ブタの心臓移植手術を無事に終えたデビッド・ベネット(右)。執刀医のバートリー・グリフィスと  Photo: EYEPRESS / Reuters

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ワシントン・ポスト(米国)

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Text by Lizzie Johnson and William Wan

2022年1月、アメリカで世界初のブタ心臓移植が行われた。レシピエントは57歳の男性で、歴史的な手術のニュースは大々的に報じられたが、触れられなかった事実があった。彼は34年前に凶悪犯罪で有罪判決を受けていたのだ。メッタ刺しにされて半身不随になった被害者の姉がいま思うこととは──。

あの男に第2の人生が与えられるなんて


自宅で孫の面倒を見ていたレスリー・シューメイカー・ダウニーのもとに驚愕のニュースが飛び込んできたのは、1月10日のことだった。娘から送られてきた携帯電話のメッセージ。リンクを開いてみると、末期の心臓病を患う57歳の男性に関する記事だった。

彼は3日前、メリーランド大学医療センターで遺伝子操作したブタの心臓の移植を受けたという。この世界初のブタ心臓移植は、男性の命をつなぎ止めるとともに、他の患者を救う希望の光となる歴史的な手術となった。

科学の進歩はなんて素晴らしいのだろう。見出しを読みながらダウニーがそう思ったとき、携帯電話にまたメッセージが入った。

「ママ!!!!!!!」。また娘からだ。男性の名前を見てほしいという。

見た瞬間にダウニーは凍り付いた。医学の歴史に名を刻んだともてはやされている男性デビッド・ベネットは、1988年に彼女の弟エドワードを7回刺して半身不随にし、有罪判決を受けた男と同一人物だったのだ。
残り: 4825文字 / 全文 : 5418文字
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