特集 2024年10月5日

ICカードに2万円チャージする日

改札を通過する時、自分の前を歩く人のICカードの残高がチラッと見えることがある。

その数字が2〜3桁だと、親近感を覚えて心が温まる。逆に、5桁だと『大人だ…』と恐れ慄く。

万札をチャージ…なんて大人っぽい行いだろう。

わたしもやりたい。やろうかな。そういえば大人だし。

社会人。体育が嫌い。大人になった今でも大抵の物事を「体育よりマシか、否か」で判断している。

前の記事:2年振りに会う友だちとトランシーバー飲み会をする

> 個人サイト note

まず現金を下ろすところから。

一万円札を二枚手に取った瞬間、若干の躊躇いが生まれた。

1万円だけだとすぐに4桁になってしまうから、2万にしようと思ったのだが、だったら1万五千円でもいいじゃん。

どうしよう。チャージって2〜3千円しかしたことないし(定期券を除く)。緊張する。やるか?…やるか。やろう。ていうか、損するわけでもないし。現金をカードに移動させるだけだから。なんなら数千円ずつチャージするよりも手間数的には得。うん。得。じゃあOKです。やるぞ。

20,000円のボタンがない。

今までこの選択画面の上段(千円〜3千円)しか視界に入っていなかったので、まさか2万の選択肢が用意されていないとは考えていなかった。

まさか上限って1万なのか…?と緊張しつつ、『その他金額(10円単位)』を押す。

…よかった。上限がピッタリ2万だった。
チャージ可能な最大金額を入金…
ご覧ください、これが2万円チャージされたICカードです。

チャージ前(残額198円)の時と何一つ変わっていないのがマジで意味がわからない。ちょっとくらい変化が起きてほしい。いい匂いになるとか、ピカピカになるとか、ホカホカになるとか。

わたしがチャージを終えると、一連の様子を撮影してくれていた友達が『わたしもやってみようかな…』とおもむろに一万円札を取り出した。すごい。普段は2、3千円しかチャージしないって言ってたのに。

こんなにわかりやすく感化されるなんて。

いったん広告です

出発

改札を通り抜ける。残額が5桁だ。すごい。信じられない。こんなことってあるんだ。

スタート地点は練馬。

2万あればどこまで行けるだろう。
鈍行だったら、大阪まで往復で行ける。往路だけだったら、鹿児島とかまで行けるだろうか。どうだろう。考えただけで怖いな。やろうと思えば出来ちゃう感、怖い。本当に自分が信用ならない。そういえば、この前チャージした後カード失くしたし。今日は絶対失くすなよ。頼むぞ。

結局財布に入ってた

さぁ、残額はまだまだある。
どこまでも行けるぞ。どこまでも、どこまでも……

鎌倉に来た。

『チャージしないと行けない遠いところ=鎌倉』

↑この、安直さである。

 
そんで、なんか近いな。思ったより近いぞ、鎌倉。2時間で着いた。

以前来た時はもっと遠かった気がする。大人になったからだろうか。2万円をチャージしたことにより、急速に大人化したのかも。

でも実際、3千円をチャージして行く鎌倉と、2万円をチャージして行く鎌倉だったら、絶対に後者の方が近い。『まだまだ遠くまで行けるんだぞ』と気が大きくなっているからだ。

とりあえず、海に向かって歩く。

今思えば、江ノ電に乗って江ノ島駅まで行けばよかった。めっちゃチャージしたのに、めっちゃ歩いた。

歩いていたら、さっき2万円チャージしたこともすっかり忘れてしまった。そうか。そんなもんか。

海があると『遠くまで来たな』って感じがする。内陸育ちの刷り込みだ。

結構寒いのに、サーファーがいっぱいいる。

『サーフボードって折り畳めないのかな』
『サーファーって海パン一丁じゃないんだね』
など、サーフィン知識0の会話をしながら砂浜を歩く。

サーファーって平気な顔で一万円チャージしてそう。そんくらい強気じゃなきゃ波に乗ろうとか思わない気がする。きっとそうだ。…いや、そもそもICカードじゃないかも。Apple WatchかモバイルSuicaか。どうしよう。聞いてみたいな。絶対聞けないな。わたしって心がサーファーじゃないもんな。

⏩ チャージしたとて

▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>
傑作選!シャツ!袋状の便利な布(取っ手付き)買って応援してよう

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ