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映画「こどもしょくどう」(DVD観賞)


映画こどもしょくどう-01
制作年:2019年 制作国:日本 上映時間:93分



昨年見落とした邦画を中心にDVD観賞している.

本作もロードショー規模が極小で、観られなかった作品.

藤本哉汰と鈴木梨央のダブル主演で、子どもの目線から
現代社会の貧困問題を描いたドラマ.
「火垂るの墓」「爆心 長崎の空」の日向寺太郎が監督を務め、
脚本には「百円の恋」「14の夜」の足立紳が参加している.

小学5年生の高野ユウトは食堂を営む両親、妹とともに何不自由ないおだやかな
毎日を過ごしていた. 幼なじみのタカシの家は母子家庭で、タカシの母はわずかな
お金を置いたままほとんど家に戻ってくることはなかった.

そんなタカシを心配したユウトの両親は食堂に招き、頻繁に夕食をごちそうしていた.
ある日、ユウトたちは河原で父親と車上生活をしているミチルとヒカルの姉妹に出会う.

彼女たちの境遇を気の毒に思ったユウトは実家の食堂に姉妹を連れて行き、
2人にも食事を出してほしいと両親に願い出る.そして数日後、姉妹の父親が姿を消し、
ミチルたちは行き場をなくしてしまう.

ユウト役を藤本、ミチル役を鈴木が、食堂を営むユウトの両親役を吉岡秀隆、
常盤貴子がそれぞれ演じる.

以上は《映画.COM》から転載.
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「こどもしょくどう」というと、乏しい知識では地域コミュニティで無料で子供達に
食事をまかなう活動…くらいの認識しかなかった.そんな姿を描いているのかと、
勝手に想像して観始めたら、全く違った.

最終的には一つの“こどもしょくどう”に繫がるのだが、それは単なる結果でしかない.
ここに提起する問題の解であるかもわからない.

ここに描かれるのは、子供虐待、ネグレクトの世界.それも主役達の子供目線から
の告発だ.詳しい経緯は描かれないが、家庭が崩壊して、親に育児、教育を放棄
された子供達が彷徨う姿が描かれるのを観るのは果てしなく辛い.

そんな崩壊した家庭の子供と、通りすがりにすぎないながらも援けの手を差し伸べる
小学生ユウト:藤本哉汰とその家族の交流が、物語の主軸である.
ユウトの両親:吉岡秀隆、常盤貴子は食堂を経営していて、そんな子供達を招き
寄せては食事をさせることで、癒やそうとする.

映画こどもしょくどう-02


主役の子供たちはみなセリフは少ないのだが、目で演技するのがうまい.特に親に
捨てられたミチル役の鈴木梨央だろうか.幸せだった頃の演技と全く別人のような
暗い、目だけで訴える演技はリアルで心揺さぶられる.

理想の社会は、ミチルとヒカルのような姉妹が親と一緒に暮らせて、学校に行き、
美味しいご飯が食べられる社会なのだけど、それは現実とはほど遠い.

だからせめて“こどもしょくどう”で美味しいものをお腹いっぱい食べて欲しい….
吉岡秀隆、常盤貴子は食堂の一部を小学生以下は無料の“こどもしょくどう”に
する、それがせめてものエンディングだ.

エンデイング・チューンは俵万智作詞、谷川公子作曲の 「こどもしょくどう」.
その中で歌われる詞が以下.

「食べることは、いのち」 「食べることはつながり」
「食べることは、いのち」 「食べることはぬくもり」
「一緒だったら、もっと楽しい…」


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