王族やセレブに仕えて年収数千万円、ナニーの名門養成校をのぞいてみたら…

引くてあまた、1人につき求人7件

講義は午前9時半きっかりに始まる。

車道から校名入りのアーチ型の門をくぐり、講義と実習で長い1日を過ごす学生たちが整然と列に並んで登校する様子が本館の北向きの窓から見える。髪型は軍隊級に正確に統一され、後頭部に向かってなでつけられている。

制服は、ツイードのブレザー、白い手袋、ベージュのワンピースに茶色の山高帽。世界有数の歴史と権威を誇るイングランド西部バースにあるナニー養成校、ノーランド・カレッジの学生は、現代の風景には不釣り合いな格好をしている。

創立130周年を迎えた今でも、同校の学生の人気は高い。入学案内に記された「少人数で大きなキャリア」はその通りのようだ。卒業生には1人当たり平均7件の求人があり、独立して働くか、世界中を飛び回るエリート一家を支える家庭教師、ハウスキーパー、シェフなどスタッフの一員として雇われる。銀行家、王族、セレブの子供の世話をして、大半は就職して数年のうちに数十万ドル（数千万円）の年収を得る。