とくべつ企画「すげえ」 2018年5月3日

ツタにおおわれているすごい居酒屋

この物体がお店です
世田谷の環七沿いに気になる店がある。

ツタがものすごく絡まっているのだ。店というか、ツタのかたまりである。店名は「かどっこ」。確かに角にある。

しかしそういうことではない。ツタだ。

ずっと気になっていたので入ってみた。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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予想以上のフレンドリーさ

主人がとっつきにくい人やツタの精霊だったらどうしよう。そうと思っていたのだが、すごくフレンドリーな店主だった。店主は西野さん。このお店を開いて24年目になるそうだ。

前を通るたびにすごく気になっていたことを説明すると「勇気あるね~」と冗談っぽく言ってくれて最初からいい感じである。
カウンターだけの小さな店内。ちょうどいい明るさ。
店内に貼ってあるライブのチラシに書いてある名前が西野さんである。聞いてみるとシャンソンの歌手だそうだ。この外見の店でシャンソン歌手、情報が多い。

わずか3鉢のツタから

気になっていたツタについて聞くと笑いながらいろいろ教えてくれた。
・外階段と室外機を隠すために3鉢買ってきたのがきっかけ
・ツタは冬でも枯れない。「図々しいやつでさ(笑)」。最初は水をあげたけど、いまじゃまったくあげてない。
・近所から通行のじゃまになるからといわれてたまに剪定している。でもまたすぐに生える
・切ったツタを環七沿いの植え込みに置いたらそこでまた生えた
・ツタがこの建物を補強しているのか、東日本大震災のときでも酒瓶2本しか落ちなかった
1枚目の写真、真ん中の暗い部分には階段があったのだ
お願いして外階段に登らせてもらった。階段に立ってみるとツタの茂みから緑の匂いがして懐かしい気持ちになる。
図々しいやつでさ、なんていいながらも西野さんの話を聞いているとツタへの愛情を感じる。その証拠に店内の装飾だって葉っぱである。
さりげなく店内にも葉がある
「いや、それ外のツタがどこからか入ってきてるんだ」
とのこと。

あ、そうなんですね…。
料理がうまい。ガーリックがきいている塩サバは最高につまみになった
手羽餃子、お通しの鶏肉、おまけでくれたローストビーフも美味しかった。写真を撮り忘れてパクパク食べてしまったことからもそれが伝わると思う。味つけが好みだった。

このテラス席はすごい

かどっこ店内はカウンターだけ10席ぐらいの小さな店内だが、外にテラス席がある。ここも気になっていたのだ。
ここ、最高じゃないですか。
天然のツタが屋根のようになっている。
Bunkamuraの映画館で上映しているヨーロッパの文芸映画にこういうテーブルが出てくる。

こんなところでワイン片手に近代について議論したいものである。(ただし環七沿いなので常に車の音はします)
お店の看板も半分隠れている
勝手口。その隣にうっすらと赤い光が
勝手口の横にうっすら赤いところがある。西野さんが「ここも見えないな」と言っていたので近づくと、OPENのネオンだった。
ツタをかき分けるとOPENの明かり
建物は3階まであるのかと思ったが2階建てだった。ツタがこんもりしているからそう見えただけだ。
見上げると神々しさすら漂う

すごいが3つある店だった

すごいツタ、すごく気さく、すごく美味しい。の3つである。
フランスのテレビ局が取材に来て、それを見たフランス人が訪れてきたらしい。わかる。そういう海外旅行はすごく楽しいだろう。
僕は家が近いのでもっと楽しい。

かどっこ
東京都世田谷区若林5-3-10
営業時間:19:00~26:00
(日曜日も営業しているらしいですが、行く場合は事前に確認してください)
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