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【デブサミ2015】セッションレポート

【デブサミ2015】19-C-7 レポート
受賞作品発表!「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書大賞 2015」


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 2015年2月19日、今年もデブサミ恒例の「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書大賞」の受賞作品が決定した。技術書部門は『GitHub実践入門』、ビジネス書部門は『「納品」をなくせばうまくいく』が、それぞれ大賞を受賞。会場は、著者・編集者の「読みどころ」プレゼンに始まり、特別ゲストの選定コメント、そして会場投票から受賞発表まで、本への熱い思いが溢れるものとなった。未読の方も、プレゼンやコメントを参考に、ぜひこの機会に手に取ってみてほしい。

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特別ゲストを迎え、気合入りまくりのプレゼン大会がスタート!

 デブサミ初日、最終コマとなる会場は満席となり大賑わい。事前投票によって選ばれた技術書3冊、ビジネス書3冊、合計6冊の著者・編集者・翻訳者が緊張の面持ちでスタンバイするなか、賑々しくプレゼン大会がスタートした。

 特別ゲストは4名。まず国内でIT関連本の売上トップを誇る、株式会社ジュンク堂書店池袋本店・コンピュータ書担当の長田絵理子さん。読者代表として、中学生からプログラムの世界に身を置く株式会社リブセンス取締役の桂大介さんと、2014年度技術書部門大賞『リーダブルコード』の翻訳者であり、エンジニアとしての経験も豊富な角征典さん。そしてやや異色のゲストとして、SE出身でソフトバンクグループに勤めながら、復興庁復興推進参与やNPOなどでも活躍する小和田香さん。それぞれの異なる立場や見方からコメントをいただいた。

左から長田さん、桂さん、角さん、小和田さん
左から長田さん、桂さん、角さん、小和田さん

伝えたいのは、GitHubで広がる「ITエンジニアの可能性」
『GitHub実践入門』

『GitHub実践入門』著者 大塚弘記さん
『GitHub実践入門』著者 大塚弘記さん

 まずトップバッターは、『GitHub実践入門』の著者である大塚弘記さん。ソフトウェア開発プロジェクトのための共有ウェブサービスであり、世界のプログラマ1100万人のうち850万人が利用する「GitHub」がテーマだが、実際に活用するには様々な知識が必要になるという。大塚さんはコンサルタントとして相談を受ける中で「何かを実現するためにGitHubをツールとして使うことが目的なのに、GitHubを使うことに疲弊している」と痛感。大塚さん自身が使いたい「教科書」として本書をまとめたという。

 後輩に「GitHubって本にするほどの内容があるんですか?」と言われたエピソードで会場を沸かせながら、「単なる技術書ではなく、開発の現場で得た実践的な作法やノウハウを盛り込んで、『何が実現できるのか』を伝えたかった。これからGitHubを使おうとする人も迷わずにスタートダッシュするために読んでいただきたい」と力強くアピール。さらに、読者であるITエンジニアに対して「GitHubが目的ではない。GitHubを使うことで開発効率化や品質向上、果てはビジネスへの貢献など、その先の目標を実現して欲しい」とメッセージを送った。

 桂大介さんは「GitHubを使っていく中で出来あがってきた文化や開発スタイル、現場でしか知り得ないようなベストプラクティスまで網羅的に詰め込んだ読み応えある一冊」、小和田香さんは「私のように、しばらくコーディングから離れた人間でも使ってみたいと思わせる魅力がある。この本の制作でも使われた、GitHubを使ったソーシャルでの編集にも興味がわく」と絶賛した。

IT業界のビジネス慣習に切り込んだ、衝撃の(?)問題作
『「納品」をなくせばうまくいく』

『「納品」をなくせばうまくいく』著者 倉貫義人さん
『「納品」をなくせばうまくいく』著者 倉貫義人さん

 続いては『「納品」をなくせばうまくいく』の著者である倉貫義人さんが登壇。もともとデベロッパー出身で、現在は株式会社ソニックガーデンの代表取締役を務める倉貫さんは、会社設立とともに現在のIT業界では一般的な「請負仕事」から「納品のない受託開発」にシフト。見積や役割分担をやめて、月額定額&成果契約という形態で仕事を展開している。その4年に渡る実践と実績をまとめたものが本書だという。

 「納品のない受託開発」スタイルでの事業がうまく進んでいることからなのか、なぜか出版業界を改革する提案へ脱線――(ここで語られたことは、後日公開された倉貫さんのブログ記事『「出版」をなくせばうまくいく?本を書いてわかった出版業界のビジネスモデルが抱える課題』にまとめられている)。ふと、なぜ自分が本を出したのかという思いに立ち戻り、「厳しい労働環境を変え、プログラマをずっと続けられる憧れの職業にしたかった。そのために会社を設立し、実践し、ノウハウと思いを伝えたかった」と振り返った。実際、本を出したことで、新しい出会いが生まれ、海外進出のきっかけにもなったという。「ビジョンに共感と応援が得られた。ぜひ皆で業界を変えていく力になれば」と語り、「受賞したら続編を書く」と意欲を見せた。

 長田絵理子さんは「今までになかった月額制といったアイディアがすごい」、角 征典さんは「タイトルがキャッチー。内容もプログラマ愛に満ちている。後半部分は受託開発にかかわらない方でも参考になるのでみなさんに読んで欲しい」とコメントした。

定番書の全ページ&装丁にも手を入れた、“正真正銘”の新装版
『新装版 リファクタリング』

『新装版 リファクタリング』担当編集者 高尾智絵さん
『新装版 リファクタリング』担当編集者 高尾智絵さん

 3番目のプレゼンテーターは、オーム社の高尾智絵さん。『新装版 リファクタリング』の担当編集者の一人として、ロングセラーの新装版の魅力と価値を「誰かの書いたコードがどんなにぐちゃぐちゃでも、この本があれば何とかなる。そして、さらにわかりやすくなった」と激賞。「『旧版を持っているし……』という方でも、買っていただいて絶対に損はさせない」とアピールした。

 “正真正銘”と称する新装版ならではの第一の訴求ポイントは「見た目」だという。表紙のデザインやカバーの紙へのこだわりもさることながら、開きやすい「フルフラット製本」、肩の部分にツメがついてリファレンスとしても使いやすい工夫がなされている。さらに内容についても、丁寧に翻訳を見直し、1ページとして手を入れていないページはなく、ぐっとわかりやすくなったという。そしてダメ押しが今回、日本語版の書き下ろしとなる「Javaのバージョンアップに伴うリファクタリングをめぐる環境の変化」という付録だ。「書籍への愛」が感じられるプレゼンに、会場は大いに盛り上がった。

 長田絵理子さんは「版元の『つくる思い』が感じられた。紙や装丁へのこだわりが『紙の本』を売っているものとしてうれしい」、桂大介さんは「英語併記が良心的で翻訳書への真摯さを感じる」と語り、いずれも丁寧な本づくりを高く評価した。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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