TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』アフレコを終えて…上田麗奈が今だから言えること「アカネとは性格が似すぎて苦しかった」【インタビュー】 | 超!アニメディア

TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』アフレコを終えて…上田麗奈が今だから言えること「アカネとは性格が似すぎて苦しかった」【インタビュー】

特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』のテイストを受け継ぎつつ、新しい電脳世界を展開していったTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』。放送終了後もまだまだ話題が尽きない本作から、新条アカネ役の上田麗奈のインタビューが「アニ …

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 特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』のテイストを受け継ぎつつ、新しい電脳世界を展開していったTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』。放送終了後もまだまだ話題が尽きない本作から、新条アカネ役の上田麗奈のインタビューが「アニメディア2月号」で掲載中。超!アニメディアでは、本誌掲載と違うインタビューをご紹介する。


アレクシスがいてアカネは幸せでした
彼がいなかったら、何も生まれなかった

ーーオーディションの段階では、アカネと六花のキャラクターのラフ画は逆だったという話を聞きました。

 そうなんです。最初、テープオーディション用の原稿をいただいたときに、キャラ絵も同封されていて、六花っぽい髪の長さで表情はアカネ寄りだったんです。パーツも六花に近い感じで結構、大人のお姉さんのような印象の色気のある女性だったんですけど、スタジオに行ったらそれがもう大逆転していて(笑)。アカネはちょっと幼い感じのビジュアルになっていました。個人的にはちょっと色っぽい感じを想像していたので、面食らってしまいました。もう、どうしようもないので、感じたままに突発的に作ってやってみて、という感じでしたね。

ーー本作で描かれる世界は謎めいた作りで、事前にアレクシス・ケリヴ役の稲田徹さんと上田さんは、世界観設定のようなメモを頂いていたのに、上田さんのデータは壊れていて見られなかったらしい、という話が伝わってきました。

 そ、そうなんです(笑)。じつは、申し訳なさすぎでずっと言えずにいました(笑)。いえ、5話ぐらいまでのデータは見られたんですよ、あの水着回までは。でも、その後が壊れていて、わからないままやってました。ただ、収録が始まったころ、監督とちょっと話をさせていただいて「こっちの世界自体が電脳世界」というのを伺っていました。それがアカネの作った世界だからみたいなことはわかっていたので、少しずつ把握できていったかなという感じです。

ーー六花に対するアカネ、対裕太、対アンチ、対アレクシス……キャラごとに、演じ方の違いは意識するものですか。

 それは思います。それが出たらいいなあと考えてはいました。特に、アカネの素が一番出るのはアンチとアレクシスと一緒にいる時だったと思うんです。アレクシスは自分を全部認めてくれるから、何をやっても否定されないのでどんどん素を出していって、許される極限までやっていくとあのアカネになるんだろうな、とか。でもアンチは自分が作り出したものだし、怪獣だし、絶対自分の言うことを聞いてくれる存在だと思っていたから、感情をそのままぶつけられるだろうな、とか。でも、アンチはだんだん言うことを聞かなくなって(笑)、それもムカついて。それにもかかわらず、なんかアンチのことは気になっちゃって、思いどおりに行かないからこそ、欲しい、みたいな気持ちもあるのかなと思いました。

 一方で、学校のクラスにいるときはちょっと無理してる感じがあるんです。内海は共通の趣味があるのでしゃべりやすかったと思いますけど、裕太やほかの子と話す時は、だいぶ壁を張った状態でしゃべってる感じでしたね。電話で1トーン声が上がっちゃう、みたいな。もともとアカネはコミュニケーションが苦手ですし、そういう変化は意識していました。

ーーでも、このようなアカネの心情を、理解できる部分はありましたか?

 めちゃくちゃあります。「全部わかるなあ」って感じです(笑)。きっと、自分に自信がないからですよね。自信がないから一番悩んでることも言えないし。それを否定されたらもう生きていけないし。うん、すごいわかります。

ーーもしも、上田さんが世界を作ることができて、嫌なことがあったらどうしますか。

 消す、と思います(笑)。恐らく、アカネは彼らをデータとしてしか見てないんでしょう。手持ちがいっぱいになったからボックスに預けよう、みたいな。それと一緒の感覚、個体値を見て一番いいのだけ残そう、みたいな。六花はほかの子と違って、アカネ自身が六花に対して興味があるから、別格な感じだったんじゃないかなあと思いますけど。


ーー六花といえば12話。名言がありました。

 「この願いが叶いませんように」……ひえええ(笑)、そんなこと言わせるのか! 言われたアカネは、そりゃ帰りますよね、本当の世界に。あれで背中を押された感じはありましたね。大好きで一緒にいたいけど、元の世界に戻ってほしい。だから「もう一緒にいられませんように」。六花は大人ですね。ふたりとも、ある意味「めんどくさい女」だと思うけれど、アカネは子どもで、六花は大人ですよね。六花のおかげで、アカネはこの世界から追い出されていくのではなくて、自分の足で踏み出すことができた。グリッドマンの修復する力によって気づかされて、「行かなきゃいけないんだ」と思ったけれど、最終的に一歩踏み出させてくれたのは、たぶん六花です。アカネにとって苦しい世界に立ち向かっていかなければならないところを、六花が「行っておいで」「でも大好きだよ」と言ってくれたから、それが力になり、立ち向かっていけたんだと思います。

ーーアンチの最期はどうですか。

 アンチとのやりとりも衝撃でした。アンチが自らの意思で助けてくれた。「どこにでも行けばいいじゃん」って言っちゃったし、傘も受け取らなかったし、でもそんなアンチが人間の心を持って、最後に助けてくれる、自分の意思でアカネのところに帰ってきてくれた。それは友達というのとはちょっと違う、アンチの中にアカネがいたっていうことが、アカネにとっては嬉しさでしかなかったと思います。相変わらず皮肉っぽいことしか言えないけれど、素直になれないけれど、あの時はうれしかったんだろうな、と思います。

 実は、最終話のアフレコが終わったあとに、監督が描いたイラストをいただいたんです、花束に添えて。満面の笑みのアカネが真ん中にいて、手をつないでる両サイドの向こう側が袖ぐらいまで写ってるんですけど、片方が六花で、もう一方がアンチで、みたいな。その笑顔が忘れられなくて。アカネも最後は浄化されたんだな、という思いがありました。アカネの中でふたりがちゃんと友達になって、だから笑顔で前に進めるよねっていう。そのエネルギーの形みたいなのが見えて、ハッピーエンド感が増すんです、救われたんだなーって。

ーー主役の裕太くんはどうですか。上田さん的には裕太とアカネって、どういう存在だったんですか。

 裕太ですか……よくわかんなかったです(笑)。アカネ的には仲よくなりたいとか、そこまで強烈な存在ではないと思っていて。アカネは六花を見ていたかったんですよね。六花を見ていると、たまたま裕太が視界に入ってくる、その程度。なのに、グリッドマン=裕太が中心になって、六花も内海も集まり、その周りにアンチも集まり、みんな集まって私から何もかも奪っていきやがる、六花も奪うし、「なんだ、こいつは!」みたいな(笑)。 むしろ、アカネにとってはアレクシスとの関係が大切でしたよね。アレクシスがいて、アカネは幸せだったと思います。何でも言うことをきいてくれて、満足を得られたし、その時はすごく安心できた。アレクシスがいなかったら、そもそも何も生まれなかったんですから。ずっと現実世界に閉じこもったままだったかもしれない。大きな一歩をくれた存在だったんですよね。最後は現実世界に帰ったアカネですが、何年かしたらアレクシス自体がいい思い出になるだろうなーっていう感じがします。憎むこともないだろうし。何人かいた恋人の中で、一番糧になった人だったな、あの人、きっかけだったな、みたいな(笑)。

ーーアレクシスは怪獣を実体化してくれましたが、怪獣の鳴き声は上田さんだったというのは本当ですか。

 そうです。アカネの感情から生み出されたものは、私が(鳴き声を)やりました。1話では「死ね」という言葉を、長さ違いで録って。それを加工して、1話で登場した怪獣グールギラスの声になりました。序盤は結構、瞬発的な言葉が多くて。後半になっていくと具体的に「行かないで」とか、あとは泣きだけとか、笑いだけとか、もう言葉にもできない言葉だったりですね。

ーー言葉を録る時は、感情を込めるんですか。

 最初「感情は入れないでください」と言われて。「機械的に長さだけ変えてやってください」と言われてたんですが、だんだんそうはいかなくなってきて(笑)、感情も混じりつつ。あまり感情的になるとヒステリックなひずみが出るみたいで、「クリアに棒読みに近い感じで」と言われていたのに、それもだんだんできなくなって。普通に「行かないで」というセリフを感情的に言ってしまったり。あれやこれや、たぶん加工していただいて。

 ミキサーの方が天才すぎるんです(笑)、本当に。役者の方たちの力もあるけれど、ミキサーの方の力、音の力で世界がまた作られていて、ホント、感動しました、毎回。

ーー全12本を振り返ってみて、どんな感想をお持ちですか。

 ひと言でいうと、すごい苦しかったですね。私、アカネと性格が似ていたからかもしれないですけど、めちゃくちゃ気持ちがわかっちゃって、だんだん共演者の方としゃべれなくなっていたんです。周りの人と、とにかくコミュニケーションをとらない。飲み会も毎回あったんですが、ひと言もしゃべらずに帰ったり。楽しいんですけど、それもだんだん自信がなくなってくるというか。私がしゃべると白けるだろうなとか。元々私の中にあるネガティブが出やすくなって。とにかく、「空気になりたい(笑)。気づかれないでいたい、でもここにはいたい、みんなすごく楽しそうだし、うらやましい、でも私には入っていけない、孤独だ」みたいな(笑)。勝手に孤独になって。休憩中もすぐブースから出てひとりになって。みんなわかってくれてるだろうし、「わかってくれー」っていう気持ちで、そこにいるしかなかったんです。迷惑をかけただろうと思いながら、それでもひとりになろうと思って。

 だからアフレコが終わって、こうして取材とかで誰かに会えると、とにかく一緒にご飯に行きたくて(笑)。やっと、みんなと餃子を食べて笑えます(笑)。

ーー裕太役の広瀬さんが、ずっとアカネとしゃべりたがっていたそうです。

 そうなんですよ、広瀬君はアカネの性格がすごい好きらしくて(笑)。「六花の見た目でアカネの性格がいい」ってラジオでも言ってて、ちょっと引いちゃうんですけど(笑)。「大丈夫? 六花の性格のほうが絶対幸せになれるよ」って思いながら。でも、ちょっとうれしかったです、アカネの性格を認めてもらえるのが、すごくうれしかったです。

 私、ほかの現場でもそうなんですけど、しゃべると涙腺がどっかに行っちゃうタイプで。涙腺はかぎりなくあと一歩で泣けるよ、ぐらいのところにしておかないと、一回誰かとしゃべると、気持ちが緩んで楽しくなっちゃって、泣けなくなる、みたいなところがあるんです。だから、できるだけひとりでいたりするので、とにかく苦しかったです。

ーーその苦しさが終わって、すがすがしさ、みたいなものはありますか。

 ありますね。憑き物が取れたみたいな感じ(笑)。でも、終わってすぐの取材では、アカネのことをしゃべろうと思うと常に泣きそうになってました。「アカネ、大丈夫かな、苦しがってるよね。過酷な運命に、過酷な世界に立ち向かっていってどうなってるかな」みたいな。自分と重ねて感情移入しちゃって、引きずってたんだろうなと思います。

 今、ようやく平常心でしゃべれるぐらいに回復して、すっきりしてます。

ーー『SSSS.GRIDMAN』、2018年のアニメ界の話題をかっさらっていきましたね。

 じつは、なんとなく思ってたんですよ。演者さんたちもみんなグリッドマンが好きで。スタッフさんの熱量という話はよく聞くんですけど、役者さんまで「グリッドマン」「グリッドマン」。スタッフさんの熱量が形になったものに、みんなすごく納得したり、共感できたりしてる。この現場を見てると、ああ絶対、みんなも面白いって言ってくれるんだろうな、っていう自信みたいなものはありました。でも、もっともっと注目されて、もっともっといろんな人に見てもらえる作品になったらいいなと、まだまだ思ってます。

取材・文/アイプランニング

〈TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』情報〉
■追加放送局
千葉テレビ  毎週(火) 19:30より
テレビ埼玉  毎週(火) 19:30より
テレビ神奈川 毎週(火) 25:00より
サンテレビ  毎週(火) 24:30より
RKB毎日放送 毎週(水) 26:30より
BS11     毎週(木) 23:00より

「SSSS.GRIDMAN SHOW 01」開催概要
日時
2019年02月03日(日)
16:30開場 17:00開演

会場
お台場・TFTホール1000 

出演
広瀬裕也、緑川光、斉藤壮馬、宮本侑芽、上田麗奈、高橋良輔、
悠木碧、松風雅也、鈴村健一、三森すずこ、OxT、稲田徹(音声のみ出演)

Ⓒ円谷プロ Ⓒ2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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