生き別れた一卵性双生児が40年後に再会——2人のIQや性格を調べてわかったこと

40年前に起きた悪夢

親なら誰でも共感できるゾッとするようなシナリオの一つが、幼児が混雑した市場で迷子になるというものだ。1976年、この悪夢は韓国のある家族にとって現実のものとなった。そして40年後、この事件はある画期的な研究報告の核となる。

1976年、一卵性双生児の2歳の女の子のうちの一人が、祖母と一緒にソウル郊外の市場へ出かけたきり二度と戻ってこなかった。

行方不明になってからの数週間、両親はチラシを配ったり、行方不明者の情報を募る地元のテレビ局の番組に出演したりと、必死で娘を探そうとした。だが身元不明のまま施設に保護された女の子は、その時すでに別の家庭に引き取られていた。

US（論文では女の子のプライバシー保護のためこの仮名が用いられた）は、市場の近くを一人で歩いているところを保護されたが、幼すぎて自分の名前や住所を言うことができなかった。

USは自宅からおよそ160キロ離れた病院に搬送されたのち、養子縁組機関に送られ、やがて米国の夫婦に引き取られた。そのまま実際の家族の記憶を持たずに成長した。

それから40年以上の時を経て、USは韓国で実施された「家族再統一プログラム」に参加することになり、DNAのサンプルを提出した。

2020年、同プログラムにより母親が特定された。さらに驚くべきことに、USには兄と姉がいるだけでなく、双子の妹、SKがいることがわかったのだ。

そっくりな双子がそっくりな双子と結婚して、4人で同居したら何が起きたか？

生まれか育ちか

USがカリフォルニア州立大学の発達心理学教授で双生児研究センター所長のナンシー・シーガルに自身の話を打ち明けたとき、シーガル博士は、2つのまったく異なる文化が同一の遺伝子を持つ双子に与える影響を研究する絶好のチャンスだと考えた。