広告企画♪ 2015年8月19日

お化けのいっさい出てこない「大人のお化け屋敷」

大人にはお化けよりも怖いものがあるのだ。
夏のアトラクションといえばお化け屋敷だが、あれって結局お化けの格好をした人がおどかしているだけだろう。

大人になるとお化けよりももっと怖いものが出てくるものである。今回はリアルに大人が怖がるお化け屋敷を作ったのでぜひとも震え上がってほしい。

キティちゃんがいる理由はあとで説明します。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

メイキング・オブお化け屋敷

夏のアトラクションといえばお化け屋敷だと思うが、あれって言ってしまえば人がお化けのふりをして怖がらせているのだ。タネを知ってしまえば怖くない。

と、富士急ハイランドの戦慄迷宮でお化けに一人も出会わないうちからリタイヤした僕がいうのも説得力ないが、大人はもっとリアリティのある怖さを求めているんじゃないか。

そういうコンセプトで今回は大人が怖がる「大人のお化け屋敷」を作った。最初に言っておくがお化けは一切でないのでお化けが苦手なあなたも安心して読んでください。
会社の会議室をお化け屋敷化した。

大人調査とキティちゃん

今回、ところどころにキティちゃんが登場するのは、サンリオが「大人」の実体についての調査を依頼してきたことに端を発する。大人もキャラクターに癒やされるのか、怖いと可愛いはどちらが勝つのか。なんだかわかんないけどいいですよ、と気軽に引き受けたら本物のキティちゃんがやって来たのだ。

この大人の事情をすべて詰め込んだような企画、うまくいかなかったらどうすんだ、という点も怖さの一つとして注目してほしい。

お化け屋敷の外装を会社で作る

今回の企画は何もないところにお化け屋敷を作るところから始まる。

テレビだと専門の大道具さんがちゃちゃっと作ってくれるんじゃないかと思うが、我々にそんな近道はない。思いついたものは自分で作る、そうやって育ってきた。

たとえそれが撮影二日前だとしても、だ(最初に直面した怖さ)。
会社の打ち合わせスペースで布に赤いペンキで血しぶきを付けていたところ、先輩社員がやってきた。
「安藤くん、こういうことするときは下に紙敷なよ。」
先輩の気づかいである。ありがとうございます。大人になると人の優しさや気づかいにも怖さが混じるのはなぜだろう。

この後も大人を怖がらせるアトラクションを作っていたはずの自分に次々と恐怖が襲いかかる。
美大卒の同僚に手伝ってもらったんだけど
先輩が敷いてくれた紙を無視したパフォーマンスを見せたり。
スカートにおもいっきりペンキがたれたり。
まさかと思っていっかい布をめくってみたら
ペンキが布を貫通してそのまま床がペイントされていたりした。
そんなこんなで現場は惨状と化した。
これ総務部とかに見つかったらすごい叱られるんだろうな。
なにしろ撮影は二日後である。

こういうプレッシャーは嫌いじゃないが、夜中に変な夢を見て何度か起きるくらいは追い詰められた。今回の企画、自分で考えておきながら自分を一番に怖がらせているんじゃないかと思う。誰得、という言葉があるが、完全におれ損である。

そんなことを遠くで考えながらも作業は進み、二日後の撮影の日がやってきた。
完成しました。
暗幕の他にも人の調整とか資材の発着手続きとか、大人のお化け屋敷の運営には主に事務スキルを試されたのだが、そのあたりの説明は想像にお任せします。
社内の会議室を一室借りたので隣では思いっきりふつうに商談が行われているのも怖い。

キティちゃんが来た!

そして本日の主役、キティちゃん到着である。
わー、キティちゃんゆかた着てるー。
かわいー。
僕はキティちゃんに会うのは初めてなのだけれど、思わず(かわいい)と声に出てしまうくらいかわいい。

なにがって控室から出た瞬間、すでに所作がキティちゃんなのだ。うっかりスタッフ的ノリで「今日はよろしくお願いします。」って挨拶したら

(ぺこり)

とひざを曲げて可愛く頭を下げるポーズをとってくれた。この二日の恐怖がすべてふっとんだ瞬間である。

準備は整った。いよいよ大人のお化け屋敷の開幕だ。

怖がる大人を癒してほしい。


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体験、大人のお化け屋敷

これが社内の打ち合わせスペースにあること自体こわい。
今回のお化け屋敷はニフティ社内から無作為に抽出した社員数名に体験してもらうことにした。全員、撮影に協力してほしい、としか伝えていない。誰も怖い目にあわされなんて思ってもいないはずだ。

最初の体験者はニフティ営業部の山田である。
怖さの度合いを知るため、体験者には心拍計を付けてもらっています。
怖さと直結するのかわからないが、何かしら指標があったほうがいいかと思い体験者には心拍計を装着してもらった。アトラクションの最中もリアルタイムで胸のドキドキがわかるようになっている。

それでは山田さん、行ってきてください!
山田「なんですかこれ。入ったらどうなるの。」
入る前からおびえる山田さん。心拍もすでにうなぎのぼりである。そりゃあこんな血しぶきのかかった会議室に入るの怖いよな。

普通のお化け屋敷ならばここでお化けが待っているわけだけれど、これは大人のお化け屋敷である。

中にいるのはお化けではなく
社長である。
ドアの向こうには弊社社長の三竹が待っているのだ。どうだ怖いだろう。

ところで今回の大人のお化け屋敷、外装だけはアトラクション感を出してみたが、入ると普通の会議室である。むしろこの方がリアリティあって怖いかなと思って。

大人の怖いものその1:怒る社長

社会人にとって、やはり社長ほど怖い存在はない。

秘書を通して無理矢理社長のスケジュールをおさえた僕が言うんだから間違いない。
社長に事前説明をする。つまりここに至るまでに同じような恐怖を僕も体験しているのだ。
しかもただ社長が座っているだけではないぞ。
なぜだかわからないが
めちゃめちゃ怒っているのだ。
社長にはわかりやすく怒ってください、とだけ伝えた。それだけの指示でこの激怒である。偉くなる人は違う。

社長「おい山田、赤ワインってあるよな」

山田「は、はい。」

社長「あれは赤いからわかるけどよ、白ワインってあれおまえ、透明じゃないか。どうなってるんだ。」

山田「そ、それはですね社長。。」

アドリブとは思えない怒りっぷりである。しかも内容が理不尽。

心拍は本日最高値をマーク。
部屋に入ったらなんだかわからないけど社長が怒っている。これは怖い。救いの目をキティちゃんに求める。
キティちゃん「どうして社長は怒っているの?」
怒る社長、無垢なこと聞いてくるキティちゃん、冷や汗をかく撮影スタッフ。

いろいろな要素が混じり合い会議室の空気が薄くなり始めた頃、社長がキティちゃんと談笑をはじめた。
キティちゃんのおかげで社長の怒りもおさまった様子。それを眺める山田の心拍数はおさまらず。

キティちゃんの存在感がここで光った。これがサンリオの望む大人の調査になるのかどうかは謎だけれど、キティちゃんがいることで明らかに場は和んだ。お化け屋敷として和んでいいのか、という疑問はあるが。

大人のお化け屋敷はまだまだ始まったばかり。次のアトラクションへ移ろう。

社長、終わった後キティちゃんと写真撮ってました。


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場面転換のあるお化け屋敷

大人のお化け屋敷は次のアトラクションに移る。

といっても同じ部屋なので中の準備が整うまで、体験者の営業山田には外で待機してもらうことになる。
社長にめちゃめちゃ怒られた挙句、外で立たされる営業山田。うかつにデイリーの撮影に協力すると怖いことになるぞ、という評判がたたないか心配である。
断わっておくが山田は弊社営業のエースであり普段社長に呼び出されて理不尽な怒られ方されるようなポジションにはいない。

準備が整ったので営業山田には再び部屋に入ってもらった。

中で待っていたのはキティちゃんと、そして
「おう、おまえちょっとそこ座れ。」
なんとまた社長である。
しかも今回はなんか雰囲気が違う。

大人の怖いものその2:アカウントが乗っ取られてサングラスを勧めてくる

SNSでアカウントを乗っ取られる。大人としてこれは怖い。

アカウントが乗っ取られるとサングラスを友達に勧めるようになるのだ。今回のアトラクションではその様子をリアルに表現するため、社長にアカウント乗っ取られた人役で出てもらった。おれの辞書に出世という文字はない。
二度目の社長だからか心拍の上りはいまいちか。
大人のお化け屋敷体験も二度目になると耐性がついてしまうのか、そもそも社長がサングラスを勧めてくる意味が伝わらなかったか、心拍の上がり方は穏やかだった。

隣に座っているキティちゃんの癒しが大人の怖さにも効いているということなのかもしれない。
せっかくなので記念撮影。
大人の怖さというか僕のやり口に慣れてしまった山田には帰ってもらい、ここで体験者を替えることにした。二番目の体験者は弊社伊藤である。やはり細かい説明はしていない。
伊藤「なんで心拍計なんてつけるんですか。」
伊藤は社内でスポーツクラブとのタイアップ仕事をしているので心臓が強い可能性もあるが、ここはおおいに怖がってもらいたい。
平常時が74。
伊藤には彼が怖がりそうなアトラクションを用意しておいた。この大人のお化け屋敷は個々の社員の特性を見極め、それに合ったアトラクションを用意しているのだ。すごいだろう。

それではどうぞ!
おじゃましまーす。
「いやいやいや、なんなんですかこれ。」

大人の怖いものその3:健康診断結果

そこで待っていたのは弊社医務室の八木さんである。健康診断のあとに結果に気になる点があると呼ばれて面談が行われるのだ。大人になるとこの呼び出しがなにより怖い。
弊社医務室の八木さん(本物)。
リアリティを追及するため、今回は本物の医務室の八木さんに出演してもらった。社長以上にどうやってアポを取っていいのかわからず、直接医務室に行ってお願いしている。僕は会社の歯科検診をすっぽかし続けていたので、その話にならないか、そこが一番怖かった。

でもこれ、 隣に座るキティちゃんと相まって可愛く収まってしまっていないか。
八木「ご兄弟や親戚に早死した人はいますか。」
八木さんにはなるべく怖い感じで質問してもらっているのだけれど
キティちゃん「この数字が範囲から外れているのはどうして?」
なぜだろう、いまいち怖くないのだ。

通常の面談でこんなこと聞かれたらものすごい怖いと思うのだけれど、どこからどう見ても「キティちゃんのたのしい病院あそび」である。
おかげで心拍もほぼ上昇せず。

横で見ていてもキティちゃんの癒しが健康診断結果の怖さを完全にチャラにしていたように思う。これではお化け屋敷としては失敗である。

次はもっとガツンと怖いやつを用意しているのでそちらに期待したい。

ガンマGTP値の怖さもキティちゃんが忘れさせてくれる。


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話が通じないタイプの怖さ

健康診断結果ではそれほど怖がらせることができなかった。

このままでは悔しいので、なんとかして伊藤に口から心臓が飛び出すくらいの怖さを体験させてやりたい。

いったんお化屋敷から出てもらい、再びアトラクションを変える。

健康診断アトラクションの最中よりも出てからの方が心拍が高い。どんだけ癒されて出てきたのか。
しかし完全に油断した伊藤を次のアトラクションが恐怖のどん底へと落としこむ。

では伊藤さん、次のアトラクションへどうぞ!
おじゃましま~す。

大人の怖いものその4:日本語の通じない外国人

Hello !
そこにいたのは外国人である。ネームプレートにはCEO(偉い人、の略)。これは怖い。
「安藤さん、なんすかこれ。」
さっきの医務室の八木さんではほぼ平常心を保っていた弊社伊藤だが、今回の外国人CEO登場には一気に顔が固まった。やった。このほとんど日本語のできない外国人二人を連れてきた僕の怖さを追体験してもらいたい。

伊藤さんには自分の最近の仕事について説明する資料を作ってきてもらった。もちろん外国人向けに、とは言っていないので日本語の資料だとは思うが、ここは日本語のできないCEOにも伝わるよう、英語でプレゼンしてもらいたい。
「ア、アワ、サービス、イズ、、」
伊藤さんが英語で説明を始めるとすぐにCEOたちが挙手してくる。そして英語とフランス語で一斉になにか言い出す。
Maximeさん(右端)においてはフランスから来ていて英語すら通じないから怖い。
質問がなくても手を挙げ続けることで終始伊藤を威圧するCEO。
キティちゃん「どうして伊藤さんは言葉を失ってしまったの?」

それはねキティちゃん、見るからに言葉が通じなさそうだからだよ。
結果。
体験した弊社伊藤は汗だくで帰って行った。いい恐怖を味わってもらえたのではないだろうか。

心拍数を見ているとさほど高くはならなかったが、あれはもしかして止まりかけていたのかもしれない。そのくらいの表情だった。

いいぞ大人のお化け屋敷、面白くなってきた。

お化け屋敷はさらなる展開へ

大人のお化け屋敷、いよいよ最後のアトラクションに移る。外国人の二人にはお弁当を渡して帰ってもらった。
次の体験者は弊社大はた。平常時の心拍はこのくらいである。
次の体験者は僕がさっき社内のフロアを歩いていて目が合った大はた氏。やはり特に内容の説明はしていない。
ふつうここ入るの嫌だよな。
何も知らない社員が中に入ると、そこに待っていたのは
人事部だ!

大人の怖いものその5:人事部からの呼び出し

指定された部屋に入ると人事の人が待っているという恐怖。社内での撮影なので、リアリティを持たせるために本物の人事部を呼んである。本物だから説得力がすごい。

人事「今日はどうして呼ばれたか、心当たりありますか。」
キティちゃん「心当たりありますか?」
「ねえ?」
もちろん心当たりなどない。そして人事のインタビューになぜキティちゃんが同席しているのか、という拭えない疑問も。
あとで大はたに聞いたところ、大はたさん、キティちゃんのファンらしい。そして人事とは業務でやりとりがあるのでさほど怖くなかったのだとか。
キティちゃんの可愛さが人事部の怖さを押さえ込んだかたちである。
それでもそこそこ上がりました。

で、キティちゃんは結局なにしに来たのか

やはり人対人のアトラクションである。なかなか思い通りの結果が出ないこともあったが、体験者はみな大人社会に潜在する「怖さ」を再認識することができたんじゃないかと思う。

そして体験者が最終的に楽しそうに帰っていったのはキャラクターによる癒し効果が大きかったように思う。もしあそこにキティちゃんがいなかったら僕に対しての不満が爆発していたんじゃないだろうか。

そういう意味ではキャラクターが大人の「怖さ」を打破してくれたという結果ではあるけれど、はたしてサンリオ的にこれでよかったのか、という怖さは残ったままである。


怖さはキャラクターで対抗できる

お化けが一切出ないとわかっていても大人には怖いものがある。ただ、大人にもキティちゃんのように怖さを癒してくれるキャラクターの存在があり得るのだ。

この先、社長とか人事とかに呼ばれることがあったらキティちゃんのことを思い出したいと思います。
キティちゃんにもサングラスを勧める社長。

キティちゃんまで送り込んできた
サンリオの本気度が一番怖かったです。


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