大きい旗を作る
映画でも、革命のシーンや戦士がでてきたりするとかっこよく旗を掲げているだろう。
今回はあの感じを目指して、まずは大きい旗を作る。
すぐにできた。材料費1200円。
旗は縫いもせずガムテープで取り付けた。本当の勇者や戦士に見られたらすぐ破門されそうだ。
荒野(土手)で撮影する
いろんな資料を見ると、旗を持つ場面には広い土地が出てくることが多い。
本当は荒れ果てた土地が良さそうだが、今回は土手にした。
旗を振り回しても害のない広さが必要だ。
今回は知り合いの中で一番絵映えの良い後輩・郡司典人さんにも協力してもらう。
「旗を持つだけでかっこいいだろう」そんな軽い気持ちで旗を持ち、我々は電車にのってきた。
いざ、旗を持って撮影してみる。
めちゃくちゃにダサい。運動会だとしても多分ダサい方だ。
すごく焦った。もう一度集めた資料を見直して比べる。
まず、ほとんど光が正面から当たっていない(逆光気味か暗めだ)、後ろに高架線があるわけがないなどがわかった。
逆光気味に改善した写真。もう今日だめだ。最悪だ。
「持つだけではなくポーズを撮れ」「というか笑うな」「引きで取ろう」「これは逆光にもなってない」など議論を重ねた。
悪いところを修正していき、撮影を進めると、
突然笑ってしまうほど良くなった。かっこいい!女騎士だ!かっこいい!
「この草木を生やしたのはもしかして私か?」という気さえしてくる。倒れた少女の前に現れた一人の勇者だ。
「やっぱり旗を持つとかっこいいんだ」。嬉しくなってきた。
後ろの太陽や、カメラの前に生えていた雑草も手伝ってファンタジー感も出せる。私はこれがやりたかった。
すると後輩が「手に布を巻いて撮ってみたい」という。
傷を負ったのだろうか。それとも目指す意志が書いてある大切な布なのだろうか。想像が膨らむ。
めちゃくちゃかっこよくなった。布の力すごい。また、男性だと力強さが増す。腐敗した政権を倒す男に見えてくる。
ここで不安になったことがある。これ「ただ逆光と太陽がかっこいいだけではないか」と。
おそるおそる旗を外してみた。
かっこよさ8割減だ。やっぱり旗はすごい。旗はすごいんだ!
調子に乗ってブランコに乗ったら意味がわからなくなった。旗はかっこいいが場所はやはり選ぶ。
さらなるかっこよさを求めて
かっこいい撮影場所を探しつつ、さらにいい写真を撮るべく段階的な研究をすることにした。
実験1:旗を泥まみれにすれば、もっと戦ってきた感がでるのではないか
勇者や戦士は戦う。その足跡を表現すべく旗を汚してみる。
汚れた。すでに雰囲気がある。
写真を見て「旗の汚れ大事!」と叫んだ。男の過去の戦歴が見えるようだ。「この都市(まち)は…僕が守るよ」とか言いそう。
このために購入した白Tシャツ。これを
泥に押し付けていく。「Tシャツをこんな風に扱ったことがなく、申し訳ない」と後輩が漏らす。
そして着てもらう。先輩は汚れたくないと思ってしまったからだ。訴えられたら負ける。
着るだけで「この人何かあったな」という気がしてきた。撮影してみる。
「うわ~~~」と声が出た。服まで汚れると、もうこの人戦ってきたな感がすごい。
いい写真は撮れるがだんだん逆光に飽きてきた。
青空だけを背景にするのはどうだろうというアイデアがでる。
よすぎた。「旗撮影の正解はこれだ」と確信した。空背景に汚れを身にまとい、旗を持つ。はい正解。
ただ撮る人も大変だ。地面にべっとりつきながらの撮影になった。
ここまできたら、もう全部ボロボロにしてしまおうと服も旗も破いてみることにした。戦いはさらに激しさを増していく。
すごいことになった。これが電車で来た人に見えるだろうか。私には何万人もの民を救った戦士に見える。
「この人なら、この貧しい生活を変えてくれる……この人を国の長に!!!」見てる方もだいぶわけがわからなくなってきた。
後輩が「いっそ顔もドロドロにする」と言い出した。即席戦士として強いプロ意識が芽生えている。これが最終形態だ。
なんてことだろう。最初のダサい写真から、私たちはだいぶ遠い所までたどり着いてしまった……。
もうなんか、最後は顔までうるさくなってしまった。これにて検証終了です。
映えたいなら「旗」はマストアイテム
最後はあまりにかっこよく撮れすぎて、そろそろインスタグラムとかでもはやるんじゃないかという気すらした。
若い人に伝えたい。旗がいちばんかっこよく映ると。後輩も「絶対プロフィール写真にする」と喜んでいました。
ちなみにマスクをかぶって持つと急に危険人物になる。素顔がおすすめです。