ジョーダン1というナイキが販売しているスニーカーをご存知でしょうか。ジョーダンとは、バスケットボールの神様と言われるあのマイケル・ジョーダンのことです。そしてそのジョーダンが履いて試合に臨む、バスケットシューズをナイキが展開。ジョーダンシリーズとして長く人気を博しています。ジョーダン1という最初のモデルが世に出たのは1985年です。以来ジョーダン本人はすでに現役を引退してしまいましたが、本稿執筆の時点では、ジョーダン31まで市場に展開されている大人気のシューズブランドとなっています。◆人気ブランドに逸話あり歴史あるブランドには逸話がつきもの。ジョーダン1にまつわる有名な逸話として、マイケル・ジョーダン本人がジョーダン1を試合で履く際、当時のレギュレーションに抵触するという理由から、ジョーダンはジョーダン1を試合で履くごとに罰金を払っていたといわれます。ジョーダンが禁止されながらも履いていたジョーダン1は、赤色と黒色を基調にしたデザイン。このジョーダン1赤黒は通称「BANNED」(禁止されたの意)と呼ばれるようになります。こうした逸話は、ジョーダンブランドの人気を確固たるものにする、要因の一つとなったのも事実でしょう。加えて、ジョーダン1赤黒「BANNED」は、伝説的なバスケットボール漫画「スラムダンク」で主人公の桜木花道が一時履いていたモデルでもあります。◆ジョーダン1復刻ジョーダン1赤黒「BANNED」は、本稿執筆時の直近2016年に、復刻販売されました。さまざまな色の組み合わせで過去数度復刻をしているジョーダン1ですが、今回は最新のジョーダン31と伝統のジョーダン1が色味を合わせて同時に展開されました。そうすることで、ジョーダン1人気を新たなジョーダンシリーズにももたらしていこうとする販売戦略が見え隠れします。そして、2017年4月1日、ナイキからジョーダン1ロイヤル(青色と黒色を基調にしたデザイン)が復刻販売されました。ジョーダン1ロイヤル青黒は、ジョーダン1赤黒BANNEDの上をいく大人気モデルです。こちらも過去何度か復刻販売が行われていますが、市場では常に品薄で、偽物も多数出回るほどのモデルです。◆人気の定義ここで人気という言葉の背景には、商品の需要に対して、供給が薄いという意味合いがあります。結果、商品の定価に比べ、オークションなどの実売価格が高騰していきます。結果、商品が高額になります。あらゆるビジネスの根本の仕組みである、付加価値がつくことで金額が高まり、原価と販売価格との差額が利益になる仕組みがジョーダン1ロイヤルの世界でもとてもシンプルに把握することができます。◆今回のジョーダン1ロイヤルは数が多く出た?筆者の周辺の知り合いにもスニーカーファンが何名かおり、情報を聞いたところ、今回復刻したジョーダン1ロイヤルはそれなりの数が世に出たのではないかと複数聞くに至りました。その真偽はまたの機会があれば探りたいところではあります。再販価格は幅がありますが、4月上旬時点で5万円を少し超えるくらいでしょうか。2万円を切る定価ですので、それでも2倍以上の値がついていることになります。そして一説によると、このスニーカーの再販市場というのは相当に巨大だと言われます。TEDの講演よると、12億ドル以上とも。さらにナイキ製スニーカーの再販から上がる利益は推定3億8000万ドルということも言及されています。やや古い情報源ではありますが、ネット上で誰でも商品の購入、販売が簡易化しているなかでこの市場は果たして、拡がりを見せるのか。非常に興味深いところです。◆利便性と課題このネットを活用した商品の再販というのは、分野ごとにまだら模様のようです。不用品の譲り受けなどは、ニーズにマッチするでしょうし、金融商品の売買もどんどん垣根が低くなっています。仮想通貨の流通に関しては制度構築が急ピッチで進んでいます。一方で問題も抱えています。例えばチケット販売などは、ネット上での再販の拡大が、イベントそのもののビジネスを揺るがしかねないもので、東京五輪2020などは、その試金石にもなるでしょう。個人的な体感ですが、ネットネイティヴの20代前半の知人は、買うことと売ることが背中合わせであるような捉え方もしているようです。また、40代半ばの知人からは、ネット上での購買活動が増えたことで、子供に貨幣価値を教える機会が減っている、という意見も聞きました。ジョーダン1ロイヤルの復刻は、ネット上の売買システムの今後を考えるきっかけを与えてくれるものでした。