CA2071 – 動向レビュー:学校・学校図書館における読書活動―2011年から2024年まで― / 足立幸子

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カレントアウェアネス
No.361 2024年9月20日

 

CA2071
動向レビュー

 

学校・学校図書館における読書活動―2011年から2024年まで―

新潟大学:足立幸子(あだちさちこ)

 

1. 本稿の目的と対象期間・概要

 本稿の目的は、桑田てるみが2000年代の学校・学校図書館をめぐる読書活動についてレビューした、カレントアウェアネス「動向レビュー:学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から-」(2011年)(CA1752参照)後の10年間あまりの学校・学校図書館における読書活動の推移・動向をレビューすることである。対象期間は2011年から2024年とする。

 まず、この期間に学校において影響を与えた教育政策について述べる。次に、読書活動を、個人的・紹介系読書活動、集団的・交流系読書活動の2種類に整理して示す(1)。個人的・紹介系読書活動とは、一人一人が個人の読書をしたり、ある本を読んだ人がその本を読んでいない人へその本の魅力を紹介したりする活動である。集団的・交流系読書活動とは、児童・生徒が同じ本を読んで交流する活動である。最後に、学校・学校図書館における今後の課題を3点まとめる。

 

2. 読書・学校図書館に関する教育政策
2.1 PISA型読解力

 PISAとは、Programme for International Student Assessmentの略で、OECDが国際教育インディケータ事業として行っている生徒の学習到達度調査のことである。2000年からはじまり、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年、2022年(2021年の予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期)と3年ごとに行われている。三つの領域のうちの一つが読解力である。テストで計る読解力(認知的能力)と、質問調査で尋ねる日々の読書(非認知的能力)を一体的にとらえて、読解力(Reading Literacy)と呼んでいる。調査結果が分析・広報されるのは各調査の翌年であり、教育政策に影響を与えるのはさらに次の年あたりからである。日本の成績が、2000年調査の8位(ただし2位グループ)から、2003年調査の14位に下がった際に、読解力低下と言われるようになったが、一方でそれ以前の読解と読書を分けて考えてきた従来の読解力とは異なることが話題となり、PISAで計っている読解力と読書の連続的なとらえ方が「PISA型読解力」と言われるようになった。2005年に文部科学省から「読解力向上プログラム」が出され(2)、その後の2008年学習指導要領改訂につながっている。なお、2009年調査では、初めて国際オプションとしてデジタル読解力の調査が平行して行われ、2015年調査からはコンピュータでの調査(CBT)に全面移行している。

 髙木まさきは、2018年調査の結果を受けて(3)、「読書に対する生徒の興味・関心が、ノンフィクションや新聞などを含む様々なテキストに向いていないことが、「読解力」得点の低下に関連していることが推測される。」としている。また、メディアの活用の点から「ネットで何かを調べるための検索経験の多寡などが、「読解力」の得点に影響していることが推測される。」ともしている。

 

2.2 学習指導要領の改訂

 本稿で対象としている2011年から2024年までは、2回の学習指導要領改訂があった。1回目は2008年(小中学校)・2009年(高等学校)の改訂で、全面実施が小学校では2011年、中学校では2012年、高等学校で2013年から(年次進行)であった。2回目は、2017年(小中学校)・2018年(高等学校)の改訂で、全面実施は、小学校で2020年、中学校で2021年、高等学校で2022年(年次進行)であった。

 2008・2009年改訂では、国語科改訂の要点に「読書活動の充実」(4)が取り上げられた。それ以前の国語科の学習指導要領では、読むことの目標として「目的に応じ,内容や要旨を把握しながら読むことができるようにするとともに,読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる」(1998年改訂、小学校第5学年及び第6学年の目標)のように、前半を読解の能力として、後半を読書の態度として表してきたが、内容の指導事項には読書が入っておらず、言語活動例として例示するのみであった。しかし2008・2009年改訂では、内容の「C 読むこと」の指導事項にも読書が入った。小学校では「目的に応じた読書」、中学校では「読書と情報活用」を、高等学校では「国語表現」以外の5つの科目に「読書と情報活用」を指導事項として位置づけた(5)。さらに、文部科学省は、『言語活動の充実に関する指導事例集』を刊行し、読書をふんだんに取り入れた指導例を示してみせた。これを受けて国語科教科書においても以前以上に、書影とともに多くの図書が紹介された。この結果、実際の教室において、国語科の授業などで読書を取り入れた授業が盛んに行われるようになった。

 2017・2018年改訂でも、「読書指導の改善・充実」が「国語科の改訂の主旨及び要点」の1項目となっている(6)。国語科の内容については「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」の2領域が示されることになったが、読書については、「知識及び技能」における「我が国の言語文化」の一つの事項として、小学校・中学校の各学年、高等学校の各科目すべてに位置づくこととなった。これらを踏まえて、国語科教科書においても、読書案内、QRコードの掲載など外部情報(主には教科書会社のウェブサイト)を用いての読書教材の充実、さらには読書活動のページ、などが工夫され、読書活動が推奨されるようになってきている。また、2017・2018年改訂で強調されていることの一つに探究的学習がある。探究的学習に資する読書活動が求められる。

 

2.3 学校図書館に関わる政策

 学校図書館に関わる政策を4点取り上げる。

 1点目は、2014年学校図書館法の改正(7)である。第6条に、学校には、「司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員」(以下「学校司書」という。)を置くよう努めなければならないという学校司書の法的根拠となる条文が加えられた。

 2点目は、文部科学省が2016年に発表した「学校図書館ガイドライン」である(8)。「(1)学校図書館の目的・機能」では、学校図書館の機能として「児童生徒の読書活動や児童生徒への読書指導の場である「読書センター」としての機能」を位置付けた。

 3点目は、2019年に、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法;CA1974参照)が制定されたことである。この法律は、視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境を総合的かつ計画的に推進し、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とし、視覚障害者等が利用しやすい書籍、電子書籍等の普及や、その量的拡充・質の向上が図られることを基本理念としている。

 4点目は、以上の政策を受けての学校図書館整備等5か年計画である。第4次(平成24年度~平成28年度)、第5次(平成29年度~令和3年度)、第6次(令和4年度~令和8年度)などが対象の年度にあたる。第6次計画では、学校図書館図書の整備に単年度39億円を投じ学校図書館図書標準100%達成及び計画的な図書の更新を実施すること、学校図書館への新聞配備に単年度38億円を投じ小学校等2紙、中学校等3紙、高等学校等5紙を配備すること、学校司書の配置に単年度243億円を投じ小・中学校等のおおむね1.3校に1人を配置(将来的には1校に1人の配置)を目指すとしている(9)

 

3. 多様化する個人的・紹介系読書活動

 それでは、この時期の読書活動を見ていく。

 桑田は「リーディング・ワークショップ」(10)を集団的読書活動の一つとしていたが、稿者はこれをむしろ個人的読書であるととらえている。なぜなら、中核となる活動は、1人1人が自分で計画を立て読みたい本を選んで読んでいくことであるからである。しかし、読書の仕方を教えるミニ・レッスンや、個人的読書の進捗状況を共有するカンファレンスなども含まれており、一つ一つの活動ではなく、1時間あるいは単元レベルで考えると個人的読書だけでなく、集団的読書の要素も含まれている。

 単元の授業としてみた場合、教科書教材と同じ作者の作品を勧めたり、同じテーマの本を勧めたりする「発展読書」は、昭和の時代から行われてきた。しかし、実際の授業で読書するということにはならなかった。本稿で対象としている時期の新しい読書の考え方として「並行読書」がある。これは、単元の最初に単元の終末に行う「言語活動」を見据えて、教科書教材を読解している数時間の間、自主的に自薦の図書を読書しておく。そして、単元の終末などに、その読解法に基づいたやり方で、その図書を紹介するというものである(11)。紹介の方法には、読書新聞、本の帯、ポップ、図鑑、パンフレット、リーフレット、レポートなどがある。

 紹介の最も端的なものは、教師や学校司書によるブックトーク(12)であろう。ブックトークは、演者があるテーマに基づいて複数の本を紹介し、聴衆にその本を読みたいという読書意欲を起こさせる活動である。しかし、紹介者が教師に限らず子どもになる場合もある。子どもが自分の読んだ本を紹介するという活動も2010年代に入って加速したと言えるであろう。特に2010年代の個人的・紹介系読書指導として特筆すべきなのは、「ビブリオバトル」である。ビブリオバトルとは、複数人の発表者が5分間などの時間を決めて自分の推薦書についてプレゼンし、それを聞いた参加者が複数の発表の中から最も読みたい1冊を選ぶという個人的・紹介系読書活動である。もとは谷口忠大が京都大学・大阪大学など関西の大学で始めた「知的書評合戦」ということで、公式ルールは、次のとおりである(13)

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
  2. 順番に一人5分間で本を紹介する。
  3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
  4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。

 これは後述する小学生・中学生・高校生を対象とした欧米発の戦略的読書ではなく、日本の谷口が日本の大学で始めた「知的書評合戦」であったが、日本の小・中・高等学校の現場においても広く行われるようになった。笹倉剛は、ビブリオバトルをアレンジしたものとして、ビブリオトークを提案している(14)

 リレー読書は、多様な意味で使われている言葉である。個人的読書の意味で使用されているリレー読書には、次のようなものがある。一つは「味見読書」(15)とも呼ばれているが、子どもの机の上に異なる本を置き、それを5分読んだら後ろの席の人に回していく、前の席の人が読んでいた本が回ってくる、また5分読んだら後ろの席の人に回していくというようにして、45分の授業なら8冊程度の本をざっと読むというやり方である。この方法の目的は、とにかくいろいろな本があることを知らせ、読みたい気持ちにさせるというものである。もう一つは、教師が読むとよい本を紹介するが、その紹介する側がリレー形式であるというものである(16)

 探究学習や情報活用に資する読書を、「探究的読書」と名付けておく。例えば、文部科学省の『言語活動の充実に関する指導事例集(中学校版)』には、探究的読書も掲載されている。例えば、事例「国語―14」では、太宰治の『走れメロス』を読んで批評をした後、「学校図書館で小説を探して読み,場面の展開や表現の仕方を評価して,気が付いたことをメモする。」(17)という活動が掲載されており、これなどは探究的読書と言える。学校図書館の研究者である桑田てるみは探究学習(18)、塩谷京子は情報スキル(19)、鎌田和宏は情報リテラシー(20)という呼び方で、探究的読書を牽引した。

 

4. 浸透する集団的・交流系読書活動

 桑田が集団的・戦略的読書として取り上げていた「読書へのアニマシオン」「ブッククラブ」「リテラチャー・サークル」の3つは、集団で同じ本を読んで何かしらの交流を行う、集団的・交流系読書活動である。「読書へのアニマシオン」(21)は、予め読んできた本について作戦と呼ばれる様々な読み方で振り返ったり話し合ったりして、読書する力を育てていく活動である。「ブッククラブ」(22)は、複数で読んだ本について話し合うもので、広義には読書会である。「リテラチャー・サークル」(23)は、教師の紹介を聞いて同じ本を選んだ児童・生徒同士でグループになり、範囲を決めて、方略に基づいた読み方で読んで話し合うということを繰り返し1冊の本を読み切るというものである。稿者自身も、集団的・交流系読書活動を実現する読書指導法の開発を研究してきた(24)。稿者の見解では、児童・生徒が使用する複本を調達することを考えると、個人的・紹介系読書活動よりも、集団的・交流系読書活動の方が、実現が難しい。そのため、目的性・計画性・戦略性などが重要になる。この活動を実現するには複数の図書を子どもが読めるようにする必要があるが、市立図書館など各自治体の公共図書館が学校に図書を貸し出す相互貸借サービスも充実してきたことが背景にあると言える(25)。ここでは、これら3つの読書活動の他に、本の調達がしやすい「読み聞かせ」「ペア読書(パートナー読書)」「インクワイアリー・サークル」「どくしょ甲子園」を取り上げる。

 「読み聞かせ」は、教師や学校司書などが、児童・生徒に向けて1冊の本などを音読するものである。これは、複本を準備しなくてよいので、最も容易に実施が可能である。幼稚園などを中心に古くから行われてきたが、本稿で対象としている期間には、小学校や中学校でも広く行われるようになった(26)。稿者は海外の読み聞かせとして、「交流型読み聞かせ」(Interactive Read-Aloud)を読み手と聞き手、聞き手同士の交流が行われるものとして示している(27)

 「ペア読書(パートナー読書)」は、児童・生徒が2人組のペアになって同じ本を読み味わうというものである(28)。大きく分けて二つの意味で用いられている。一つは、ペアの一方の児童・生徒が、もう一方の児童・生徒に、読み聞かせあるいは音読を行うというものである。最も一般的なのは、異学年交流などで、学齢の高い児童・生徒が低い児童などに読み聞かせを行うものである。英語圏のPaired Readingが、年齢の低かったり読むのが苦手だったりする児童が年齢が高かったり読むのが得意であったりする児童あるいは大人に向けて音読をし、得意な方の児童あるいは大人がその音読がきちんとできているか確認する形で行われるのとは、対照的である。読み聞かせを聞いた後に、その本について話し合うことが行われる場合もある。もう一つは、同じ本を読んできた二人の児童・生徒がその本について話し合うというものである。

 「インクワイアリー・サークル」は、グループで行う探究的読書である。グループで不思議に思ったことや疑問に思ったことなどについて情報を収集しその内容を共有し、外部に向けてその結果を公にするというものである。リテラチャー・サークルから発展した(29)。扱う資料は必ずしも紙の本でなくてもよく、デジタルのものも多く扱われる。ミニ探究、カリキュラム探究、リテラチャー・サークル探究、オープン探究という4種類の探究がある。探究的読書という性格から、フィクションだけでなく、ノンフィクションの読書材が多く用いられる。

 「どくしょ甲子園」は、朝日新聞社が行ったグループでの読書をボードに表現したものについて、審査員が審査を行うコンクールであり(30)、2010年から2014年まで行われた。このコンクールの母体になったのは、リテラチャー・サークルと、稿者が行っていた「読書メドレー・リレー」である。読書メドレー・リレーは、水泳のメドレー・リレーが、背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライ・自由形(クロール)と様々な泳ぎ方で引き継いでいくのにヒントを得、同じ1冊の本を4人で渡していくことで読むという手法であった。しかし、交流の場面も入れたいと考え4人で話し合って第3者に向けて、その本を紹介する活動をゴール行事と呼んだ。朝日新聞社はそれを取材し、1枚の「ボード」の上に表現するという形で、どくしょ甲子園を構想した。すなわち、「どくしょ甲子園」には、集団的・交流系読書活動ではあるが、集団的・紹介系読書活動とでも呼ぶべき、紹介の要素が入っていたということになる。

 

5. 学校・学校図書館における読書活動の今後の課題

 このように、様々な社会的な状況の変化や教育政策の下で、学校・学校図書館における読書活動は益々活発になってきている。先に取り上げたPISA2018年調査を受けての髙木まさきの報告(31)や金沢みどりのまとめ(32)などを踏まえて、今後の課題を3点挙げる。

 1点目は、多様な読書材を読書活動の対象として、児童・生徒に提供することである。この場合の多様とは、フィクションだけでなくノンフィクションのものもという本の分野や性質・ジャンルといった面もあるし、ライトノベルや漫画もといったサブカルチャー的な範囲の広げ方もあるし、紙書籍だけでなく電子書籍も、あるいは、本だけでなく新聞、雑誌やインターネットを介したデジタルメディアもといったメディア的な多様性も含まれる。

 2点目は、多様な読書活動を保証する読書指導の方法を発展させることである。本稿では、個人的・紹介系読書活動と、集団的・交流系読書活動の2種類に整理して論じた。読書指導の歴史から考えれば、個人的・紹介系読書活動の方が古く容易であり、集団的・交流系読書活動の方が新しくまた、難しい。さらに多くの集団的・交流系読書活動を組織していくことが必要である。

 3点目は、読書活動を展開する学校図書館や読書環境の整備である。デジタル・ライブラリーで一斉に同じ本を読むことができれば、様々な集団的・交流系読書活動を進めることができる。一人一台端末が実現した学校の中で、どのように学校図書館の電子化を実現し、デジタル読書を支えるかが今後の課題である(33)(34)

 

(1)取り上げる読書活動の選定にあたっては、次の書籍を参考にした。
天道佐津子編著. 読書と豊かな人間性の育成. 改訂版, 青弓社, 2011, 229p., (学校図書館図解・演習シリーズ, 5).
「シリーズ学校図書館学」編集委員会編. 読書と豊かな人間性. 全国学校図書館協議会, 2011, 175p., (シリーズ学校図書館学, 4).
阿部藤子, 益地憲一編著. 小学校国語科教育法. 建帛社, 2018, 207p.
塩谷京子編著, 小谷田照代, 山本泰子著. 小学校明日からできる!読書活動アイデア事典. 明治図書出版, 2018, 143p.
日本読書学会編. 読書教育の未来. ひつじ書房, 2019, 374p.
「探究学校図書館学」編集委員会編著. 読書と豊かな人間性. 全国学校図書館協議会, 2020, 199p., (探究学校図書館学, 4).
米谷茂則, 岩崎れい. 読書と豊かな人間性. 放送大学教育振興会, 2020, 245p.
府川源一郎, 春日由香, 長編の会編著. 読むことを楽しむ言語活動プラン100. 東洋館出版社, 2022, 236p.
金沢みどり, 河村俊太郎. 読書と豊かな人間性. 勉誠社, 2023, 288p., (ライブラリー学校図書館学, 1).

(2)文部科学省.読解力向上に関する指導資料:PISA調査の結果分析と改善の方向.東洋館出版社, 2006, 102p.

(3)髙木まさき. PISA2018「読解力」調査結果を受けて. 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会, 2019, 10p.
https://www.mext.go.jp/content/1423048_6.pdf, (参照 2024-07-16).

(4)「読書活動の充実」について、文部科学省の小学校学習指導要領解説国語編(平成20年8月)では、「国語科改訂の要点」として次のように説明している。「読書活動の充実 読書の指導については,目的に応じて本や文章などを選んで読んだり,それらを活用して自分の考えを記述したりすることを重視して改善を図っている。また日常的に読書に親しむために,学校図書館を計画的に利用し必要な本や文章などを選ぶことができるように指導することも重視している。」
文部科学省. 小学校学習指導要領解説国語編. 東洋館出版社, 2008, p. 6.

(5)足立幸子. 国語科学習指導要領における読書指導の位置づけと課題. 新潟大学教育学部研究紀要人文・社会科学編. 2015, 8, p. 1-11.
http://hdl.handle.net/10191/35856, (参照 2024-07-16).

(6)国語科の改訂の趣旨及び要点には、「(5)読書指導の改善・充実」として「中央教育審議会答申において、『読書は、国語科で育成を目指す資質・能力をより高める重要な活動の一つである。』とされたことを踏まえ、各学年において、国語科の学習が読書活動に結び付くよう〔知識及び技能〕に『読書』に関する指導事項を位置付けるとともに、『読むこと』の領域では、学校図書館などを利用して様々な本などから情報を得て活用する言語活動例を示した」
文部科学省. 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説国語編. 東洋館出版社, 2018, p. 10.
ここでは中学校の学習指導要領解説を取り上げたが、小学校学習指導要領でも高等学校学習指導要領でも、ほぼ同じ文面がある。

(7)学校図書館法改正とは第6条に学校司書に関する次の内容を盛り込んだことである。
(1)学校には,司書教諭のほか,学校図書館の運営の改善及び向上を図り,児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため,専ら学校図書館の職務に従事する職員(以下「学校司書」という。)を置くよう努めなければならないこととした。(第1項関係)
(2)国及び地方公共団体は,学校司書の資質の向上を図るため,研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととした。

(8)学校図書館ガイドラインの解説やそれを踏まえた実践例については、次の書籍に詳しい。
堀川照代編著. 「学校図書館ガイドライン」活用ハンドブック解説編. 悠光堂, 2018, 151p.
堀川照代編著. 「学校図書館ガイドライン」活用ハンドブック実践編. 悠光堂, 2019, 178p.

(9)第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」概要資料(令和4年度~令和8年度). 文部科学省, 2024, 5p.
https://www.mext.go.jp/content/20220125-mxt_chisui01000020025-01.pdf, (参照 2024-07-16).

(10)カルキンズ, ルーシー.リーディング・ワークショップ:「読む」ことが好きになる教え方・学び方. 吉田新一郎ほか訳. 新評論, 2010, 244p. .

(11)文部科学省の『言語活動の充実に関する指導事例集:思考力、判断力、表現力等の育成に向けて』には並行読書の例が多数掲載されている。例えば、小学校の「国語―5」の事例では、「スイミー」の教科書教材を読みながら、好きな場面を選び、登場人物の行動と会話を基にペープサートで演じることを学んだ第2学年の児童が、並行読書をしてきた物語について、ペープサートを用いて演ずる活動(27~28頁)が、小学校の「国語―15」の事例では、教科書教材文を読んだ上で、好きな本の並行読書をし、読書新聞を作成する(47~48頁)小学校4年生の事例が掲載されている。
文部科学省. 言語活動の充実に関する指導事例集:思考力,判断力,表現力等の育成に向けて 小学校版. 教育出版, 2011, 228p.

(12)ブックトークについては、多数の書籍が出版されている。2011年以降のものとしては、次のものが挙げられる。
上島陽子.授業で役立つブックトーク:中学校での教科別実践集.少年写真新聞社, 2012, 175p., (シリーズ学校図書館, 451).
渡辺暢惠, 小柳聡美, 和田幸子, 齋藤洋子.学校司書と先生のためのすぐできるブックトーク:小・中学校・高等学校のわかりやすいシナリオ集.ミネルヴァ書房, 2012, 165p.
東京子ども図書館編.ブックトークのきほん:21の事例つき.東京子ども図書館, 2016, 88p., (TCLブックレット).

(13)谷口忠大. ビブリオバトル:本を知り人を知る書評ゲーム. 文春新書, 2013, 262p.

(14)笹倉剛. グループでもできるビブリオトーク:「わくわく」「どきどき」する本の紹介方法. あいり出版, 2015, 129p.
笹倉剛. テーマ別のビブリオトーク:子どもの読書は「量より質」の時代へ. あいり出版, 2016, 118p. など。

(15)熊倉峰広は「「味見読書」とは、一冊ずつあらかじめ机上に置かれていた児童文学書を一人一人が5分ずつ読み、どんどん次の人に回していくという読書です。」としている。
熊倉峰広. “「味見読書」で自分自身の「名作」の発見を”. 東京都子供読書推進計画 未来を支える読書.
https://www.kodomo-dokusho.metro.tokyo.lg.jp/susume/ajimi/, (参照 2024-03-26).

(16)石川県立内灘高等学校ウェブサイトでは「『何を読んだらいいかわからない。』『おもしろい本は?』と迷っている人におすすめ。/先生方からリレー形式でおすすめの本を紹介していただいています。」として、教員と紹介した書名が掲載されている。
“リレー読書一覧”. 石川県立内灘高等学校.
https://cms1.ishikawa-c.ed.jp/uchinh/page_20220601054742/page_20220615013718, (参照 2024-02-26).

(17)文部科学省.言語活動の充実に関する指導事例集:思考力、判断力、表現力等の育成に向けて 中学校版.教育出版, 2012, p. 45.

(18)桑田てるみ編. 中学生・高校生のための探究学習スキルワーク. 全国学校図書館協議会, 2012, 119p.
桑田てるみ. 思考を深める探究学習. 全国学校図書館協議会, 2016, 111p.

(19)塩谷京子編著. すぐ実践できる情報スキル50:学校図書館を活用して育む基礎力. ミネルヴァ書房, 2016, 202p.
塩谷京子. 探究の過程におけるすぐ実践できる情報活用スキル55:単元シートを活用した授業づくり. ミネルヴァ書房, 2019, 192p.

(20)鎌田和宏. 入門情報リテラシーを育てる授業づくり:教室・学校図書館・ネット空間を結んで. 少年写真新聞社, 2016, 176p.
鎌田和宏, 林良子. 学びをつなぐ学校図書館:松江発!学び方指導体系表を活用しよう.悠光堂, 2022, 187p.

(21)サルト, モンセラット. 読書へのアニマシオン75の作戦. 宇野和美訳. 柏書房, 2001, p. 304.
2011年以降の書籍としては、次のようなものが挙げられる。
種村エイ子, 子どもの本かごしま編著. ようこそ読書のアニマシオンへ:子どもと本をつなぐ46のレシピ. 南方新社, 2018, 205p.
木村美幸. 絵本で実践!アニマシオン. 北大路書房, 2024, 205p.

(22)ラファエル,タフィー・E, ハイフィールド,キャシー, パルド,ローラ・S. 言語力を育てるブッククラブ:ディスカッションを通した新たな指導法. 有元秀文訳. ミネルヴァ書房, 2012, 240p.
吉田新一郎. 読書がさらに楽しくなるブッククラブ:読書会より面白く、人とつながる学びの深さ. 新評論, 2013, 236p.
吉田新一郎. 読書がさらに楽しくなるブッククラブ: 読書会より面白く、人とつながる学びの深さ.改訂増補版. 新評論, 2019, 249p.

(23)足立幸子. 初読の過程をふまえた読書指導:ハーベイ・ダニエルズ「リテラチャー・サークル」の手法を用いて. 新潟大学教育学部研究紀要人文・社会科学編. 2013, 6, p. 1-16.
http://hdl.handle.net/10191/23926, (参照 2024-07-16).
2011年以降の書籍として、デイ, ジェニ・ポラックほか. 本を読んで語り合うリテラチャー・サークル実践入門. 山元隆春訳. 溪水社, 2013, 191p.
新居明子. 協同学習で物語を読む : リテラチャー・サークルとサイレント・ディスカッションを活用したリーディング授業. 名古屋外国語大学出版会, 2016, 91p. を挙げることができる。論文としては、細恵子. 改善したリテラチャー・サークルによる読書指導の実践 : 小学校3年生の場合. 国語教育思想研究. 2012, (5), p. 29-38.などがある。

(24)足立幸子. 国際学力調査に基づく読書指導法の開発研究.東北大学大学院, 2021, 博士論文.
この中では、「交流型読み聞かせ」「読書へのアニマシオン」「リテラチャー・サークル」「インクワイアリー・サークル」「ジャンル研究」「パートナー読書」「読者想定法」の7つの読書指導法を扱っており、本稿の分類に当てはめると、いずれも集団的・交流系読書活動に該当する。

(25)学級単位で同じ本を読むという活動が増えてきた。傍証として、毎日新聞社・全国学校図書館協議会が行ってきた学校読書調査について取り上げる。この調査では、2021年の調査からは5月1か月間に読んだ本の書名を全て尋ねるという調査方法を「今の学年になってから読んだ本」を尋ねる方式に切り替えた。この理由の一つに「授業等で一斉に読んだと思われる本をクラスの大多数が記入し、大量に得票することがままある」という問題があったことを述べている。
全国SLA研究調査部. 継続調査『5月1か月間に読んだ本』と『ふだん読む雑誌』の中止、および『今の学年になってから読んだ本』の新設について. 学校図書館. 2021, (853), p. 18.

(26)小学校の国語の授業における学習活動として、読み聞かせを聞くことは、学習指導要領にも掲載されている。2008年改訂の小学校学習指導要領では、第1学年及び第2学年の「C 読むこと」の言語活動例として「イ 物語の読み聞かせを聞いたり、物語を演じたりすること」が位置づいている。2017年改訂の小学校学習指導要領でも、同じく第1学年及び第2学年の「C 読むこと」の言語活動例として、「イ 読み聞かせを聞いたり物語などを読んだりして、内容や感想などを伝え合ったり、演じたりする活動。」が掲載されている。また、2008年改訂の小学校学習指導要領では、第1学年及び第2学年の「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」のア伝統的な言語文化に関する事項に「 昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったりすること。」が、同様に2017年改訂の小学校学習指導要領でも第1学年及び第2学年の「知識及び技能」の我が国の言語文化に関する事項に「ア 昔話や神話・伝承などの読み聞かせを聞くなどして、我が国の伝統的な言語文化に親しむこと。」が位置づいている。中学校教師であった石川晋は、中学校の教室で行う読み聞かせの活動を多数提案している。
石川晋. 学び合うクラスをつくる! 「教室読み聞かせ」:読書活動アイデア38. 明治図書出版, 2013, 174p.

(27)足立幸子. 交流型読み聞かせ. 新潟大学教育学部研究紀要人文・社会科学編. 2014, 7, p. 1-13.
http://hdl.handle.net/10191/31111, (参照 2024-07-16).

(28)足立幸子. 中学校現場に適した二人組交流型読書指導法「パートナー読書」の開発. 新潟大学教育学部研究紀要人文・社会科学編. 2012, 4,p. 103-128.
http://hdl.handle.net/10191/17842, (参照 2024-07-16).

(29)足立幸子. インクワイアリー・サークル:リテラチャー・サークルからの発展を中心に. 新潟大学教育学部研究紀要人文・社会科学編. 2021, 14, p. 1-9.
http://hdl.handle.net/10191/0002000157, (参照 2024-07-16).
足立幸子. 探究的学習としてのインクワイアリ―・サークルのキー・レッスン:リテラチャー・サークルのミニ・レッスンとの比較を中心に. 国語科教育研究:全国大学国語教育学会第146回鹿児島大会研究発表要旨集. 2024, p.63-66.

(30)“どくしょ甲子園”. 全国学校図書館協議会.
https://www.j-sla.or.jp/contest/dokusyo-kousien.html, (参照 2024-02-26).

(31)髙木まさきは、PISAの結果を踏まえて、主に国語の授業の改善について述べている。「国語の授業等を通して、生徒の興味・関心がノンフィクションや新聞などを含む様々なテキストに向かうように、読書活動・読書指導の在り方を改善すること。」また、コンピュータの利用についても、「生徒の言語生活を踏まえ、国語科においても、適切にコンピュータを活用すること。」「特定のテーマ等について、インターネットで検索する経験を増やすこと。」としている。
髙木. 前掲.

(32)金沢みどりは、「(1)児童、および、ヤングアダルト向けの質の高い本を児童生徒に提供すること」「(2)児童生徒がフィクションとノンフィクションの両方に親しむ機会を設け、本に書かれていることと自分や社会との関係について学べるようにすること」「(3)本を読むことを他者と共有できるように読書会などを定期的に行い、児童生徒の読書への関心や意欲を高めるようにすること」「(4)紙書籍と電子書籍の両方の利点を活かし、状況などに応じて使い分けることにより、児童生徒がより一層、本に親しめるようにすること」「(5)これからの読書に必要なデジタル・リテラシーの育成をめざすこと」の5点を「読書教育の課題と今後の展望」として述べている(金沢, 河村. 前掲)。

(33)全国学校図書館協議会『確かめながら学校図書館と1人1台端末ひろがる!つながる!学校図書館』編集委員会編著.確かめながら学校図書館と1人1台端末:ひろがる!つながる!学校図書館. 全国学校図書館協議会, 2023, 81p.

(34)足立幸子. デジタルも活用するこれからの学校図書館と国語科教育.月刊国語教育研究. 2023, No. 616, p.28-31.
この文献では、学校図書館がそれぞれウェブサイトを持ち、そこにOPACが掲載され、蔵書の検索ができるようにすること、学校で契約しているぽけっと図書館のようなデジタル図書館、ブリタニカ・オンラインのようなオンラインの百科事典、ジャパンナレッジのような辞書・新書のデータベースなどに入れるようにすること、これらに加えて青空文庫のようなフリーの読書サイト、国立国会図書館のデジタルコレクションや、科学技術振興機構のJ-STAGE、国立情報学研究所のCiNiiなどの検索用のデータベース、総務省のキッズすたっとのような政府系のデータベースなどのリンクを貼ることを提案した。それに加えて、学内限定で、紹介系読書活動で行う活動の見本(例えばレポートの見本や書式、引用の仕方の説明、デジタル化されたパスファインダーや、資料検索の手続きの動画など)のリンクが貼られ、児童・生徒の読書活動を支援していくように変わっていくことが必要である。

[受理:2024-08-22]

 


足立幸子. 動向レビュー:学校・学校図書館における読書活動―2011年から2024年まで―. カレントアウェアネス. 2024, (361), CA2071, p. 17-22.
https://current.ndl.go.jp/ca2070
DOI:
https://doi.org/10.11501/13744619


Adachi Sachiko
Reading Activities in Schools and School Libraries: From 2011 to 2024

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