前年比58万人増の716万人の観光客が集まる沖縄はいま、スポーツの中でもサイクリングを重点種目と打ち出してさまざまな企画を提案している。観光時の体験スポーツとしてはマラソンとサイクリング。アスリート向け合宿としてはプロ野球、トライアスロン、自転車ロードレース。ふたつの大黒柱に共通項として存在するのが自転車なのである。
■自転車愛好家向けのサイクリング宿泊プラン
全国の自転車愛好家が沖縄まで走りに来てもらうにはなにを用意したらいいか。課題を洗い出していくと、「レンタルバイクの充実」と「宿泊施設での高級バイクの保管」がキーであることに着目。
レンタルバイクに関しては県内最大の自転車専門店「沖縄輪業」の全面的なバックアップを得た。さらに日本最大級のスポーツバイク専門店「ワイズロード」のアドバイスを得て、サイクリング宿泊プランを考案したのがメルキュールホテルだ。
メルキュールホテル沖縄那覇
全260室のうち11部屋限定ながら自分の部屋まで愛車を持ち込む態勢を構築。宅配で送った大型段ボール箱もロビー階に預かってもらえ、フロアポンプや洗浄ケミカル類も無料で使用できる。チェックインして部屋に入るとサイクリング時の補給食としてスーパーヴァームも提供してもらえる。
ツール・ド・フランスを四半世紀にわたって取材しているボク自身、メルキュールホテルをはじめとしたアコーホテルにはとても親近感を持っている。同グループは新城幸也の所属したフランスチームのスポンサーであるとともに、やはりツール・ド・フランス関係者がよく利用するホテルで、自転車の取り扱いに関するノウハウが非常にあるのだ。フランス出張時はメルキュールホテルのような中級グレードのホテルにボクが泊まることはほとんどないが、那覇ではこの快適な居住空間を安価で利用できて正直驚きだった。
沖縄行きは成田・那覇片道5500円~の格安料金を打ち出したジェットスターを利用する。自転車など重量のある荷物は別料金となるので往復1万5000円の自転車宅配便でメルキュールホテルに送り込む。
もちろんホテルでスポーツバイクを借りることもできる。ロードの最新モデル15台のほか、クロスバイク70台、未舗装路を走れるグラベルロード20台が用意され、自転車を所有していない人も南国サイクリングを気軽に楽しめるのが魅力だ。
沖縄をサイクリング
■走り終わったあとの食事も充実
ホテルの食事はスポーツマンのための栄養学にも強い野菜ソムリエ、津波真澄さんが地元の食材を厳選。総料理長とやりとりしながらサイクリスト向けのメニューを作り上げた。
「沖縄の食材はビタミンが豊富。特に野菜は強烈な紫外線を受けるので色が濃く、皮が硬め。そのため抗酸化作用があり、健康を阻害する活性酸素をやっつけてくれる」
豚肉や海藻で栄養バランスを整え、油にも気をつかう。女性にも優しいオリーブオイルで調理することでヘルシーに。自身も自転車に乗るのでサイクリストにとっては頼もしき存在。走り終わったあとの食事も楽しい。
メルキュールホテル沖縄那覇を発着とするサイクリングガイドツアーも多彩に用意されている。地元の情緒あふれる市街地エリアを探訪する3時間程度のツアーは参加費4000円。首里城などをめぐる初級者コースは6000円。
これ以外にもガイド料2万円(すべて税別、傷害保険含む)でコースや目的をオーダーできるメニューも。那覇在住でサイクリング協会の資格を有するガイドがアテンドするので安心だ。