韓国の2022年の出生率は0.78となる見込みだ Photo: d3sign / Getty Images

韓国の2022年の出生率は0.78となる見込みだ Photo: d3sign / Getty Images

画像ギャラリー
アトランティック(米国)

アトランティック(米国)

Text by Anna Louie Sussman

2月下旬に発表された韓国の2022年の合計特殊出生率(暫定値)は、OECD加盟国中最低の0.78という衝撃的な数字だった。これは、同じく少子化対策が急務とされる日本やその他の先進国と比べても、圧倒的に低い数字だ。

韓国の著しい少子化の要因として、高すぎる住宅価格や教育費などがよく指摘される。しかし、より根本的な原因は、私たちの予想をはるかに超える「男女関係の悪化」だと筆者は書く。現地で多くの韓国人にインタビューしながら彼女が目の当たりにした、韓国社会の深すぎる断層とは──。

ヘレナ・リーは、男性に対してことのほか寛大な気持ちになる日──たとえば、通りでハンサムな男性を見かけたとき──には、嫌悪感を脇に置き、「目の保養」として彼らを見ることもある。

ただし、いまのところはそれが限界だ。「男たちの頭の中身なんて、知りたくもありません」とリーは言う。たいていの場合、男性とはみじんも関わりたくないのだ。

「男性を信頼しようと心がけてはいます。『男を皆殺しにしろ』なんて思わずにね」と彼女は言う。「でもごめんなさい、私はほんの少しそっち側なんです。つまり、極端な側の」

女性たちが社会に叩きつける「4つのNo」


リーは父親から虐待を受けていたが、父親は彼女が6歳のときに家を出ていき、以来ずっと母親と祖母と暮らしている。小さな家母長制の家庭が自分にはしっくりくる、と彼女は言う。

髪型はボブで、私と会った日は黒いデニムのボタンダウンシャツとベージュのトレンチコートを着ていた。大学時代、彼女は男の同級生たちから、「同性愛者っぽいスタイルを直せばもっと可愛くなる」と言われたことがある。「最悪だったのは、私が腹を立てるとびっくりされたこと」だそうだ。男性側は褒めたつもりだったという。

現在24歳で、公務員試験に向けて勉強中の彼女は、米国人フェミニストのアンドレア・ドウォーキンの著作やカール・セーガンのSF小説が好きで、たまにロマンス小説も読むが、純粋なファンタジーだと思っている。

リーは韓国で展開中のボイコット運動に参加している。積極的に独身生活を選択する女性たちの運動だ。確実なことは言えないが、参加者はおそらく数万人規模に達しており、「4B」あるいは「4つのNo」運動と呼ばれている。
残り: 2560文字 / 全文 : 3532文字

有料会員になるとすべての記事、電子書籍3冊、

ウォール・ストリート・ジャーナルが読み放題!

有料会員特典

  1. すべての記事が広告なしで読み放題!
  2. ウォールストリート・ジャーナルも読み放題!
  3. 短時間で教養が身につく動画も見放題!
  4. 知識人の推薦書籍が毎月3冊読める!
  5. トークイベントや交流会にご優待!
プレミアム会員について詳しく見る

オススメのプレミアム記事

読者のコメント 0
コメントを投稿するには会員登録が必要です。
クーリエのプレミアム会員になろう クーリエのプレミアム会員になろう
アトランティック(米国)

アトランティック(米国)

おすすめの記事

loading

表示するデータはありません。

注目の特集はこちら

loading
    • {{ item.type }}
    • UPDATE

    {{ item.title }}

    {{ item.update_date }}更新 [{{ item.count }}記事]

表示するデータはありません。