ニュース
若者の二輪車死亡者数増加に、自工会二輪車委員会の日髙委員長「なんとかしないといかんぞ」 胸部プロテクター着用促進など安全運転活動の取り組みを報告
2024年4月1日 12:45
- 2024年3月28日 開催
日本自動車工業会は3月28日、第9回「自工会 二輪車委員会メディアミーティング」を開催。同ミーティングでは、2023年の二輪車の交通事故状況について報告があり、特に20〜24歳といった若年層の死亡事故が増加していることが指摘された。
この日は、「二輪車の安全運転活動 2023年度の振り返りと2024年度の取り組み」をテーマに開催され、2023年の交通事故状況が報告されるとともに、日本二輪車普及安全協会、警視庁関係者も参加して、各団体の交通安全活動について報告がされた。
2023年中の交通事故による全体の死者数は、2022年比2.6%増の2678名となり、8年ぶりに増加。事故状況と状態別死者数でみると、自動車乗車中は837名で前年より減少したものの、それ以外の状態別についてはそれぞれ前年より増加。二輪車乗車中は508名、自転車乗車中が346名、歩行中が973名、その他で14名となっている。
特に二輪の死者数508名は前年比16.8%増となり、その中で自動二輪車では前年比14%増の391名、原付(50ccクラス)は前年比27.2%増の117名と、増加率が高かった。また、自動二輪車乗車中の年齢層別死者数でみると、20〜24歳の自動二輪車乗車中の死者数が63名となり、2022年比で26名増加(70.3%増)、死者数・増加数が最も高い年齢層となった。
これを受けて、自工会では交通事故防止に向けた取り組みとして、万が一に事故が発生したときにライダーの身を守る安全装備の確認や安全運転教育といったハードとソフトの両輪での対策が重要であると強調した。
自工会独自の取り組みとしては、胸部プロテクターの欧州規格格EN1621-3について、その妥当性を確認する試験を実施。自工会独自のテスト結果をJMCA(用品連合会)に公開して、各社製品を改善してもらい、国産胸部プロテクターの性能向上に貢献したことなどを紹介した。また、自工会では、JMCAが推奨する胸部プロテクターは欧州規格 EN1621-3に準拠していて十分な保護性能を期待できるとし、この着用率向上を推進したいとの方向性が示された。
同ミーティングには、日本自動車工業会 二輪車委員会のほか、警視庁交通部 管理官 川嶋泰雄氏、日本二輪車普及安全協会 安全本部本部長 荒井龍介氏、日本二輪車普及安全協会 常務理事 江原伸一氏らが参加。
東京都内を管轄する警視庁の川嶋氏からは、二輪車死亡事故の2023年や過去5年のデータによると、死亡事故における主な損傷部位は頭部と胸部に集中しており、ヘルメットの脱落防止のためあごひもの正しい装着方法の確認や、胸部プロテクターの着用促進を呼びかけるとともに、事故の形態として四輪車との右直事故が多いことも指摘された。
また、日本二輪車普及安全協会でも、これまで展開してきた二輪車安全運転講習会「グッドライダーミーティング」の講習会名称を刷新し、一般公道の走行に不安を抱えている「初心者」「若年層」「リターンライダー」といった、よりターゲットを明確にした新たな講習会「ベーシックライディング レッスン」として2024度から開始することを報告。日本二輪車普及安全協会のほかにも、警視庁や国内4メーカーにおいても安全運転講習会を開催していることなど、それぞれ安全運転教育活動を展開していくことが紹介された。
若者の事故死者数増加に、日本自動車工業会 副会長兼二輪車委員会 委員長の日高祥博氏は「昨今、コロナ禍の間も含めまして、若いライダーが増えてきてたということが僕はすごくうれしくて、私もライダーですし、皆さんの中にもライダー仲間の方はいらっしゃると思うのですが、高速のサービスエリアで若い人たちをたくさん見かけるようになって、休んでいる人がいるとついつい声をかけたくなっちゃうくらい、すごくうれしい。けれども、今日のデータを見たら、全国的に見ると20代前半の方がお亡くなりになっていて、なんていうか、ただひたすら悲しいというだけでなく、なんとかしないといかんぞという気持ちは非常に強く思っております」との気持ちを話した。
今回のミーティングで報告された内容について、日高氏は「今日は警視庁さま、日本二輪車普及安全協会さま、それから自工会の4社各社、こんなことしてますよということを説明させていただいて、私としてはですね、皆さんそれぞれ一生懸命汗かいてやっていただいてると思うのですけども、でも結果として増えちゃっているのだから、何かを変えなきゃいけないんだろうなということで、きちっとデータで見てみる、ということをやったわけです」と狙いを話した。
これからの自工会を含めた安全運転活動について、日高氏は「まずは事故そのものを減らす、ライダーの皆さんにスピードを出しすぎないようにね、と。それから、やっぱり右直事故が多いので、“かもしれない運転”をきちんとしましょうとか、そういったところがまず一番で、事故をしないことが一番いいんですけれども、万が一もらい事故も含めて事故が起きてしまった場合に、やっぱり胸部プロテクターをつけていれば、だいぶ効果がありそうだと。あとは、クルマとの右直事故が多いということも分かってきたものですから、二輪側だけじゃなくて、四輪のドライバーさんにも啓蒙活動を進めていくということも必要なんじゃないかなということで、そういったことをプラスアルファでやっていこうと考えています」との考えを話した。