ナイキ・ジョーダンブランド社長のラリー・ミラー Photo: Aurelien Meunier / PSG PSG / Getty Images

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ニューヨーク・タイムズ(米国)

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Text by Jeré Longman and Kevin Draper

2022年1月にアメリカで自叙伝を発表した、ナイキ・ジョーダンブランド社長のラリー・ミラー。そこで語られたのは、過去に殺人を犯し、服役したという過去だった。その突然の告白に世間は震撼し、さらに傷を抱えた遺族はショックを受けた。初めてミラーと遺族は対面することとなったが、両者は何を語ったのだろうか。

突如奪われた命


1965年9月30日、ティーンエイジャーだった弟は、仕事帰りに拳銃で撃たれて死んだ。その現場からわずか1ブロックのところにバーバラ・マック(84)は住んでいる。

父親を銃弾に奪われた際、ハサン・アダムズ(56)はわずか生後8ヵ月だった。

アジザ・アーリーン(55)については、生まれる数ヵ月前のことだったので、一度も父親に会ったことがない。

それから半世紀以上が経ったいま、彼らはこの殺人事件の犯人からようやく謝罪を受け、賠償について話し合うことができた。

エドワード・デヴィッド・ホワイトは、18歳のときに銃で撃たれて路上に放置された。彼は前科もなく、武器も持っていなかった。

そのホワイトの遺族は、最近のミーティングで初めてその加害者と面会したが、ティーンエイジャーだった当時にホワイトを殺害したのは、現在のナイキの幹部だった。

その人物の名はラリー・ミラー(72)。

当時16歳でギャング団の一員だったミラーは、酒に酔ったその晩、最初に目にした人を殺すことにしたのだという。

この殺人事件によってミラーは4年半、さらに複数の武装窃盗罪でさらに5年間服役した。その後人生を立て直し、スポーツ業界のマーケティングエグゼクティブとして見事なキャリアを築いた。 

ミラーは、現在ナイキのマイケル・ジョーダン・ブランドの社長で、以前はNBAポートランド・トレイルブレイザーズのプレジデントを務めた。そんな彼は、娘と執筆した最新の著作『ジャンプ——ストリートから役員室までの私の秘密の旅』(未邦訳)を出すまで、自らの犯罪歴を何十年も隠してきた。

遺族の受けた大きな衝撃

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