左派政党の間の協定によって、フランスに「社会正義」と「公正な税負担」が戻ってくる

結論から言ってしまおう。フランスの左派の諸政党が「新人民連合」という看板を掲げて選挙連合を結成する協定を結んだことはフランスと欧州の民主主義にとって吉報だ。

この連合の結成について「急進派の勝利だ」、「極左の勝利だ」などと言う人がいるが、それはこの数十年で資本主義がどのように変質し、私たちが社会や環境の面でどんな課題に直面するようになったのかをまったくわかっていない人たちの言い草に過ぎない。

落ち着いて読めばわかるが、2022年に提案されたこの変革のための綱領は、1936年（フランス人民戦線）や1981年（社共連合）のものにくらべれば、大きな構想力を持つものとはいえない。ただ、いまの保守主義の風潮に迎合するよりは、今回の協定をあるがままに評価したほうがいい。この協定は出発点としては上々であり、これを基盤に積み重ねていければ、さらに先をめざせるものなのだ。

富裕層の資産は激増している

今回定められた綱領の特徴は、社会正義と租税正義への回帰である。いまは物価の上昇のせいで、貧しい人の収入や貯蓄が目減りしており、政治の針路を即刻修正する必要がある。