今日こそビールを鍋にぶちこんでやる!!
「肉のビール煮」に成功したことが無い。
肉に焼き目を付けたあたりで耐えられず、いつも焼肉でビール!になってしまう。
ビールを煮汁にしてしまうなんてもったいない。
この冷え切ったビールを、鍋になんか入れられない
しかし今回はビールスープ。
ビールの存在が不可欠である。がまん弱かった僕も、今日こそはヨーロッパの風を背に受け、強い気持ちでビールを鍋に投入できるだろう。
まず挑戦したのは、ドイツの「ハイセ・ビーアズッペ」というスープだ。
サワークリームで決める!ドイツ『ハイセ・ビーアズッペ』
本場のレシピを知りたいので、こんな方法を考えた。
まずエキサイト翻訳で「ビールのスープ」を各国語に翻訳し、その単語でグーグル検索をしていく。(アタマいい、俺!)
するともちろん知らない言語のレシピサイトが出てくるが、グーグルが勝手に翻訳してくれるので、レシピ程度ならなんとかわかる。
すごい時代に生まれたものだ。
ドイツ語の「Heisse Biresuppe(ハイセ・ビーアズッペ)」は、訳すと“熱いビールのスープ”という意味。
ドイツにおける、おふくろの味的なレシピらしい。
材料はシンプル。ビール・卵・サワークリーム、ほか味付け。
1.ビール500mlと砂糖大さじ4杯を鍋に入れて煮立てる。
ビールがもったいないという気持ちは切り捨てる
サワークリーム、初めて買うので探すの大変でした。
3.煮ビールを冷ましてちょっと取り、2のサワークリームと混ぜる
サワークリームは、生クリームの横に売っています。店員に聞くまで、延々とチーズコーナー探してました。
4.サワークリームを鍋に加え、シナモン・黒胡椒・塩を加えて味を調える
「整える」と言われても初めてすぎる料理なので、どこがゴールなのか全く分からないですが、適当に。
5.混ぜながらゆっくり煮立たせ、とろみがついたら完成。
一気に膨らんでカルメ焼きみたいになります。注意。
シナモンが薫る、ドイツのおふくろの味!
出来あがった「ハイセ・ビアズッペ」。シナモンとビールの香りを部屋中にぶんぶん振りまき、異国感を全力で放出している。
恐る恐る味見してみる。
む、む、む……
うまい! うまいーー!!
これはうまい!
サワークリームのまろやかさ、ビールのうまみと苦み、シナモンの甘い香りが、絶妙に合う!
最初に一口飲んだ瞬間は「む、異国の味……!」と思うが、慣れると飲むのが進んで止まらない。
体の内部にエネルギーみなぎる甘さと苦さ!
実は作ってる途中の香りが、実験用のハエのエサにそっくりだったため(
参照記事)、これは相当ヤバいんじゃないかと覚悟してたのだが、飲んでみるとめちゃくちゃうまかった。
さすがドイツのおふくろのド定番と言われるだけのことはある!
もはやビールスープに可能性しか感じられない!!
続いてスペイン語のビールスープ「ソパ・デ・セルベッサ」にいってみたい!
チェダーチーズで作る!スペイン「ソパ・デ・セルベッサ」
ビールスープにはチーズ、特にチェダーチーズが入っているものが多い。英語の「Beer soup」で検索するとチェダーチーズ入りばかりが出てくる。
チェダーチーズ買った。なんか怪しい大きさ。
今回、スペイン語の検索で見つけたソパ・デ・セルベッサ(SOPA DE CERVEZA)もチーズが入っているレシピだったので、塊で買ってきた。
さあコイツを景気よく鍋にぶち込もうと思う。
Let‘s ソパ・デ・セルベッサ!
1.バターで炒めた玉ねぎに、ビール200ml、水1000ml、チキンコンソメ3個を入れて煮る。
6倍に薄まるビール。今回はビール薄めになります。
馬鹿なっ……!
こんなの挑戦じゃないか!!
ベーコンをカリカリに炒めておきながら、目の前に残った缶ビールが半分以上……!
こんな誘惑、こんな誘惑……、
あっさり負けます。
生ハムっ(むふっ!) 生ハムーーっ(むふっむふっ!)
「やれやれ」と、僕はつぶやいた。
ベーコンで飲み干したっていうのに、次は生ハムだ。いったい、どこの誰が僕を試そうというのか?
誰がなんと言おうと残りの缶ビールは永遠に僕らの前から失われてしまった。だというのに、目の前には若い女性の舌ようにつややかな生ハムがある。
僕はこういうとき、どうするべきかを知っている。
迷わず2缶目開けます。
4.生ハムとベーコンとチーズを加え、ひと煮立ちさせる
てゆうかその具、ぜいたくすぎるんじゃないだろうか。
バターでたっぷり泡立つ鍋
てゆうか、味見する前からわかる。
こんなのうまいに決まってる。生ハム・炙りベーコン・バター・チーズ、人類が生み出した最高の滋養分を一堂に会したようなスープじゃないか。
目玉とも言える生ハムの固まり部分。
食べてみると、味はもちろんうまい。
最高の滋養分たちからのうまみを、ほのかに残るビールの苦みがぎゅっとひきしめて、うまくまとまっている。
ビールがスープになっているところなんて、うまく想像できずに作り始めたスープだが、かなりのところまで理解できた。
煮込まれたビールには意外なほどの調和力があり、いつも冷やして単独で飲んでいるとは別の軸のうまさがある。
つぎはデンマークに飛んでみたい。
デンマークのビール粥「Suppe af øl」(読めない)
フランス語で調べてもイタリア語で調べても、山のようにビールスープのレシピはある。そして地方により多様な種類があり、そのビール文化の深さに圧倒される。
ドイツ語のウィキペディアなんて「ビールスープ」の項目がある。
なんでも、コーヒーが普及するまで、ドイツでは朝食には家族でビールスープを常食してたとか。雑穀を入れ、粥のようにして食べていたらしい。
その文化を色濃く引くように思えるのが、デンマークのビール粥である。デンマーク以外の各国でもレシピは見るのだが、何となくかっこいいのでデンマークに代表してもらおう。
1.セロリとか玉ねぎとかにんじんとか入れて、ニンニクとバターで炒める。
ここ、レシピによりバラバラなので、適当にある野菜でいいっぽい。
黒ビール入れろとか、なんとかスタウトがいいとか言ってるレシピもありますが、キリンで押します。日本です。
3.水300mlとコンソメブイヨンとトマト入れて煮込みます。
トマトも入れなくてもいいみたいです。レシピが多様すぎて訳わからなくなってきています。
前の2作がクリームとか肉とかバターとか、強力うま味具材を使っていたのに、このレシピは何も入れていないので、すごく心配になる。
試しに味見してみたら野菜のしぼり汁にビール混ぜたような、とんでもなくまずい味がした。まずい。このチャレンジはじめてから最高にまずい。
果たしてうまくなるのか。
スーパーで売ってる138円のフランスパン使用。
ビールは液体のパンと言われるが、そこへさらに固体のパンを入れて煮込むという重ね技である。最後には渾然一体の半固体、粥となるから問題はないだろう。
ちなみにパンだが、古いパンを使えだとか、パン粉を使えだとか、質素なこと言っているレシピが多いが、理由は良く分からない。
日本人にとって新品の小麦粉で揚げ玉作るぐらいの冒涜なのかもしれない。
なぜか黒胡椒よりみんなナツメグ使ってた。合うのかな。
食べてみると、味は想定外にうまかった。
途中、味見の時点では、苦みとえぐみが総攻撃してくるような味だったので、どう考えてもダメ料理だろ!と思ってあきらめていたが、パンを入れることで急に甘く、まろやかになる。
うまい。
デンマーク、どこだか知らんが、粥うまい。(五七五)
それでも苦いは苦いので、苦手な人は難しいかもしれないけれど、コーヒーのブラックが平気なぐらいだったら絶対いける。ビールの栄養がぎゅっと詰まっていて、体にも良さそう。
ビール粥、なかなかやるな!
普及させよう、ビールスープ
高い酒税を払ったのに、わざわざアルコールを飛ばしてしまうというレシピ、ビールスープだが、どれもそれだけの価値はある味だった。
点数をつけると、
・サワークリームのハイセ・ビアズッペ……5点
・チェダーチーズのソパ・デ・セルベッサ……5点
・デンマークのSuppe af øl(粥)……4点
ぐらいだろうか。
ただハイセ・ビアズッペは煮込まないとあんまりアルコールが飛ばないので、多分飲むと酔います。注意しましょう。