思った程辛くない
ということで、ネットで注文して届いたパオラージャオがこちら。
500g入り。多分業務用サイズ。
茶褐色の汁に漬かった唐辛子は、日本でよくみる唐辛子と比べるとかなり大きめ。袋の上から触った感じでは崩れそうな柔らかさ。
塩漬けだけに、1年半ぐらい保存がきくようです。
未知の唐辛子を触る時は、念のためビニール手袋でガード。
直接触ってみるとかなり柔らかい。手で軽く引っ張るぐらいでちぎれてきます。香りは割と強く、唐辛子料理を食べる時に感じるような鼻に当たる刺激と共に、沢庵の古漬のような酸味の強い香りがします。
調味料ではなく唐辛子の漬物と思えば、そのままでも食べられないことはないだろう。
本来は細かく刻んだり、ペースト状にしたりして使うものなのですが、どのような味なのかそのまま食べてみました。
うまくて辛くてこれはいい!
食べてみると、乳酸発酵由来の強い酸味とともに、しっかりとした旨味を感じます。そして後から唐辛子の辛味がジワリと広がる。
そのままの唐辛子とは全く違います。発酵による旨味が凄い。うまくて辛い。辛いといっても、それほど強い辛さではありません。唐辛子の品種なのか、発酵による効果なのか。いずれにしろ、このパオラージャオを料理に足したら、色々うまくて辛くなりそうです。
麻婆茄子の原型となった料理
パオラージャオの味がわかったところで、これを使った代表的な四川料理を作ってみました。魚香茄子(ユイシャンチェズ)です。魚香とありますが、魚ではなくナスとひき肉を使った麻婆茄子の原型になった料理。
魚香とは、醤油、塩、砂糖、酢、酒、パオラージャオなどを用いた、元々魚料理に使った四川料理の調味法です。細かく書くと長くなるので、詳細は各自で調べてください。
夏に辛いナス料理。いいよね。
材料はナス、ひき肉、パオラージャオ。あと、にんにく、しょうが、ネギ、トウバンジャン、テンメンジャン、醤油、塩、胡椒なども使います。
手順は麻婆茄子と大体同じ。
四川料理の代表的なもののひとつなので、使う材料や細かいレシピは、料理名とパオラージャオのキーワードで検索すると沢山出てきます。そちらを見てください。麻婆茄子を作る時と大体同じです。
魚香茄子出来ました。
唐辛子が大量に入り非常に辛そうに見えますが、ほんのり辛いという程度。普通に鷹の爪を入れて炒めた時のような鋭い辛さとは違います。揚げたナスとパオラージャオでウマ辛く、ご飯がススム味になっています。
パオラージャオいいね。
こいつは飯とかビールとか欲しくなる味だね。
食べるウマ辛い調味料を作る
それでは、このうまくて辛いパオラージャオを使って他のものも作ってみます。何を作るか考えた時、思い出したのが食べるラー油。炒めた時のウマ辛い感じが食べるラー油に合いそうです。
食べるラー油が流行ったのは2010年頃のようです。
・パオラージャオ 3本(約40g)
・オリーブオイル 100ml
・ごま油 50ml
・長ネギ 10cm
・ニンニク 1片
・ミックスナッツ 30g(砕いたもの)
(アーモンド、マカダミアナッツ、カシューナッツ、クルミ)
・テンメンジャン 小サジ1
・醤油 大サジ1
・砂糖 小サジ1/2
・塩 塩少々
フライパンでも出来ます。
作り方は、砕いたナッツとみじん切りにしたネギとニンニク、オリーブオイル、ごま油を鍋に入れて弱火で焦がさないように加熱します。
大変いい匂いがする。
アクが出てくるので取り除き、ネギやニンニクが色づいてきたら調味料とパオラージャオを入れます。軽く混ぜ合わせながら、暫く加熱したら出来上がりです。
超ハイカロリーな悪魔の食べ物ができました。
出来た食べるラー油は辛いというよりも旨味や塩気の方を強く感じます。作る時にラー油や豆板醤などを好みで足せばより辛くなるでしょう。
豆腐のヘルシーさを台無しにする。
ご飯に乗せても、野菜などに添えて食べてもおいしいです。キノコ類炒めてこれでサッと味付てもいいかもしれません。
辛味と塩分と油は酒に合うよね。
もちろんお気づきかとは思いますが、油にナッツ。そして醤油などの塩分。恐ろしいほどのカロリー摂取となるはずです。美味しい物は大体、油と塩と糖で出来ているなんていいますが、食い過ぎには注意しましょう。
酒が進む味だねえ。食ったら運動すれば大丈夫。
パオラージャオを自作する
大変うまいパオラージャオですが、四川では各家庭で作られているそうです。ならば自分でも作ってみたい。材料を取り寄せました。
そのままかじったら割と辛かった。
韓国産の赤唐辛子です。8月頃だと、普通に売っている日本の生の唐辛子は青唐辛子が中心。サイズも違います。見た目が似ているこちらを用意しました。
ヘタは取りました。
作り方を調べてみると、日本語だと詳しいものがあまりなく、海外の動画を見て調べてみました。しかし、家庭で作る物なので、紹介も作り方も割とアバウト。追加で入れる物も微妙に違いました。
とりあえず、基本は生の唐辛子を清潔な容器に入れて酒と塩水を入れる。空気が通るようにして常温で放置。1週間から1ヵ月ほど経って、乳酸発酵により水が白く濁り酸っぱくなれば出来上がりのようです。風味づけにニンニク、ショウガ、山椒、八角など入れたりするようなので、今回はニンニクとショウガだけ入れてみました。
容器や道具は清潔を保ちましょう。
塩水の濃度がどのぐらいがいいのかよくわからなかったので、酒(日本酒50ml使用)と水を合わせた量に対して6%ほどの塩分としました。水は一度沸騰させたものを使い、容器はアルコールで消毒しています。酒を全体にかかるように先に注ぎ入れ、唐辛子が浸かるぐらいの量の塩水を入ています。
唐辛子が浮いてくるので串で穴をあけてあります。
この状態で空気が通る程度に軽くフタを閉めて、風通しのいいあまり暑くない日陰の室内に放置します。1週間ほどするとこのようになりました。
かなり水が濁っていますが、腐敗臭はしません。酸味のある発酵したいい香りにニンニクの香りが混ざります。水を舐めてみると酸っぱくて、塩気と共に強い旨味を感じます。発酵は成功したようです。
クタクタというよりシャッキリ。
出来上がったパオラージャオは、購入した物とくらべると実がまだしっかりしています。1週間ぐらいだと発酵が足りないようです。
これはこれでうまいな。
味自体は、購入したパオラージャオと近いものになっていました。ただし、まだ若いというか、青いというか。漬かっている水の部分は旨味が強いのですが、実は浅漬けの漬物ぐらいの旨味です。このまま冷蔵庫に入れて更に熟成させたらより美味しくなるでしょう。
他の唐辛子でもやってみた
自作パオラージャオが大体上手くできたので、他の唐辛子でもやってみました。こちらの唐辛子。
かつては世界一の辛さといわれたハバネロ。
生のハバネロです。辛さを表す単位のスコヴィル値で10万から35万。日本でよくみる鷹の爪が4、5万ぐらいということで、数倍の辛さがあります。これをパオラージャオにしてみました。
この時点でなんとなく結果は見えていたけどねー。
作り方は普通の唐辛子と同じ。酒と塩水につけて1週間放置。
香りもちょっと刺激有。
白く濁り発酵はうまくいったようです。発酵した酸味のある香りは同じなのですが、普通の唐辛子と比べて唐辛子的な刺激臭が強いです。
見るからに危険そうな赤。
まずは漬けていた水を舐めてみました。乳酸発酵の酸味と強い旨味は変わらず。しかし、決定的に辛さが違います。ビリビリと舌に刺さるように広がっていく。
汁だけならまだ大丈夫だが・・
大辛のカレーを食べた時ぐらいの刺激でしょうか。まだ大丈夫です。では実をかじってみましょう。
端の方を少しだけ・・
ウオッ!
流し台へダッシュしました。そのまま食べてはいけないものでした。何か辛い料理を作りたいときに少しだけ使います。
発酵唐辛子うまい
パオラージャオは、酸っぱくてうまくて辛くておいしかったです。秋ごろには生の赤唐辛子が出てくるので、漬物感覚で作ってみるといいかもしれません。酸っぱくなった漬け汁を煮物に使っても美味しいようです。
そして、ハバネロのパオラージャオは、とにかく辛い物が大好きという方にはいいかもしれないですが、あまりオススメはしません。ちょっと辛すぎます。
最初はハバネロよりも更に辛い、ブートジョロキアでやろうとしていたのですが、生の物が手に入らなかったので止めました。ハバネロ止まりでよかった。
パオラージャオをペースト状にして使いやすくしたパオラージャンも売っています。Amazonで買えました。業務用だけど。