旅先で働くことをワーケーションと呼ぶらしい。その言葉がニュースで話題になっている。(2020年7月27日)
いつもと違う環境で働く?それなら僕らデイリーポータルZがずっとやっていたことだ。
ツイートしたらそこそこ反響があったので、恥ずかしげもなくさらに説明したいと思う。
これまで行ってきたワーケーションは5回
多摩川川原 2006年
洞窟 2014年
吊橋 2015年
崖 2016年
多摩川川原 2017年
デイリーポータルZがイッツコムに移るときに、なんか派手なことでもするか!と考えて川原だった。外で働くことがアイデンティティになっている。
その正否はさておき(たぶん否だから)、外で働くことのノウハウを頼まれてもないのに書きたいと思う。
1.液晶が見えない
パソコンのモニターは外で使うことを前提に作られていないので照度が弱い。直射日光が当たると見えないのだ。
過去の写真を見てもモニターに顔を近づけているようすが写っている。
パナソニックのタフブックというパソコンは屋外でも使えるようになっているので、編集部のパソコンをそれに統一しようか考えたことがあるほどだ。
スマホやタブレットは外でも見える。ただ炎天下の屋外に放置しておくと「内部が熱くなったので自動的にバッテリーをオフにします」といった恐ろしいメッセージが出る。
2.電源はガソリンのジェネレータがよい
ノートパソコンは内蔵バッテリーで使えるが、洞窟では照明がいるので外部電源があると安心だ。
最近は充電式のバッテリーやカセットコンロ用のガスで使えるジェネレータがあるが、旧来のガソリンを入れるタイプがやっぱり安定している。
ただ、ジェネレーターは洞窟の外に置くこと。中に置くと排気ガスで酸欠になってしまう。
このノウハウ要りますかね、という声は無視して続けよう。
3.ハイエース便利
机など大きなものを外に持ち出すので車はあったほうがよい。過去の写真を見たらすべてハイエースだった。
レンタカーを借りるほか、ロケバスを借りてしまうという手もある。ロケバスなんて予算があるテレビ局が使うものだと思ったが、赤帽で荷物だけ運んでもらう+全員の交通費合計と比べるとそれほど高くない。スポンサー付きの記事の場合は使おう。
ワーケーションの経費になるかは経理に確認してほしい。
4.場所探し&許可取り
川原の撮影許可は河川事務所でとれる。都立公園に比べてゆるいところが多い。同じ川原でも場所によって管轄が区だったりするので、電話すると教えてくれることもあるし、たらい回しにされることもある。
崖と洞窟、吊橋はネットで探した。たいていフィルムコミッション(地元で映画やテレビに使うロケ地を斡旋してくれる団体)があるので、そこに連絡すると管理人を紹介してくれて下見や当日の段取りなど話が早い。
候補になった洞窟はふたつあり、落ちると死ぬ穴がある洞窟とそうでない洞窟の2種類だったので安全のため後者にした。
5.風に当たるだけで疲れる
川原も崖も風が強い。外で2時間撮影しているだけで肌はカサカサ、身体はくたくたになる。
ワーケーションの場合は屋根だけではなく、壁もあったほうがよいだろう。つまり屋内で働けということかもしれない。
6.どうやっても机は汚れる
机と椅子を外で使うと細かいところに一瞬で土やら砂が入る。きちんと拭いたつもりでも会議室戻すとジャリっとするのだ。あきらめよう。
7.バッテリーが切れる
しばれ祭りという氷点下20度のテントで一夜を過ごすイベントに行ったとき、カメラのバッテリーがみるみる減ったことがあった。
カメラのバッテリーには使用温度というものがあり、それを下がると通常の性能が発揮されないのだ。
ワーケーションも氷点下ではないところがよいだろう。
おれたちの時代が来た
いつも外撮影が終わったあとは、屋内最高!と言って笑い合うのだがこれだけ繰り返しているということは何かしらの魅力があるのだろう。もしくはばかなのかもしれない。
しかし5回中、2回がエイプリルフールである。現実がエイプリルフールに追いついてきたわけで、いよいよもって我々の時代が来たという実感しかない。
ワーケーションについてのご相談はデイリーポータルZ編集部まで!(ここに全部書いてしまったけど)