非エンジニア医師が“ソロ準優勝”したハッカソン戦術とClaude Codeの使い方
前書き
本記事では、2025年9月に日本で初めて開催された「Claude Hackathon 2025 in Tokyo」で準優勝した『AI 救急外来優先度評価』について解説していきます。
※本記事は、このプロジェクトの発表者 Fuyuto Miyakeさん(@FuyutoMiyake)に寄稿していただきました。
「非エンジニア医師が、ソロで準優勝」——通常ハッカソンは複数のエンジニアで挑むものですが、初参加の研修医である私が一人で挑戦し、準優勝を獲得しました。
普段からClaude Codeを使って看護師シフト表など業務効率化アプリを開発していましたが、エンジニアは雲の上の存在。だからこそ、単純な技術勝負ではなく、事前準備とAI活用の工夫で挑みました。
前半では今回のプロダクト紹介、後半では非エンジニアが挫折しやすいポイントとClaude Code活用のコツを解説します。
ハッカソンに興味のある方、開発で悩む非エンジニアの方、そしてドメイン知識&発想と開発実装との融合に関心のあるエンジニアの方にも楽しんでいただける内容です。
ハッカソンについて
「限られた時間内にチームでアイデアを形にするイベント」 です。
今回の Claude Hackathon 2025 in Tokyo はそのAI版で、参加者がClaudeを使って短期間で動くプロダクトをつくり、最後に成果を発表・競い合う場になっています。
プロダクト紹介
「救急外来リアルタイムトリアージシステム」
【背景】
大病院の救急外来で長時間待たされた経験がある方も多いのではないでしょうか。
救急外来では待ち時間が長く、救急搬送患者とWalk-in患者を同じ医師が診るため、重症患者を見逃すリスクがあります。現在のトリアージは受付で手動で行われ、十分とは言えません。〔根拠:救急搬送の48.5%が軽症/消防庁統計〕
※トリアージ(Triage)とは:病院や災害現場などで、多くの患者さんが同時に来たときに「誰を優先して治療するかを決める仕組み」
【解決策:AI Emergency Triage System】
日本救急学会ガイドライン(JTAS)に準拠したルールエンジンを基盤に、以下を採用します。
ウェアラブルによるリアルタイムモニター
機械学習による主訴解析AI(自然言語を数値化→パターン判別)
曖昧主訴時はLLMによる追加問診
4つのエージェントによる監視(問診・モニター・待ち時間・安全性)
を組み合わせて「重症見逃し」と「アラート疲労」の予防。
【動作】
※技術スタックは後述
<Case 1:明確な主訴>
「胸の中央に激しい痛み」→ 機械学習で主訴を胸痛と分類 → ガイドラインに基づいた追加問診 → トリアージ結果
1: 画面中央の主訴入力欄に心筋梗塞を意識した共通患者さんの主訴を入れてみます。

2: 上述の機械学習の仕組みで主訴に一番確率が高いものが出力されます。

3: 下記のようにグラフで表示されます。

4: ガイドラインでのトリアージに必要な追加問診が出てきます。

5: 数問回答するとトリアージ結果が表示されます。

<Case 2:曖昧な主訴>
「何か普段と違う」→ AIの予測確率が低い → LLMによる追加問診で主訴を言語化 → 再トリアージ
1: ”何か普段と違う感じです” という曖昧な主訴。救急外来ではよくあります。

2: 主訴予測結果確率が低い場合はフローを変更→LLM追加問診へ

3: 予測確率が低ければLLMでの問診を追加生成し、その回答を踏まえて再度トリアージ

<Case 3:モニター異常>
ウェアラブルデバイスで測定した心拍の異常を4-Agentが解析し、誤作動か原因ありかを判別 → LINE通知。

4エージェント(Vitals/Safety/WaitTime/Orchestrator)が協調し、モニタ異常の原因推定から安全性評価・優先度調整・説明文生成までを行い、その結果をLINE API経由で通知します。

【本プロダクトの優位点をスライド一枚で解説】

【今後の展開:社会実装に向けた2つのステップ】
Step 1: セキュリティと法規制への準拠
厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を満たす
・LLMをローカル環境に移行(Local LLM)
・LINE APIを院内専用チャットAPIや電子カルテAPIに置き換え
Step 2: エビデンス蓄積とプロダクト改善
・KPIの評価(重症患者の待機時間短縮、アラート回数の最適化など)
・定性的なアンケートによるUI/UX改善(例:音声入力対応)
ここから先は、3日間で受賞を勝ち取った“裏側”を具体的に共有します。
戦略
医療分野で開発をする予定でしたのでまずは医療分野での活用先行論文と過去ハッカソンを徹底的に調べました。
勝者の共通点は「技術的優位性」と「強いニーズ」の両立でした。
医療分野でのニーズを考えていると、自治体で研修中に会議で取り上げられていた大病院の夜間救急外来集中の課題についてとても印象に残っていたことを思い出しました。
技術については、GitHubの直近のトレンドやハッカソン受賞者の開発内容を全てChatGPTと対話しながら理解し、今回のプロダクトで応用できそうなものを探していました。

開発
【技術スタック】
