簡単にできるビスマス結晶
当サイトも参加することがある「
Make:TokyoMeeting」という物づくりイベントがある。
先日、そのイベントで「
石華工匠」さんが、鍋とニッパーだけでひょいひょいとビスマス結晶を作っていくのを目にした。
その時買った結晶。クラブ活動「
虹部」にも一度書いた。
初めて見る実物にの美しさに衝撃的うっとりしてしまったのだが、同時に、結晶がそんなに簡単に作れることにも驚いた。
これは僕もいつかやらねばなるまい。
近年最大の懸案事項を解決するべく、僕はビスマスを注文した。
届いたビスマス。佐川急便の兄さんがあせる重さ。
ただし高い。1kgで5500円もする。
結晶を作るのに、コップ一杯分を用意したが、価格は2kgで11000円だった。高い大人の遊びである。
溶かす前にも鑑賞するなどして、充分に元を取りたい。
並べたビスマス。すでにちょっと虹色。
逆さにするとピノに激似。(入れてみた)
融点は272度
ビスマスの融点は低いので、普通のコンロでも熔かせるはずだ。ちょっと試しにやってみた。
セットオン、点火!
おお!
おおおおお!
そして固まる。
ごく簡単に熔けて、そして普通に固まる。
ドラクエのはぐれメタルみたいな感じがとてもかわいい。
よし、2kg全部に溶かして結晶作りに挑戦してみよう。
いよいよ本番に挑戦です。
いきなりできた、虹の結晶!
作り方は簡単だ。
1.ステンレスの鍋でビスマスを熔かす。
強火だと危ないので、中火で。
温めた牛乳にできる膜と同じです(嘘)
3.冷やして半分くらい固まったら、中から結晶を取り出す。
あ、できてる。
最初の挑戦であっけないほど簡単にできた。
もっと失敗してノウハウ学ぶのとか必要と思ってたのに、いきなり鍋の中からどんどん取れる。
まるで揚げた天ぷらを取り出すごとし。
Make Tokyo Meeting で見た物よりも色が青み深く、ちょっと違う感じだったが、全然キレイだ。
しかし不思議である。
通販で買った地金を熔かして固めるだけで、こんな宇宙の神秘のような、不可思議で美麗な結晶ができるなんて、ほんとに世界って不思議だ。
ブルーウォーターと名付けて売ろうか。
ビギナーズラックだったもよう。
しかし調子に乗ってこのあと何度かやってみたが、総じて失敗に終わった。
固まった頃合いを見計らうのが意外と難しい。
今か!と思ってはさみを突っ込むと、まだドロドロだったりする。一度突っ込むと表面が荒れてしまい、結果は悪い。
逆にタイミングが遅れると、カツカツで手遅れだったりする。
遅すぎたとき。表面の固まり具合から中身を予想するの難しい。
そこでちょっと別の発想で結晶の取り出しに挑戦した。
固まってない方を流し出す作戦
最初の方法の問題点は、どこにビスマスの結晶ができてるのか全く見えないところにある。そこで考えた。
ビスマスの結晶は、図のようなイメージで成長する。
ということは、固まってないビスマス(灰色の部分)を、別の容器にだばーっと流し出せば、あとからゆっくり結晶取りホーダイである。
ちょっと危険だが、これに挑戦してみた。
※半袖半ズボンで実験するのは避けましょう。僕はこのあとヤケドして、長袖長ズボン着ました。
流し出した後のビスマス鍋。まだ超熱い。
この方法、流し出した後のビスマス鍋が冷めきるまでに20分ぐらい時間がかかる。けっこう長い。この間にコーヒーを飲んで過ごしてもいいし、のど自慢を眺めて過ごしてもいい。優雅な午後の休日を満喫できる。
僕は最近買った「電動夏子安置システム」という劇団のDVDを見て過ごした。『或ルゴリズム』という作品が素晴らしい。ついつい夢中で見すぎて、一度流し出すタイミングを失敗した。
まあ、そんなこんなで2~3回の挑戦の末、かなりいい結晶を取ることに成功した。見てほしい。
まさに宝の山状態! できぐあいを見てみましょう!
ちょっと淡色、流出タイプの結晶。
ほらっ!
ほらほらっ!
取りだしたところ以外も、超きれい。
色合いは、最初の方法とかなり違う。
作り方によってかなり色が変わるようだ。
最初の取り出し法で作ったのは深い青、今やった流し出し法で作ったのは淡い黄~赤になった。
実は虹色に見えるのは表面の部分だけなので、そこの出来具合いが、温度とか空気の触れ具合によって違うのかもしれない。結晶作成、奥が深い。
慣れてきたところで、もうちょっと大きい結晶に挑戦してみた。
大きい結晶への飽くなき挑戦。
このあと何度も何度も大きい結晶を作る挑戦をした。
一見きれいにできた結晶も、小さければまた熔かして、次の挑戦に向かった。
流し出した穴からのぞくビスマス結晶。キレイだけどまた熔かす。
容器を変えてみようと思い、プリンカップを買ってみたりした。それでもできなかった。
これもキレイなんだけど、やはり目標とは違う。また熔かす。
冷やし方を変えたり、結晶の種を入れたり、色々な方法を試した。そして深夜の入りばなになった頃、ガスボンベが尽き、炎が消えた。これで今日は終わりだ。
容器の中を見ると、見たことの無い形の結晶ができていた。
塔みたいな結晶。
なんだろう、これ……
まあ、今日はこれでよしとしたい。
学んだコツを、ギャラリーとともに振り返っていこう。
1、用意する道具
・ステンレスの容器
・火ばさみ
・膜取り網
膜取り網は100均の豆腐すくい。
ステンレスの容器は深めのものがいい。今日使ったキッチンポットはいまいちだったので、持ち手のある計量カップをアマゾンで衝動買いしてしまった。
次はこれで挑戦したい。
※指導者である石華工匠さんから、取っ手付きの容器は重さに耐えられない可能性があるため、できれば避けたほうがいい、とのアドバイスを頂きました
マヤ文明の砲台跡(イメージ)
2、加熱用具は安全を
強火の加熱は危険です。
今日はカセットコンロを使ったが、ボンベがあまりに過熱すると爆発することもあるので、ちょっと危ない。
中火を心がけて加熱したが、できればガス管からガスを取れるといい。ビスマスは無害なので、家族の理解があれば台所のコンロでもいい。
黄金聖闘士のような輝き。
3.ゆっくり冷やす必要はない
ゆっくり冷やした方がよくできるかなと思って、フタしたり別のもので包んだりしてみたが、むしろ結果は良くなかった。単に周りから普通に固化してしまう。
なんつうかこう、ゴロっとしたのができないんだよね。
エッジの効いた大きな結晶は、ある程度急速に冷えた方がよく成長するのかもしれない。
本日の集合写真。
夢中になれます、虹の結晶作り。
結局大きい結晶は取れなかったけど、休日一日、まさに寝食を忘れて、ひたすら、ひたすら、鍋でビスマスを熔かしていた。劇団のDVDも何度も見て、ストーリーもほとんど覚えてしまった。
ちなみにビスマスは加熱を繰り返すたび、酸化して少しずつ量が減っていく。それでも大きい結晶が欲しくて、地金の追加注文をクリックしそうになっている僕がいる。
魔性の趣味だ、ビスマス結晶づくり。
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