なぜ人道支援団体や国連PKOによる性暴力が繰り返されるのか

WHOはコンゴで何をやったのか

私が初めてコンゴ（旧ザイール）東部の北キブ州を訪れたのは、隣国ルワンダで大虐殺があった1994年のことだ。州都ゴマの救急病院では、国境を越えて逃れてきたレイプ被害者が列をなす光景を目の当たりにした。

それから四半世紀がたち、同じ場所に同じ理由で再び痛みが広がっている。性暴力がまた問題となっているのだ。ただ、以前とは違う点がある。加害者とされる人々が、エボラ出血熱の感染拡大から地域社会を守るために派遣された人道支援関係者だということだ。

人道支援に取り組む人々が、わずかなお金を稼ごうと国際機関で下働きしている女性や少女に「性的な奉仕」を要求したと言われている。

被害者の証言などから2019年に初めて問題が発覚すると、世界保健機関（WHO）は遅まきながら2020年、コンゴでの活動について調査に乗り出した。結果として、独立委員会が報告書を発表するのにさらに1年を要した。

2021年9月に公表された報告書では、加害者とされる人物が少なくとも83人特定された。大部分がコンゴ人だったが、外国人職員も含まれていた。被害者は名乗り出たがらない場合が多いため、これは氷山の一角にすぎない。

多くの女性が避妊具なしでの性行為を強いられ、妊娠して出産する人や、中絶を強要される人もいた。被害女性が受ける心理社会的な影響やスティグマが原因で、家庭は崩壊した。