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映画「愛する人」…愛をつなぐ別れた母娘.


原題: MOTHER AND CHILD 
製作年度: 2009年  製作国: アメリカ/スペイン   上映時間: 126分


ギンレイホールでの日曜の2本目は米スペイン映画.
母と娘の愛を描く、本年60本目.

「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督が、さまざまな形の母と娘の関係を
通して愛憎と絆が織りなす哀しみと感動の物語を描くドラマ.

若さゆえに生まれたばかりの我が子を手放さなければならなかった母とその娘が、
37年の時を経て、それぞれに人生の転機を迎えたことをきっかけに互 いに引き寄せられ、
やがて思いも寄らぬ運命へと導かれていくさまを巧みな脚本と実力派俳優陣の熱演で綴る.

出演は「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ ワッツ、
「アメリカン・ビューティー」のアネット・ベニング、
「Ray/レイ」のケリー・ワシントン、「パルプ・フィクション」のサミュエル・L・ジャクソン.

カレン(アネット・ベニング)は14歳で妊娠してしまい、
母親によって強制的に赤ちゃんを養子に出されてしまう.
それから37年、今ではその母親を介護しながらも、我が子を奪われたことへの
わだかまりを捨てきれず、37歳になった実の娘に想いを馳せる日々をおくっている.

一方、生まれてすぐに養子に出され、母の愛情を知らずに育ったエリザベス(ナオミ・ ワッツ)は、
弁護士として成功はしたものの、他人に心を許すことができず、男に対しても
肉体の関係以上に深入りすることはなく、このまま孤独に年を取っていくと考えていた.

ところがある日、会社のボス、ポール(サミュエル・L・ジャク ソン)との情事で
予定外の妊娠をしてしまう.戸惑いとともに、
初めて実母の存在を意識し始めるエリザベスだった….


あらためて米国の養子縁組のシステムに驚いた.
キリスト教組織に基本を置くから、全米ネットワークが古くから確立されていたのだね.

子を手放したい、あるいは離れねばならぬ親子の救済と養母の募集、引き合い、
はたまた養子関係の樹立後の実母実子面会の手はずまで整える.
しかも秘密厳守で、実母と実子の両方が望まないと決して逢えない仕組み.

そんな養子システムに関わる3組の“母子”、いやその親まで含む3代にわたる
生き方を中心にストーリーは流れていく.

母が14歳という理由で別れ別れになったカレンとエリザベス.
共にその人生で “難しい女”と呼ばれながら生きている.
個々に、“独り”の生活をおくり、真に癒されるものを持たない日々.

エリザベスは自らの想定外の妊娠から母性に目覚める…、
そして想う、実の母との再会.養子縁組の組織にコンタクトする.

カレンは母娘の別れを招いた実母を介護していたが、その母も逝ってしまい、
開放された安堵と悲しみにあけくれていた時に、理解ある同僚男性と巡り会い
結婚する.そして新しくできた“家族”に励まされ、肩を押され、別れた実娘に
逢おうと決心し、養子縁組の組織に出向く….

逢えるのか、逢うとどうなると…観客としての期待ははずむが、
エリザベスは出産に際し自らの命を落としてしまう….

決して逢うことの出来なかった実母、実娘のそれぞれの想いが見事に描かれた佳作.
母と子の絆、どこにでもあるが、その深さには意外と気づかない事をふと教えてくれた.



コメント

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No title

子をもってはじめてる知る母の恩って言葉があったような
(母じゃなく親だったかしら?)
養子になって大人になったら自分の本当に親や兄弟を知れるのよね
同じ職場の人達が姿かたちも似て気も合い大の仲良しに
調べたら兄弟だったって現実にアメリカでありましたね~

No title

しかしギンレイはすごいとり合わせですね。
濃くて重くて・・でも大好きな2本です。
辛口な展開でしたがたまに見える希望が嬉しかったです。
TBさせてくださいね。

No title

きみちゃん.
そんな事例もあるんですねぇ!
血縁であっても義理であっても母と子の絆は強いと思いました…。

No title

Cartoucheさん.
凄いでしょ、ギンレイ!。このてのマイナー作品は全てギンレイにおまかせなんです(笑)。突っ張り気味のナオミ・ワッツが妊娠してだんだん母の顔つきになっていくさまが印象的でした。良い作品ですよね。

No title

本当にいろんな作品が観れていいですね~
いろいろ考えさせられる作品が多いですね。

No title

きゅさん.
この古ぼけた映画館で観る作品には人生を教えられる事が多し…デス.