特集 2018年1月11日

群馬の「登利平」は「鳥めし(竹)」以外もうまい

鳥めし(竹)だけじゃない
年が明けた。だが1年前、群馬に帰省した時に「登利平(とりへい)」のレストランで食べた鳥合わせ定食がおいしすぎたという余韻がまだ消えていない。

「登利平」は、「鳥めし」という弁当をつくっている会社で、「鳥めし」は、群馬県内の大会やイベントのお昼ごはんに頻出しがちな弁当だ。県人の9割強知っているといっても言い過ぎじゃないくらい、県内知名度が高い。

わたしも県民だったころかなりお世話になっていた。だが、当時はレストランにまで意識がおよんでなかったのだ。そしてよく目をくばらせてみたら、弁当の種類も「鳥めし」以外に10種類くらいあるとわかった。

なにそれすごい、食べてみたい。あと「鳥めし」についても、テレビに出たらしいと聞いたが、ぜんぜん知らないよって人もいると思うので、ちゃんと説明したい。うまいです。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

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レストランは鶏肉を大盤振る舞いしている

まず1年ぶりにレストランに再訪してみよう。
レストランの入り口近くには、お弁当販売コーナーもある
こちらが鳥合わせ定食、1000円。比較対象を入れないで撮ってしまったので大きさが伝えづらいのだが、1つ1つがかなりでかい
記憶の採寸だが、右のカツ(中身は鶏むね肉)が10センチ位、左のから揚げが6センチ位じゃないだろうか。どこから口を運べばよいか悩んでしまった。口の大きさを度外視していないかこれ。でもおいしいから、いいんだと思う。

カツは見た目よりさっぱり、内側はしっとりでやわらかい。から揚げは衣の中に肉汁がぎゅっと詰め込まれていて、噛むたびにニコニコしたくなる。
「から揚げ、大きすぎない?」と群馬在住の後輩に言ってみたところ、「ここのは、みんなこんなもんです」とサラリと切り返された
豆腐サラダには豆腐と同じ分量の鶏肉が鎮座していた。鶏肉への思いの強さを感じる
完食した時はつい達成感がこみ上げてしまった

弁当、まずは「鳥めし(竹)」から

レストランを堪能したところで弁当の話にもどります。
まずは「登利平」いちばんの定番商品、鳥めし(竹)
ちなみに、鳥めしには(竹)と(松)の2種類があるんだが、おすすめは断然に(竹)なんである。詳しくは、あとで(松)を実食した時に記します。
この写真、鳥めしの記憶が脳内にある人が見ると「あーそうそう、こんな感じだった!」ってなる瞬間な気がするので、載せます
開いた状態。とても茶色い。彩度がいちばん高いのはたくあんだろうか
うすく切られた鶏むね肉が、しょうゆ・みりん・さとうを合わせたタレでうす茶色に染まりながら、ぴっちりとごはんの上に鎮座している。
うすい鶏むね肉。冷めていてもうまい。ぱさっとしていない
さっぱりあっさりしていて、するする口に入る。甘みのあるタレに中毒性のようなものがあるのか、ごはんを飲むように食べてしまう。ごはんはお茶碗2杯分以上あって面積のほとんどを占めている。おかずとの比率は9対1くらいなのでは。
個人的に一番好きなのはごはんの部分。たぶん、鶏肉が置いてなくても文句言わずに食べちゃうんじゃないだろうか
鳥めし(竹)との付き合い30年以上のわたしの感想だけだと偏っている可能性があるので、食べたことのない人にも食べてもらった。
大学時代の友人を尋ねた
側にいた友人のこどもが、パッケージに書いてある人らは誰なのかと問いかけてきた。それ、わたしも知りたい
ちなみにお願いしてから知ったのだが、友人は鶏肉が好きではないらしい。なんと。ごめん。なので、鶏肉部分は食べなくてもいいよと伝えた。
だけど友人は、いつのまにか鶏肉にも手を伸ばしながら「おいしい」「肉薄い!ここまで薄くしてくれたら、だいじょうぶ」「ほんと肉薄いね、どうやって切っているんだろう」「削いでいるのかな」「すごい薄い、ケバブ屋さんみたい」「これ、今度買う」と言いながら食べ続けていた。
ごはんへのタレのしみ具合がまだらなことにも、絶賛が寄せられた。のりが置いてあるのも良いと言う
「正直、鶏とタレと米でもつのかなって最初は思った」「でもおいしい」「この少ない材料で飽きさせないのはすごい」なるほど。
そう言われてみて、過去、何度このお弁当を出されても「またかよー」という気持ちには全くならなかったことを思い出した。鳥めし、すごいバランスで成立していたのだなぁ……。

ほかのお弁当を大人買いしよう

と、「鳥めし(竹)」の良さを再認識しつつも、やっぱり他の弁当も食べてみたい。
ほかの弁当たち、けっこうある。右側は予約要のお弁当で、左側が購入可能。レストランで食べた「から揚げ」「カツ(鳥追い)」とかぶらないやつを買ってみることに
ちなみにさっき言いそびれた。「登利平」弁当の消費期限はものすごく短い。昼頃に買った弁当の消費期限が夜19時くらいなのだ。食べる当日に買いにいくしかない。
店舗の9割以上は群馬県にある。他は埼玉県に3店舗、栃木県に1店舗。東京都心部から1番近いのはおそらく熊谷店だ。近いといっても鈍行で1時間半かかる
でも、駅から直結の駅ビルの中にあるのがうれしい
ちなみに同じ階には、サイゼリヤとさくら水産がある。個人的には、その組み合わせは最強だし最高ではないか……!って思う。
大人買いの重みがずっしりきた
ひとりでは食べきれないので、同郷の友人に協力してもらった。ちなみにわたしも友人も鳥めし(竹)以外の弁当をほとんど食べたことがない。今までいったい何をしていたんだろう。
パッケージがひとつひとつちがう
ほぼ茶色。バランと紅ショウガだけが異世界。でもこれはごちそうである、という気持ちにゆらぎはない。お弁当の茶色は正義
机に並べた瞬間の自分の心の声は、きゃーっと彩度の高い黄色だった。大人になってよかったなぁという感慨がこみあげていく。
まずはこれ、ソースカツ弁当。カツは鶏むね肉
ソースがしっとりと衣をぬらし切っている。たまらん
肉がやわらかくて、部位によっては、1センチを超える肉厚っぷりなのに食べやすい。ソースはどことなく甘くて、ソースのからまったごはんがこれまた美味い。うわー。
味の詳細をメモする用に側に置いていたノートを見返したら、「すばらしい」って書いてあった。味の詳細を書き忘れるくらい高揚していたんだと思う
鳥串弁当
串にぶっささったまんま、ごはんにのっているのはなぜ? と不思議だったが、串からか外してもらってなんとなくわかった。
ビジュアル面を考慮したのだろう……
焼き鳥は全体的にとても黒い。入念に炭火焼している感じがする。味も炭火味で、ごはんにも炭火味が浸食している。

ただ、ひとつ言っていいだろうか。これ、ビールがほしい味すぎる。
だって、レバーとか……!(食べかけですみません)ビールが飲めない状況でこれを食べるの、発狂する……!
脳内にわきあがるビール
豚肉の炙り焼き弁当というのもある。注文した時「豚肉ですが大丈夫ですか?」と聞かれて、鶏肉をメインであつかっている店ゆえの心遣いを感じた
一般的に豚は鳥にくらべると「けもの!」って味わいが強い肉という認識
だが、これにはけもの臭がほぼない。あっさりさっぱりしている。
しかしなぞの白滝が気になる。バランまでしいてある。なぜだ。なぜ豚だけ
豚だと認識せずに食べたら、「ぶた…?」って半信半疑になりそうな、さらっとした味わいと感じた
そして、鳥めし(松)。つまり、鳥めし(竹)のワンランク上って定義で、値段が110円高い鳥めしである。
なにが違うのかというと、鶏肉の種類だ。半分は(竹)と同じなんだが、半分は鶏もも肉
ぶ厚い
!!
鶏もも肉、ずっしりしていて噛むとぎゅっと歯ごたえと弾力が押し寄せてくる。強い。
うーんでも。うまいっちゃうまいんだが、今じゃない気がする
群馬では「鳥めしは(竹)だ!」とけっこう広く言われている。その理由を、今やっと実感として理解できた気がする。自分は(竹)しか食べたことがなく、比較したことがなかったのだ。

もも肉は、肉としては好きな部位なんだが……、弁当の構成とバランスがいいのは断然に(竹)だ。(竹)がつくりあげる黄金比率が強靭すぎてしまう。
そんな、鳥めし(竹)とうなぎがタッグ組んだ、うなとり弁当というのもある
高いんだけどな(2100円)
ちなみにうなぎはとても好きなんだが、食べるのは1年以上ぶりだ。うまい。冷めてもおいしい。なんだこの贅沢な弁当は……!
一巡してみて、たった2人でたいらげようとしていたことに「しまった!」と思いつつも、残りを弁当を2分割して、ぜんぶのせ弁当をつくってお土産にして、帰路についた。寒さがあまり気にならなかった。
良い茶色!

食べ比べる会を推奨する

鳥めしをまだ食べたことがない人にはぜひ、鳥めし(竹)を食べてみてほしい。鳥めしはもう沢山食べてきたぜって人らにはぜひ、ほかの弁当を買い占めて、みんなでわいわいと食べ比べる会などを開いてみてほしい。今年もよろしくお願いします。
3人以上推奨かも
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