フランスでは家族や友人が新年に集まって、パイ菓子のガレット・デ・ロワを囲んで楽しいひとときを過ごす習慣がある。パイ菓子を切り分けて、中に隠された陶器の小さな人形「フェーブ」を見つけた人は、その日は王や女王になれるというのが伝統。
ガレットといえばそば粉でできたクレープを思い浮かべる人が多い。こちらはフランス北西部のブルターニュ半島が名産地。
一方のガレット・デ・ロワは、アーモンドクリームなどが入った生地を台形状に焼いたもの。紙でできた金色の王冠をかぶせ、1月6日の公現節に食べる。ロワとはフランス語で王様のことだ。
フランス大統領府のエリゼ宮で行われる新年会ではフェーブがひとつも入っていないことで知られている。かつては実際に1日限りの王や王妃になれたというが、現在は国民から選ばれた大統領が元首であり、大統領に王や王妃を任命する権限はないからというのがいわれである。
1月17日には東京のフランス大使公邸でティエリー・ダナ駐日フランス大使が主催する新年会が開催された。五輪3大会連続金メダルの柔道家、野村忠宏氏(42)が今年のガレット親善大使に就任した。ちなみに昨年の同大使であるラグビー選手の大野均、元横綱大乃国も出席した。
最後につけ加えると、「ローマ時代には、フェーブを見つけて王になれた人はその日が終わると処刑された」とダナ大使。
《山口和幸》
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