chocoxinaのover140

ハンドルは「ちょこざいな」と読ませている

chocoxinaが2022年にハマったコンテンツ

エルデンリング

フロム・ソフトウェアのアクションRPG。ソウルシリーズにオープンワールドを導入した大作である。

とにかく圧倒的な物量によって「大冒険」を演出してくるゲームで、新しいところに行けば新しいものがある、という原初の喜びが100時間絶えることなく続く。各ボスやダンジョンの攻略難易度がやたら高い点も「ここは一旦置いて他のところを見よう」という動きを誘発しやすく、冒険と戦闘のループがプレイヤーをつかんで離さない。

そもそも戦闘も「まったく何をどうしたらいいのかわからない」という状態には陥りにくく、繰り返し負け続けるなかで成長を感じやすいデザインになっているので挫折はしにくいだろう。聞くところによれば、これまで同社が手掛けてきたゲームよりもバトルに勝ちやすい仕組みが充実しているようだ。

キャラクターが世界観重視の迂遠な言い回しをするせいで進行に迷いやすい、などの問題もあるが、そうしてまで守られているハードファンタジー的な雰囲気は大いに体験する価値ありだ。

筆者は購入してからしばらく、生活に影響が及ぶレベルでのめり込んでしまったので、可能なら冬休み中に済ませてしまうべきだろう。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

SF小説。「#火星ひとりぼっち 」のバイラルマーケティングが記憶に新しい映画「オデッセイ」の原作者が送る最新作だ。

太陽からエネルギーを吸い取る謎の微生物「アストロファージ」による地球の寒冷化に対処すべく、宇宙船で一人奮闘する男の物語である。

さて、映画オデッセイの原作「火星の人」といえば、執筆時点でギリギリ実現可能だった技術、あるいは少なくとも可能に見える技術だけを使って「男が一人火星に取り残され、しかも最終的に帰ってくる」という壮大な物語を成立させた傑作だ。

プロットは基本的に「火星に取り残された男が直面する問題と解決策」の繰り返しなのだが、「なぜかNASAのすべてを知っているオタク」こと作者のアンディー・ウィアーが持てる知識を総動員することで、圧倒的なリアリティと予想もつかない展開を実現している。

それを成し遂げた作者が、「アストロファージ」というひとさじのフィクションを手に入れたらどうなるか。それはもう物語が加速度的に壮大になるのである。

太陽系を超えた銀河規模の危機に、銀河規模の解決策。問題そのものであったはずのアストロファージが問題解決の重要なファクターになり、地に足のついた展開の積み重ねが、読者を半ばファンタジーのような結末に導く。

主人公があらゆる科学的・数学的知識を総動員して問題に対処する様子は知的好奇心を刺激して心地よく、主要キャラも魅力的だ。

Splatoon3

人に変身できるイカがインクをかけ合って戦うNintendo製TPSの最新作。

ドパドパと音を立てながらインクをぶちまける快感はシリーズ通して健在。3になって特別大きな新要素が追加されたわけではないのだが、発売時期が仕事の暇なタイミングと被ってしまったためそれはもう狂ったようにプレイした。

チームの人数差が見やすくなるなど細かな改善が効いており、シューターゲームの楽しさを味わい安くなっている点も、のめり込みぶりに拍車を掛けたかもしれない。

最初のシーズンにS+50までランクを上げて以降、今月はややモチベーションが落ち着いたからかパッとしないXパワーのままあまりプレイしていないのだが、ここからもう再開すべきではない気がする。

プレイヤー間で広く言われていることなのだが、このゲームをプレイしているとどうにも味方の問題が目につきやすく、読者の皆様には到底聞かせられないような暴言を吐きながらコントローラーを振ることになるのだ。

RRR

rrr-movie.jp

インド発のアクション映画。バーフバリでおなじみのS・S・ラージャマウリ監督が、1920年代、大英帝国支配下のインドを舞台に男二人の使命と友情を描く。

ほぼ3時間にわたる上映時間の間ひとときもダレることなく刺激的で、筆者は人生で初めて同じ映画を劇場で2回見ることになった。

他に類例のないド派手なアクションシーケンスが連発されるこの作品。ネット上では、普段あまり見ない種類の映画から自分の価値観を守るためか、しばしば「ツッコミ所も多いけど勢いがあって面白いから好し」などと評されることも多いのだが、丹念に見てみると、各シーンにはしっかりと「振り」が効いていて「かっこよさ優先で捨て置かれた不整合」みたいなものが見当たらないことに気づく。

インド映画っていえばアレでしょ、という形で言及されがちなダンスシーンも、本作では「絶対に踊らなければいけない」状況を積み上げた上で見せられるし、最終盤のバトルシーンで矢が尽きないことにすらきちんと理由付けがなされている。そこらの洋画で「弾の尽きない銃弾」が当たり前に使われていることを鑑みれば、RRRを「ツッコミを入れながらワイワイ見るもの」として消費する姿勢はフェアなものとは言えないだろう。

もっともRRRは、そういった小難しいことを考えなくとも楽しめる作品ではある。王道ながら目の話せないストーリーに、屈強な主人公二人のブロマンス、コンセプトアートみたいな絵面がそのまま顕現するバトルシーンの数々が、三時間の間休むことなく浴びせられる。

映画館各所が軒並み戸締まりされてしまった影響か上映の機会が少ないが、まだまだ見られるので冬休み中に時間を見つけて鑑賞してほしい。

TUNIC

store-jp.nintendo.com

かわいい小狐が小さなマップを駆け回るクオータービュー型のアクションRPG。「ソウルライクゼルダ」と評される、謎解きと高難易度アクションを特徴とするゲームだ。

大きな特徴は「ゲームプレイを通じて、そのゲーム自身の説明書を集める」という要素。プレイヤーはかろうじて「スティックを倒すとキャラが動く」ということだけがわかる状態から、ゲーム自体の目的や思いもよらない操作を見出していくことになる。

TUNICは普通のゲームと同様、新しいアイテムを入手すればできることが増えるし、ちょっと探せばすぐに見つかる塩梅の隠し要素も備えている。そこに「説明書を見て新たな操作を知る」というこのゲームならではの要素が組み合わさることで、TUNICをプレイすると「進行度に応じて、マップの同じ場所が全く違うものに見える」という体験を繰り返し味わうことができる。

アクションの難易度については、ゲーム全体の体験に対してややちぐはぐな印象を受けないこともないが、プレイしていて楽しいものではあるし、オプションから無敵モードを使って省略することも可能だ。なるべく気負わず、思わずペンとメモを取りにいくことになるトゥルーエンドまで突き進んでほしい。

キングスジレンマ

レガシー型(ゲームの結果が次回以降に引き継がれるタイプ)のボードゲーム。各プレイヤーはそれぞれ異なる貴族の代表として、数世代に渡り国政に関するさまざまなことを投票によって決定する。

例えば、国民が飢えに苦しんでいるとき、他国から売り込まれた奇妙な色の小麦を輸入すべきだろうか。提案を可決した結果王国に奇妙な疫病がはびこったとしても、逆に否決して国民が飢えに倒れたとしても、議決にあたってイニシアチブを握っていた貴族は歴史に名を残す(残してしまう)ことになる。

各プレイヤーはこのような厳しい決断を繰り返しながら、十数回に及ぶプレイの果てにたどり着く何か(説明書によって軽く示唆されるのみで、詳細は最終盤まで明かされない)に備えて、議会での影響力を拡大していくことになる。時には国の情勢や短期的な権力ばかりでなく、自らが属する家系の思想信条を優先すべき時もあるだろう。

ゲームの基本となる投票のシステムにしっかり小技が効いていて、すべてを投げ打ってでもこの議題は可決したいだとか、否決はしたいが責任は別の家系に負わせたいだとか、そういった高度な目標を実現するために各プレイでしっかりと考えどころが発生して飽きが来ない。倫理観や正義感を問われるハードな議題に対処する面白さや、おぼろげに見える最終目標に備えて中長期的な立ち回りを検討する戦略性など、このゲームならではの魅力が多い作品だ。

プレイのハードルが高い(4人前後のメンバーを合計15時間程度拘束する)ためか国内では値崩れ傾向だが、逆に言えば始めるならば今がチャンスである。