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タイトルは森有正『思索の源泉としての音楽』にちなんでつけられていますが、「鉄」学者として有名な原武史氏の「鉄道ひとつばなし」シリーズの4巻目です。何故このようなタイトルになったかは、この本の序文を読んでいただくとして、今日はこの本の第一章で扱われている「東日本大震災と鉄道」で指摘されている「日本鉄道史上未曾有の事態」について、とりとめもなく書きます。
未曾有の事態とは何かというと、東日本大震災以来3年以上経過しているにもかかわらず、いまだ不通の区間があるということ。
先月購入した時刻表を見ると、仙石線の高城町−陸前小野間の11.7キロ。石巻線の浦宿−女川間の2.5キロ。常磐線の竜田−原ノ町間の46キロおよび相馬−浜吉田間の22.6キロ。山田線の宮古−釜石間の55.4キロの合計138.2キロがいまだに復旧していません。ちなみにこの本が書かれた2011年10月は震災から7ヶ月が経過した時点では、391.6キロが不通区間だったので、少しずつは復旧していますが、これまで日本が経験してきた災害と比較すると、考えられない遅さだと指摘しています。
東日本大震災よりも多い10万人の犠牲者を出した関東大震災ですら、2ヶ月でほぼ全線が完全復旧。
東京大空襲では3月10日未明に東京の下町が壊滅的な襲撃を受け、鉄道網も寸断されたが、10日当日の12時20分には東京ー有楽町間が復旧、11日に北千住−三河島間、新橋−浜松町間、13日に浅草橋−両国間、14日には両国−平井間が復旧。
阪神大震災では、あの甚大な被害にも関わらずJR東海道本線は4月1日に、山陽新幹線は4月8日に、阪急神戸線は6月12日に、阪神本線は6月26日に全通していて5ヶ月でほぼ復旧していて、それらを考えると、いかに現在の東北の鉄道不通区間の多さは、異様(もしくは意図的)なものであるかということなんですね。この話を読んで、阪神大震災時の鉄道復旧については確かプロジェクトXにあったなと思い、六甲道駅の復旧工事についてのこのDVDを観てみました。この中に出てくるのですが、JR六甲道駅前にあった書店の方が、この難工事に対しておこした男気のある行動に私は胸を打たれました。
阪神大震災から20年という節目を迎え、特別番組がテレビで連日放送されていますが、このDVDはそれらとはまた別に、見てらっしゃらない書店員の方がいらっしゃいましたら、ぜひ見ていただきたいなあと思った次第です。