プレプリントへの査読行為と「重複査読」の問題(記事紹介)

学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、2021年9月9日付けで記事“The dawn of the age of duplicate peer review”が掲載されています。筆者は研究データ共有支援ツールの開発企業の創設者・プロジェクトリーダーであるTim Vines氏です。

プレプリントを査読する取組の存在に触れつつ、当該のプレプリントが学術誌での査読プロセスにある場合、査読者の労力浪費につながる「重複査読」(duplicate peer review)となりうるケースがあると指摘しています。ただ、当該のプレプリントについての正当な議論と重複査読とを区別する明確な基準はないとし、プレプリントの台頭が、従来行われてきた「順を追った」(sequential)査読プロセスの変容をもたらす可能性に言及しています。

本記事の下に設けられたコメント欄では、内容に関する様々な意見が寄せられており、著者本人も回答しています。著者の回答によれば、本記事は重複査読を擁護したものではなく、重複査読を抑制していた壁が崩れつつあり、プレプリントへの査読行為がさらにそれを加速させていることを述べています。

The dawn of the age of duplicate peer review(The Scholarly Kitchen, 2021/9/9)
https://scholarlykitchen.sspnet.org/2021/09/09/duplicate-peer-review/

参考:
米・マサチューセッツ工科大学出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19”を公開
Posted 2020年7月1日
https://current.ndl.go.jp/node/41388

'}}})();