に並んでいた人に見せたい絵面

中古市場でも安いのは、カセットに名前を書き込んでしまったソフトだ。スーパーポテト秋葉原店の場合だと、これが418円(税込)で売られていた。

名前入りは安い

しかし僕は運に見放された。電源を入れると、このうち2つが[▶ぼうけんのしょをつくる]だけになっている状態だった。

データを消されたか、はたまたバッテリーバックアップが切れているのか。

見るたびに背筋が寒くなる

ほかの2つはデータが残っていたが、レベル10でロマリアからはじまるまだ前半のものと、さらに序盤のレベル4のセーブデータしかなかった。

まだまだ先は長すぎる前半部分

これは〆切までにクリアすることはむずかしい……泣く泣く放置することにした。

ドラクエ4はレベル55から!

3に関してはそんな体たらくだが、その代わりに1990年2月発売のドラゴンクエスト4をクリアしよう。クリアしたのも30年前だから、ぶっちゃけ色々と忘れているし。

新宿の駿河屋にて箱入り300円という格安価格だったので、1コだけ買っていたのだ。

箱入りで300円、破格
レベル55!

1つだけ買ったソフトのメンバーのレベルは運良く軒並み50超え。

ちなみにシリーズの中でも個人的に一番好きなのが4だ。性格の違うシナリオごとに新鮮な楽しさが味わえるし、当時は夢の大容量だった、4メガビット(512KB)をフルに使ってプレイヤーを楽しませている感がいっぱいだ。

最終決戦のデスマウンテン。近くの希望のほこらまでルーラで行けるのに気づかず、ムダに天空城越えなどをしてしまって時間ロス

ホントなら、ゆったりとドラクエ4の世界線を堪能したいところであるが、何せ〆切に追われているのでさっさと最終ボスのダンジョンまで来て、早めにコトを遂行していく。

強敵、「だいまどう」らを倒しつつ先へ急ぐ

ちなみにドラクエ4のクリアの目安レベルは40ぐらいらしい。それで55あるのだから余裕だ。当時苦戦した覚えのある「だいまどう」もサクッと倒して、大ボスのデスピサロのもとにたどり着いた。

悪役然とした話し方のボスキャラ

ドラクエ4のボス戦で有効なのは「8逃げ」だ。システムのバグで、8回「にげる」コマンドを選択すると、こちら側の通常攻撃が全て「かいしんのいちげき」になる裏ワザがある。

ダメージを与えると腕が切り飛ばされる、スプラッタな作り
あっという間に最終形態。最強のデスピサロもアッサリ陥落

「レベル55+8逃げ」は、最終ボスのデスピサロがかわいそうになるほどの強さ。あっという間にやっつけた。

大ボスらしいセリフを残して崩れ去る

エンディングを見て、ふつうにクリアした当時を思い出す。この天空城が改めて登場するシーンもうれしかったな。

ドラクエ4と言えば天空城
これでラスト

今はなき船橋のディスカウントショップ「ショッカー」で奇跡的に手に入れて、熱中したドラクエ4。30年前の喜びが少しよみがえった。

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ここからスーファミ、ドラクエ5

ファミコン版は4まででおしまい。1992年9月発売のドラゴンクエスト5からはスーパーファミコン版となる。ちなみにここから「冒険の書が消えました」が頻発するようになる。

呪いの音楽とともに、このメッセージが連発する地獄

ちなみにファミコン版の3~4では、一度も見なかったこの表示。年数的にはスーパーファミコン版のほうが新しいためにデータ保持の観点では有利なはずだが、妙である。

レベル19。うーん、もうひと声欲しいな
きた、レベル46!

今回もレベル46のセーブデータがあった。さっそくクリアしていこう。

いきなり最後のダンジョンである、エビルマウンテンへ行ってみた。しかし……すでにクリア済みの場合、もう一度最終ボスを倒すことはできない模様?だった(ここは確認中です)。

イベントが発生するはずの場所が、もぬけの殻

これではクリアができない……しかし、ドラクエ5にはもう一人裏ボスがいる。クリア後に登場する謎の洞窟に住む、ウラの最終ボス・エスタークだ。

苦肉の策ではあるが、せめて彼を倒してクリアした気分を味わおう。

向こうに待つのがエスターク。大ボス級でもなんか可愛く見えるのがドラクエ
回復に追われて少し苦戦

しかし、エスターク戦ではちょっと苦戦。回復手段が全キャラのHPを50強回復させる「けんじゃのいし」ぐらいだったので、ダメージを受けたキャラをその都度馬車に入れる苦しい戦いぶり。

長期戦になるも、どうにか倒した。

ホントに早い人は15ターン以内で倒すものらしい

裏ボスのエスタークを倒すも、ホントの最終ボスではないのでエンディングはなし。それでもちょっとクリアしたような気分になれた。

デスタムーアが意外と強かったドラクエ6

最後は1995年12月発売のドラゴンクエスト6である。当時購入した僕は半分ぐらいまで進めたが挫折した。そのリベンジの機会がやってきたぞ。

しかしこれが出まくる

しかし、ぼうけんのしょが1~3まで全て消える悲劇が続く。やっとデータありのカセットがあると思ったら、勇者「ああ」でレベル1。

ここで出やがった、「ああ レベル1」

しかしあきらめかけていたときに、レベル52という強いセーブデータがあった。救われた!

やった!

自腹をはたいて4つも買ってきた甲斐があったぞ。レベルは十分なはず、さっそく最終ボスを倒すためデスタムーア城へ。

この強さ、盤石の状態で最終ボス討伐へ
メタルキングに逃げられながらも進む

そして一気に大ボス・デスタムーア戦へ突入。

こういうわかりやすい悪役になつかしさすら感じる
意外と強いぞ

デスタムーアはドラクエシリーズ最強の最終ボスとも言われているほどで、このレベルですらかなり強い。

特に最終形態で「本体・右手・左手」の3つで攻撃してくる際はなかなかの恐ろしさであった。

今回もダメージを大きく受けたキャラをその都度馬車に入れつつ、「ハッスルダンス」なる全体のHPを回復させる特技を連発してどうにか対応。長い時間をかけてどうにか倒した。

最終ボスなのに、この可愛さ

 

とにかく長い、ドラクエ6のエンディング

ちなみにドラクエ6のエンディングは、今回見た4までとは比較にならないほど長かった。

馬車が異空間へ飛び立つ
みんなでゼニス王の話を聞く

最初からストーリーを把握しつつやれば、長いエンディングも感慨深くなっただろうが、「最後だけやる」ズルい遊び方と〆切に追われる境遇のため、ちょっとかったるく感じてしまったのも事実である。

ちゃんとエンディングを楽しむには、やっぱり最初からプレーするのが一番だな。

キャラクターデザインは初代から一貫して鳥山明氏
この「The End」でやり遂げた感が出る

それでも、やり残したことを果たせて満足できた。


人生は短いからこそ、妥協が大切だ

そのままではプレーできないソフトも多く、オイルと綿棒で接点を拭いてどうにか復活させた

僕らの人生は短すぎる。全て最初からプレーしてクリアするのは難しいから、最後だけプレーしてエンディングを見て達成感を味わうだけでも、ちょっとは慰みになった。

そしてこんなプレーですら達成感を味わえる、ドラクエシリーズのエンディングの作り込み度にあっぱれと言いたい。

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